クラブ試打 三者三様

ゼクシオ 13 アイアンを住吉大輔が試打「打感はまるでツアーモデル」

2023/12/16 20:00

王道を継承する13代目アイアン 屈強なレッスンコーチの評価は!?

今月9日に発売された13代目「ゼクシオ」シリーズ。ドライバー同様に芯で打つ快感を全てのゴルファーに提供するべく開発された「ゼクシオ 13 アイアン」は、チタンフェースの4ピース複合構造による徹底した低重心設計で、高初速エリアを拡大したという。そんな王道を継承する13代目モデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争う強振スインガー・住吉大輔コーチの評価は!?

「緩やかグースでスッキリ! ちょうどいい塩梅の“シン飛び系”」

飛距離は出ていたものの(総距離:平均194.1yd)ややつかまらずに右へ

―率直な印象は?
「一番率直に感じた点は、ドライバーと同じく見た目がスッキリ化し、前作『12』より構えやすくなっているところです。グースの効き具合を少し抑え、ターゲットに対してスクエアに合わせやすくなっています。打感も、同シリーズ独有のパキーン!と弾きのいい高い打音が弱められ、ビシッ!とやわらかさの中に弾きのいい音が残るツアーモデルに近いフィーリングが味わえます」

左が「13」右が「12」。ポケットキャビティから中空キャビティに変化

―前作と比べて見た目はどうスッキリ化した?
「感覚的な違いにはなりますが、ネックからフェースにつながるヒール側のラインが、上から見て相当鋭角に入っていた『12』に対し、『13』はオフセットは確かに存在するものの、そこが緩やかにつながって見えます。グースは入っていますが、角度が緩やかに配置されていることで、ネックとフェースが分割されず、全体が一面として把握できることでフェースにより集中できる。サテンとサテンミラーの仕上げの違いも手伝い、グースがあまり目立たないことも影響しているといえます」

左が「13」右が「12」。13がサテンに対し12はサテンミラー仕上げ

―打感の変化に影響している要素は?
「そうですね、やはり一番は打音でしょうか。ドライバーも全く同じように感じたのですが、打音の甲高さがなくなり、玄人好みな落ち着いた音色に変化しています。同シリーズのこれまでの特徴であった遠くへ響きわたる高い音から、少しこもり気味にも聞こえます。ただしそこがマイナスではなく、感触に集中できることでフィーリングに良い効果を生んでいる。好感触が残る低音なので、私を含めて歴代モデルより好みになるプレーヤーが増える気がしました」

高強度Super-TIX 51AFチタン採用で軽量&薄肉フェースに

―7番で200yd近く飛んでいましたが(平均194.1yd)?
「はい…、ちょっと飛びすぎている気はしますね(笑)。マイクラブだと7番でキャリー約170ydが通常なので、ランを含めても確かに出すぎている感じがします(キャリー:平均183.3yd)。だからといっていわゆる“飛び系”か? と聞かれると、そこは断定できない。ロフト角がそれほど立っている気もしませんし(7Iで28度)、単にボテッとした分厚い形状というわけでもないからです。ユーザーが過度に感じないように、長所も短所もちょうどいい塩梅でバランスを取っているように感じます」

バックフェース外周部やポケット内の底に入った溝(グルーブ)によってたわみを生む

―そもそも同シリーズを購入する人は、飛びではなくやさしさを求めている?
「んー…、そうですね。飛びかやさしさかという分け方をしていないような…。飛びもやさしさも、両方を含めた“総合的な寛容性”を求めているのではないでしょうか。単純に他社モデルより飛ぶから買い替えるというよりは、総合的に安定的に飛ぶ信頼性で成り立っている気がします。一発の飛びよりも、1ラウンドを通して安定した飛びを期待している。1モデルの性能よりは、ブランド自体を好んで、総合的に魅力を感じている人が同シリーズのユーザーになっていると思います」

「純正の軽量スチールは軽すぎて 思いきり振るにはやや怖い感じ…」と住吉

―どのような人向き?
「基本的に同ブランドを好むエンジョイゴルファー向き。グースが苦手な方でもスイッチしやすい形状となっている分、前作に比べて構えやすくなっているので、より多くのターゲット層を見込んでいると思います。これまで通り年齢層は高めに設定していますが、打感や打音、また中空構造に変えたバックフェースを見る限り、ややアスリート寄りに仕上げて、“若返り”を図っています。シャフトの組み合わせ次第で、性能も大きく変わる柔軟性を持ったヘッドなので、対象HSはあまり気にしなくていいかもしれません」

シャフト不一致で… 3項目3点△とやや低調【総合評価3.6点】

【飛距離】3.0
【打 感】4.0
【寛容性】3.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:28度(7I)
・使用シャフト:NSプロ GH850 DST(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 住吉 大輔(すみよしだいすけ) プロフィール

1988年10月30日生まれ、神奈川県出身、ゴルフテック横浜所属。高校時代に競技ゴルフを始め日本体育大学に進学。大学在学中にレッスンプロの道を目指し、レッスンに必要な運動力学や機能解剖学を専攻。感覚的なレッスンではなく科学的に分析をし事実に基づいたレッスンを行い、初心者から上級者まで分かりやすく丁寧なレッスンを心がけている。

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