クラブ試打 三者三様

ボーケイ SM10 ウェッジを宮下敏弥が試打「感触と弾道がピタリ」

2024/08/03 20:00

ツアーNo.1ウェッジの10代目 テックNo.1の飛ばし屋コーチの評価は!?

ツアープロから高い支持を得ているウェッジといえば、タイトリスト「ボーケイSM(スピンミルド)シリーズ」。10代目となる新モデル「SM10 ウェッジ」は歴代モデルの性能を継承しつつ、正確なショットを放つコントロール性とスピン性能をさらにブラッシュアップしたと評判だ。前作「SM9」と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。今回から、国内ゴルフテックNo.1の飛ばし屋と呼ばれている宮下敏弥コーチが参戦。ショートゲームはやや苦手という彼だが、大学ゴルフ部の経験を活かして試打評価を行った。

「アイアン的な狙いやすさ◎ イメージと弾道が重なる」

意図している所より少し球足が伸びてしまう場面が…(※15yd先が目標)

―率直な印象は?
「構えたときにアイアンライクというか、ウェッジ独特の形状というより、トップラインの丸みを抑えたアイアンに近い形状に見受けられます。打感はボールに当たった感触がとても心地よく、打ったイメージと弾道がしっかり重なる。さすがは繊細なフィーリングを重視するツアープロに愛されるモデルといったところ。10代目という歴史の長さが物語る通り、磨きに磨いた完成度の高さに圧倒されました」

ロフトごとに設計された「プログレッシブ CG」重心設計がさらに進化

―完成度の高さに圧倒…?
「はい。感覚とボールがピッタリ合うと言いますか、こんなイメージで飛ぶだろうなと思い描いた通りに、クラブが運んでくれます。たぶんプロがウェッジで一番気になる部分は、当てた感触と弾道が合わないことだと思うので、そこを突き詰めている印象を受けます。今回試打した平らなライだけではなく、傾斜のあるバンカーでも同じ感想を抱いたので、ライの良し悪しは関係なくイメージの具現化を可能にしてくれるウェッジではないでしょうか」

ボールに当たった感触をダイレクトに伝えるソリッドで心地よい打感

―打感はやや硬め?
「そうですね、やわらかくはありません。ただ、ボールがフェースに全くくっ付かずに単に弾くだけというわけではなく、いま私が使っているテーラーメイドのツアーモデル『MG4 ウェッジ』と比較すると、ちょっとだけ球が強く出る程度。フィーリングが合う人が打てば全く問題ないレベルの硬さです。逆に言えば、やわらかさよりも少しヒットした感覚を得たい人に向いているといえます」

左「SM10」右「SM9」。どちらも同じロフト角52度で比較

―前作「SM9」と比べると?
「『SM10』のほうが見た目がシャープで鋭さが増したように見えます。トップブレードの色味や仕上げの微妙な艶の見え方の違いで、シュッとしているように見受けられました。私が使用しているアイアンが鋭いからかもしれませんが、よりアイアンチックに見えた要素だと思います。50yd以上の長めのアプローチでピッチ&ランがすごく打ちやすそう。どちらかを選ぶとしたら、やはり『SM10』でしょうか」

ソフトな砂や芝からのショットに適したワイド幅の「Kグラインド」

―バンカーショットでの評価は?
「試打したロフト角58度/バウンス14度/Kグラインドは、バウンスがしっかり効いてくれて、芝の上では滑ってくれる感じは強いと思います。ただ、砂上ではちょっと手前を深めに入ったときに弾かれてしまうこともあるし、逆に深すぎて突っかかってしまうときもある。もうひとつロフト角56度/バウンス12度/Dグラインドはすごく抜けがよく、普段バウンス10度を使っているのですが、12度でもDのソールの存在感は大きく砂を薄く長く拾えました。バンカーショットとしては、Dのほうが印象はよかったです」

マキロイに憧れてテーラーメイドのウェッジを使い続けている宮下コーチ

―どのような人向き?
「グラインドのバリエーションが豊富で、どんな人にも合った削り方を見つけ出せると思います。グリーン周りも得意だけど、50~60ydの微妙な距離にもこだわりたい人にお勧め。HSやスコアレベルはあまり関係ないでしょう。上級者っぽいイメージが強いブランドなので、アベレージゴルファーには敬遠されがちですが、使ってみたら意外と…みたいな例は今後間違いなく増える気がします。試打する際は1種類だけではなく、いろいろなグラインドを試してほしいです」

打感5点◎だけど不安感を抱く構えやすさは3点△【総合評価4.0点】

【スピン性能】4.0
【打 感】5.0
【抜け感】4.0
【バンカー対応力】4.0
【構えやすさ】3.0

・ロフト角/バウンス角/グラインド:48度/10度/F、52度/8度/F、56度/12度/D、58度/14度/K
・使用シャフト:ダイナミックゴールド(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 宮下敏弥(みやした・としや) プロフィール

1999年生まれ、神奈川県出身。小学校から高校までサッカーに打ち込み、ケガを理由で大学からゴルフに転向。わずか2年でベストスコア65をたたき出し、最終的にチームの主将を務めた。ゴルフ上達の最短ルートを心得ていると自負しているゴルフテック期待の若手コーチ。週2~3回のウエートトレーニングを欠かさず、筋力には自信あり。得意のドライバーショットは300ydを超える。

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