クラブ試打 三者三様

ボーケイ SM10 ウェッジを西川みさとが試打「食いつきと打感の適度な両立」

2024/07/30 20:00

ツアーNo.1ウェッジの10代目 HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

ツアープロから高い支持を得ているウェッジといえば、タイトリスト「ボーケイSM(スピンミルド)シリーズ」。10代目となる新モデル「SM10 ウェッジ」は歴代モデルの性能を継承しつつ、正確なショットを放つコントロール性とスピン性能をさらにブラッシュアップしたと評判だ。前作「SM9」と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「食いつきと音量が最適 打感も寛容性も操作性も全て◎」

西川はスピンの効きを実感(※15ydを目標に置いた試打テスト)

―率直な印象は?
「元々スピン性能やフェース面の食いつき感がすごくあるシリーズという認識でしたが、10代目になって改めてその性能がグレードアップした印象を受けます。インパクトでボールにヒットしている音がしっかり耳に伝わり、ボールがフェースに乗っている時間が長く感じる。しっかりフェースに食いついている分、ボールコントロールも非常にしやすい。構えやすさと扱いやすさをすごく感じることができるツアーモデルに仕上がっています」

キャッチコピーは『ショートゲームをもっと思い通りに』

―前作「SM9」と比べると?
「前作はリーディングエッジ(フェース下部の刃)の丸みが程よく付いていて、ボールを拾いやすく感じられると評価しましたが、新作『10』もそのメリットは継承されている印象です。『9』の良さをそのまま引き継いでいる感じで構えやすい。打つ前から良いイメージがわき、顔の印象が良いので打感も寛容性も操作性も全てが高評価に収まる感じ。出っ歯型の代表モデルとして細部までこだわった完成度の高さを、十分に感じることができました」

リーディングエッジの丸みを評価 ※画像はロフト56度

―打音を含めた打感の評価は?
「ある程度(打音の)音量が大きくないとボールに当たった感覚が薄くなってしまうため、音は抑えめでも大きすぎてもダメ。今作はそこが適度で、しっかりフェース面の食いつきを感じながら、ヒットしている打音も程よく大きいです。これまでは食いつきが強いとちょっと打音が鈍かったり、食いつきと音量が比例しない印象を持っていましたが、今作はどちらも兼ね備えている感じ。音量もしっかり出ていて、食いつき感も得られる希少な存在だと感じます」

左がSM10、右がSM9。まさしく正統進化

―バンカーでの抜け感もいい?
「そうですね、良かったです。そもそも試打したクラブがハイバウンスの14度を試したのですが、打ち出し角は高く(目標15ydで平均26.8度)、インパクトからすぐにボールが上がる感じが好印象でした。砂上でバウンスが跳ねる感じがキツくないというか、イメージ通りにちゃんと砂と一緒に爆発させられる。バウンスだけが地面に当たるのではなく、ちょうどよく砂と一緒に爆発するショットを実感できました」

溝の間にはマイクロテクスチャーによる細かいグルーブ(溝)を施している

―ご自身のマイクラブ(テーラーメイド「MG3 ウェッジ」)と比べると?
「『MG3』よりスピンが効いていたように感じます。全てのショットでピンをデッドに狙っていいのではないかというくらい、すごくスピンがギュギュッと効いてくれる印象です。自身のウェッジではシャフトはもう少し軽いスペックなのですが、今作で試したダイナミックゴールドでも、それほど気になりませんでした。このままのバランスで合うのであれば、このまま使いたいです」

「打ち出しは少し低めで キュキュッとスピンがかかる」(西川)

―どのような人向き?
「バリエーションの豊富さも相まって、いろいろな使い方、可能性の広がるモデルではないでしょうか。ロフト角58度/バウンス角14度をバンカー専用として一本だけバッグに入れてよいですし、ロフト角48度から3~4本と揃えてもいい。対象者はあえて固定せず、多くの人にチャレンジしてほしいと思います。ただ試す際は、練習場のマット上だとバウンス角があるだけで、跳ねて操作しにくいという間違った感想を抱く可能性も大きいので、実際に芝で打って見定めてほしい。プロが使うモデルだから難しいと決めつけず、気になるスペックから試してほしい思います」

西川も唸った!スピン性能満点 打感も抜け感も◎【総合評価4.5点】

【スピン性能】5.0
【打 感】4.5
【抜け感】4.5
【バンカー対応力】4.5
【構えやすさ】4.0

・ロフト角/バウンス角/グラインド:48度/10度/F、52度/8度/F、58度/14度/K
・使用シャフト:ダイナミックゴールド(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

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