タイトリスト T100 アイアンを筒康博が試打「スピンを伴う球質が心地いい」
打感&安定感が両立した新「T100」 ご意見番クラブフィッター評価は!?
「T100」「T150」「T200」「T350」の4機種展開で発売された2023年モデルのタイトリスト「T」アイアンシリーズ。今回はその中から、抜群のフィーリングと安定性を生み出す鍛造ハーフキャビティ「T100 アイアン」をピックアップする。前作「2021年モデル」と比べながら有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「なぜここまで進化できる!? 高さ&強さがドンズバ」
―率直な印象は?
「前作と比べて大きなデザインチェンジがないのに、ここまでスイートエリアを拡大できたことが不思議です。外観から受ける印象は何も変わっていないのに、なぜここまできれいにボールに当たるのか。勝手に芯をとらえてくれる打ちやすさを感じます。今回試打した純正シャフト『ダイナミックゴールド(S200)』は通常、私のHSでは適正ではないのに、当たりが厚くて飛距離も十分(総距離:7Iで平均155.4yd)。スピン量が適度に確保できる分、気持ちよく飛ばせる印象を受けました」
―スピン量が適度に…?
「はい。もちろんロフト角は寝ているので(7Iで34度)、比較的スピンが多めに入る設定ではありますが、同じロフトの前作と比べても若干スピンが多く、最高到達点が高く出やすい。ボールが捲(めく)れるというか、打ち出しからポッと上がって上からポトンと落ちる弾道ではなく、少しスピンを伴って飛んでいく飛び姿が見ていて気持ちいい。スピン量でいえば300~400rpmほどの微差ではありますが、フィーリングではかなり違いを感じる弾道でした」
―打感の違いもある?
「これまでの上部キャビティ部が肉厚なモデルは、ちょっと打音が高かったり、ミスヒットしたときに嫌な振動があったり、あまり好きではない感触を受けることが多かったのですが、今作の打感にはそれが全く感じられません。内部が詰まった軟鉄鍛造や、内部にレジンが注入されたモデルではないのに、なぜか打音も感触も分厚く感じる。あくまでも想像ですが、やや高重心化して浅い入射角でもしっかり上から打ち込める設計にしているのではないでしょうか。適度な高さと強さを感じることで、インパクト時にボールを潰せていける感触がしっかり残りました」
―最大の魅力は寛容性or飛距離性能?
「ロフトを立てたり、クラブを長くしたり、軽くしたりすれば、飛距離が出ることは当然分かるのですが、そうしなくても飛距離を伸ばせるメリットを、今作で感じることができます。最大の魅力は、見た目は変わらないのに当たりだけ強くなったところ。前々作『T100 アイアン<2019年>』をマイクラブにしている私も、買い替えを考えてしまいます」
―他社でいうと類似モデルは?
「サイズや形状、打ちやすさや直進性の高さ、ツアープロもアベレージゴルファーもフィッティング次第で十分使いこなせるあたりは、ピン『i230 アイアン』と類似点は多いように感じます。ミスを抑えて十分飛ばせることから、5・6番から入れても即戦力になり得る共通点で、ライバルモデルといえるでしょう。同時期発売のミズノ『ミズノプロ』と比較されることは多いですが、独自の製法と素材選びが大きく異なるため、私は類似モデルとは言えない気がしました。その理由は国産or海外産ということではなく、あくまでも狙っているターゲットと方向性が違うように思います」
―どのような人向き?
「すでに固定のファンが多い人気モデルですので、継続して同社が好きなゴルファーが中心になると思います。ただ、新規でもギア情報に敏感な人には、ぜひ試してもらいたいです。今やテレビ中継だけでなく、ウェブやSNSでPGAツアーの情報が得られるため、同じ格好いいデザインに憧れている人や、ツアーの使用率を常にチェックしている人には、特に興味深いモデルだと思います。今シーズン発売のモデルは、この『T100』を筆頭にかなり個性的で粒ぞろい。ロフト角や形状、サイズだけで性能を決めつけてしまうのは、とてももったいない。先入観を持たず、純粋に自分に合うモデルをフィッティングして見つけてほしいです」
ほぼオール5の最大評価! 飛距離以外全て満点◎【総合評価4.9点】
【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】5.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:34度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。