タイトリスト T350 アイアンを筒康博が試打「キャビティ→中空で打感◎」
シリーズ最大限の飛距離&寛容性「T350」 ご意見番クラブフィッター評価は!?
2023年発売のタイトリスト「T」シリーズアイアンの紹介も、残すは1モデル。トリを飾るのは、ツアーアイアンのフィーリングを感じながら、最大限の飛距離と寛容性を提供する「T350 アイアン」だ。同シリーズ内では、大きなヘッドサイズと飛距離性能が特徴となるが、その破壊力はどの程度のものなのか!? 前作「T300 アイアン」と比べながら有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「シリーズの統一感がアップ! まさに『T200』のサイズアップ版」
―率直な印象は?
「前作『T300』は、他の兄弟モデル『T100』『T200』とは全く別ものという感じだったのですが、今作『T350』は『T200』をそのままサイズアップしたような性能で、シリーズの統一感を汲んでいる気がしました。良い意味で『T200』をそっくりそのまま大きくした感じ。あとは顔の好みだけで選べばいいので、余計なことを考えずに選べるところが進化した部分といえます」
―「T200」をそっくりそのまま…?
「はい。打っている感覚は、まるっきり『T200』のままです。ただ、サイズ感は『T300』を継承した大きめの安心感と、上下左右にミスヒットしても打ち出し角、初速がしっかり出る。それがどちらかというと打ち出し角を得やすい特徴を前面に出しているので、飛び自体でいうと『T200』と極端に違うわけではありませんが、とにかくボールを上げやすい。トップしてもフェースの上めに当たっても、高さが変わらない。やさしい『T』シリーズといえるのではないでしょうか」
―重心が高くなった&浅くなったなどは感じる?
「今までの兄弟モデルでは多少感じられましたが、『T350』では分からないくらいスイートエリアが広いです。前作『T400』のような構造が、ヘッド内部に備わっていると思います。サイズは大きく分厚い形状を、キューッと前作『T300』のサイズに閉じ込めたモデル。ですからその2モデルの間の『350』という数字がモデル名になったのかなと思います」
―前作との違いは?
「バックフェースが中空になり、ポケット構造ではないことによって、打音の甲高さと打感の硬さが、すごくマイルドになった点です。『T300』も決して打感が硬いわけではないのですが、『T350』の内部の空洞部分を作ったことで、音が逃げずに抜けていく感じが変わりました。打感がよりマイルドになって、打感だけなら『T150』『T200』とほとんど変わらないほど近似しています。前作はそれぞれ打感、打音ははっきり違いがあったのですが、今シリーズではかなり差がなくなった印象を受けます。この大きなサイズ感と寛容性を維持した上で、打感と打音を改良した結果、このヘッド構造になった感じがします」
―他社でいうと類似モデルは?
「『T』シリーズは、マッスルなのに寛容性が高かったり、キャビティなのに複合金属でしっかり裏を埋めたりという、これまでアイアンの概念を変えてきたシリーズだと思います。今作も同じように、『中空だけど中空ではない』といった新たな提案をしてきました。あえて大きすぎず厚すぎない形状で、寛容性を非常に高く構築しています。これから競合モデルが生まれてきそうな予感。逆を言えば、現段階ではまだ類似モデルは存在しないということです」
―どのような人向き?
「ヘッド長が長い番手を多めに入れている人向き。例えばセットの中にユーティリティを2、3本入れている人のほうが、『T350』のようにヘッド長が長いモデルとの相性は良いです。ロングアイアンやショートウッドではなく、ユーティリティを好んで使っている人はぜひ試してほしいです。また、シャフトは軽量スチールやカーボンのライアップがそろっているので(NSプロ 105T、880 AMCTENSEI AV RED AM)、シニアゴルファーやパワーに自信のない方にもお勧めできるモデルだと思います」
シリーズ通して全モデル4.5以上 高得点をキープ【総合評価4.5点】
【飛距離】4.5
【打 感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:29度(7I)
・使用シャフト:NSプロ 105T(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。