Qi10 MAX ドライバーを西川みさとが試打「テーラーにはなかった安心感」
テーラーメイドの新機軸10Kドライバー HS40m/s未満の女子プロ評価は!?
テーラーメイドが新たに提唱するドライバーのやさしさの世界基準“10K”。上下左右の慣性モーメント合計値1万超えを果たした「Qi10 MAX ドライバー」は、飛び(SPEED)とやさしさ(FOR GIVENESS)を両立させ、カーボンウッドをより多くのゴルファーに訴求するモデルとして進化させた。そんな“ぶっ飛び系10K”をヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「見た目の変化は超強力! ただ私は『Qi10』派…かな」
―率直な印象は?
「同社のドライバーは、他社と比べてライ角がフラット気味なので(スタンダード設定58度)、上から見た際に少しつかまり具合を心配してしまう顔立ちではあります。カチャカチャ機能があるので(62度まで可)気になる人は調整すれば問題ない部分ですが、標準設定では少しアップライトさが欲しいかなー…。実際の性能ではつかまり具合は強く、外見と中身でギャップがあったため、弾道が落ち着くまでやや時間がかかってしまいました…。ですが、安心感という部分では強みに感じる人は多いと思います」
―前作「ステルス2」シリーズと比べても安心感は強い?
「そうですね。ヘッド上下の厚みが今作『Qi10』のほうが薄く、シャローヘッドに見える分、弾道を高く出しやすい構造に見えます。ただ、前作が構えにくかったわけではなく、それぞれの特徴が違うだけで、どちらも構えやすい。打感については、長年チタンフェースの感触に慣れているため、カーボンフェースに苦手意識を持っていたのですが、今作はそこもちゃんとフォローした仕上がりに。弾き感のある打音とやわらかすぎないフィーリング。未だにカーボンフェースを避けている私のようなゴルファーにも、しっかりリーチできる工夫が施されています」
―具体的に見た目はどう変わった?
「フェース上部の白い線(アライメントライン)が入ったことで、かなり視認しやすくなったと思います。それほど主張しすぎず、フェース面の存在を把握しやすい。しかもフェース全面のカラーリングが赤から紺に変わったことで、上から見ても黒いクラウンとの統一感がある。フェースだけ強調して浮いて見えるより、全体がシュッと小ぶりに見えやすく、構えやすくなりました。紺は紺で良いなと思わせてくれる“技あり”なデザインです」
―兄弟モデル2機種と比べると?
「正直言うと、前作までのサイズ感と形状に近いスタンダードモデル『Qi10』のほうが、見慣れた形状だからなのか、『―MAX』より打ちやすく感じました。前作も同様ですが、最近のモデルはどれも十分に寛容性は備わっていて、さらに上下左右の…となってもあまり明確な差を感じません。一方の『―LS』は、完全に対象外ですかね…。見た目は『Qi10』と大きく変わらず、それほど難しく見えないのですが、低スピン性能は私にはやや過度に感じてしまいました。ボールは上がらず、全く歯が立たなかったです」
―同時期発売キャロウェイの「パラダイム Ai スモーク MAX ドライバー」と比べると?
「ボールの上げやすさ、つかまり具合の強さでいうと、『Qi10』シリーズのMAXのほうが、若干やさしいクラブに映ります。『パラダイム Ai スモーク』もミスヒットに強く、寛容性はそこまでの違いを感じませんが、イメージした弾道の打ちやすさでは『Qi10 MAX』のほうが上。元々持っている特徴の(丸みを帯びた)顔立ちと、やや三角形状の同社の顔との好みの差かなと思います」
―どのような人向き?
「今までの同社のドライバーにはないヘッドの大きさと形状になっているので、『ステルス』も『ステルス2』も、『ステルス グローレ』シリーズも、ずっと使用してこなかった人がチャレンジできるモデルに仕上がっています。同社のテクノロジーは気になっていたけれど、シャープで小ぶりな三角形状に苦手意識を持っていた人に、ぜひ手に取っていただきたいです」
小ぶり好き西川は“10K”の恩恵をそこまで受けず…【総合評価4.0点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:Diamana BLUE TM50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。