ヤマハ RMX VD/R ドライバーを住吉大輔が試打「懐かしさを覚える小ぶり感」
“ちょい上”高初速エリア設計 屈強なレッスンコーチの評価は!?
ヤマハの新「RMX」シリーズは、「Bull's-eye Face(ブルズアイ フェース)」と呼ばれるフェースセンターの少し上で最も初速が出るように設計された新開発フェースを採用。飛距離性能の高さが発売前から話題となり、新たなファンを獲得している模様だ。そんな今秋の注目作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ゴルフテックで1、2を争う強振スインガー・住吉大輔コーチが高初速+コントロール性の高さが特徴の「RMX VD/R ドライバー」の試打評価を行った。
「まさしくプロ向け 445ccでも“ミニドラ”級に見えるシルエット」
―率直な印象は?
「15~20年前に、私が高校時代に使っていた洋ナシ型のドライバーが、そのまま復刻したようなモデルです。ヘッド体積460ccの大型ヘッドが主流の現代では珍しく、小ぶりな形状で(445cc)かなり操作性重視に仕上がっています。契約プロの今平周吾プロの意向や希望を元に、忠実に作られたということを聞きましたが、確かにツアープロ向けの見た目と性能を持つ完全なるアスリート系ドライバーといった感じです」
―それほど小ぶりに見える?
「はい、洋ナシ型の形状が際立っているため、実際は(体積の)数字より小さく400ccちょっとくらいにしか感じません。例えるなら300cc台のテーラーメイド「ミニドライバー」シリーズに近い雰囲気。性能も外見通りに重心が浅く、460ccのドライバーと比べるとややダウンブローで当たりやすい半面、強引に叩きにいっても吹け上がりにくい特性をしているため、相殺して結果的にバランスが取れているのかなと思いました。深低重心の傾向が強い最新モデルの中では少し異質ですが、スピン過多で悩んでいるHSが速い上級者やプロには最適な性能といえます」
―アベレージゴルファーには難しい?
「そうですね。アベレージゴルファーにはシビアに感じますが、そのサイズのモデルでたくさん練習をして、上達した経験を持つ上級者やプロは懐かしく感じるでしょう。学生の頃からゴルフをやってきた人や、400~430ccのドライバーで始めた人には、当時のフィーリングを思い返せてハマる人はきっと多いと思います。ただ、現代のドライバーのやさしさに慣れてしまった人には、ちょっとシビアに感じてしまう気はします」
―兄弟モデル「VD/M」「VD/X」と比べると?
「『M』は、『R』に比べればイマドキっぽい性能が若干含まれていて、寛容性を出しつつ操作性も感じられるバランス重視の性能を有しています。可変式ウエートを『LOW』にするか『HIGH』にするかで、だいぶ特徴も変わってくると思うので、その振り幅の広さも魅力のひとつ。『X』は、『R』『M』に比べてグッと寛容性が上がり、かなりやさしさを備えたアベレージゴルファー向け。上級者とプロ向けの『R』とアスリート向けの『M』に比べて、かなり広めのターゲット層を狙っている印象。3本とも特色が異なるので、購入時は選びやすいかと思われます」
―過去の同シリーズと比べて印象はかなり違う?
「確かに3機種の色がはっきり分かれているところは、過去作とは大きく異なるかもしれません。特にこの『R』は、一定のファンに向けたターゲットを絞ったモデルなので、過去のアスリートモデルと比べても相当レベルは限定された印象を受けます。高慣性モーメントが主流の今の時代に逆行し、ヘッドを自在に操って、ボールを自らコントロールしたい人向けにドンピシャに作られたモデル。そこに当てはまる人はベストマッチする可能性は大きいですが、それ以外の人が気軽に手を出すとかなり危険。『M』『X』とはまた違った方向性を感じます」
―どのような人向き?
「同シリーズでこのモデルだけ数量限定にしているところを見ると、同社も一般的なアマチュアゴルファーを対象にはしていないと思われます。誰向き? と聞かれれば、まさしくツアープロ向き。アマチュアの中では、『日本アマチュアゴルフ選手権』に出場するような特定の上級者に限られてくる。もちろんクラブを振り抜けるHSの速さも必要ですが、ボールコントロールを自在に行える腕前が求められるでしょう」
2.5点△から5点満点◎まで幅広い極端な性格【総合評価3.9点】
【飛距離】3.5
【打 感】4.5
【寛容性】2.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:SPEEDER NX BLACK 50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 住吉 大輔(すみよしだいすけ) プロフィール
1988年10月30日生まれ、神奈川県出身、ゴルフテック横浜所属。高校時代に競技ゴルフを始め日本体育大学に進学。大学在学中にレッスンプロの道を目指し、レッスンに必要な運動力学や機能解剖学を専攻。感覚的なレッスンではなく科学的に分析をし事実に基づいたレッスンを行い、初心者から上級者まで分かりやすく丁寧なレッスンを心がけている。