クラブ試打 三者三様

スリクソン ZXi7 アイアンを井上真熙が試打「顔が類似『5』とコンボ推奨」

2025/01/11 20:00

シリーズ最高の打感と操作性「ZXi7」 ゴルフ知識を学んできた理論派コーチの評価は!?

昨年11月発売のダンロップ「スリクソン ZXi」シリーズは、過去最高の打感を追求したアイアンがそろっていると評判。中でも球筋と飛距離を自在に操れる「スリクソン ZXi7 アイアン」は、小祝さくら青木瀬令奈櫻井心那ら契約プロが即スイッチを決めたとして注目を浴びている。そんな同社自信作をHSの異なる有識者3人が採点。ゴルフ知識を多角的に学んできた理論派コーチ・井上真熙(いのうえ・まさき)が試打評価を行った。

「ボールがフェースにくっ付くやわらか打感 『5』との差は打ち出し角」

しっかりつかまった強弾道を連発(総距離:184.5yd)

―率直な印象は?
「打感がマイルドで、フェースにボールがくっ付いている時間が長く感じられました。非常にやわらかい軟鉄『S15C』を使用しているとのことで、芯をとらえたときの気持ちよさは格別です。兄弟モデル『ZXi5』と見た目は大きく変わらないのですが、ロフト角が寝ている分(ZXi7は7Iで32度、ZXi5は31度)、ちょっと打ち出し角が高い。ゆっくりボールが離れていく印象も、打感が大きく影響しているからだと思います」

やわらかい軟鉄「S15C」と進化した「PUREFRAME」との組み合わせ

―打感に影響している…?
「決して『ZXi5』も打感が劣るわけではなく、やわからさはほぼ同じくらいのフィーリングです。ただ、ロフトの分だけ『7』のほうが高さが出るので、打感よりもむしろ打ち出し直後のボールの差の違いを大きく感じ取れます。『5』より『7』のほうがその分だけ初速感が出すぎることなく、ボールをコントロールしている実感が湧きます。より速い初速で中断道を求めたい人は『5』、キャリーでしっかり狙った位置に落とすことを重視したい人は『7』という選び方になると思います」

コンボ使いに適した「ZXi」シリーズの両モデル

―性格はほとんど一緒?
「そうですね。もちろんロフト角が寝ている分、飛距離は若干違いますが(今作184.5yd、ZXi5は188.6yd)、正直なところ大きな差はありません。特に顔は、アドレスして構えているだけでは、ほぼ同じなのではないかと思えるくらい。2本を同時に構えて見比て初めて『5』のほうがひと回り大きく感じる程度です。モデル名を言わずに打ち比べたら、どちらがどちらか分からないのではないでしょうか。そのくらいの微小な差。『5』と同じ見た目で、ちょっとボールを飛ばしすぎたくない、距離感をシビアにコントロールしたい上級者向けが『7』といえます」

左が「ZXi5」右が「ZXi7」 ※どちらも7I

―と言うと、コンボ使いに適している?
「はい。コンボの第一条件は、アドレスして上から見たときの印象が変わらないこと。セッティングとして番手間の流れが同じことが条件なので、『7』と『5』の組み合わせは十分クリアできているといえます。ボールの上げやすさの違いだけでアイアンセットを構成できる点は、プレーヤーとしては非常にメリットに感じられるでしょう。基本的にはショートからミドルアイアンまで『7』を使っている人が、ロングアイアンを『5』にする選び方になるかと思います」

3~7Iは広く浅く 8I~PWは狭く深くした番手別の溝設計

―今回試打した純正シャフトの違いは?
「『NSプロ モーダス3』は比較的にあまり走らず、粘り系の特性なので、自分でヘッドを操作したい人向きと感じます。その中でも、ボールをそれほどつかまえたくない人には、重量帯のやや重めの『―ツアー120』。もう少しつかまえたい人には『―ツアー105』という選び方でいいと思います。『ダイナミックゴールド』は逆にちょっとだけしなり感を得られ、ヘッドの重さでクラブを下ろしたいゴルファー向き。重くて硬いイメージを抱く人は多いと思いますが、実は切り返し以降でしなって、インパクト前後ではつかまってくれる要素を感じられます。もちろんシッカリ感がある中での話ですが、HSがある程度速く、重さを気にしない人であれば、その感覚の違いを参考にしてほしいです」

「純正スチールシャフトの中でも 微小なつかまり具合の違いがある」(井上)

―どのような人向き?
「これはかなり上級者向けですかねー…。HSは速く、飛距離も十分飛ぶ人向き。マッスルバックアイアンだと小振りすぎてハードに見えてしまい、スピン量も入りすぎて困っている人に少し安心感が持てる今作は最適。また、頻繁に回るコースがツアートーナメントほどではないにしても、比較的にグリーンが速く、傾斜も大きくて、常に難しいセッティングで距離感の精度を求められる人。アマチュアでは扱えるプレーヤーは限られると思いますが、それでもコントロールをプロ並みに磨きたい、飛距離より方向性を突き詰めたい、そんな向上心の強い方にお勧めのアイアンです」

「優秀バランス型」と評したZXi5(4.1点)より0.1点ダウン【総合評価4.0点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】3.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:32度(7I)
・使用シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー105、NSプロ モーダス3 ツアー120、ダイナミックゴールド(どれも硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 井上真熙(いのうえ・まさき) プロフィール

1998年生まれ、茨城県出身。ゴルフコーチを行っていた叔父の誘いで10歳からクラブを握る。高校ではゴルフ部に入り、ゴルフの楽しさを伝える仕事に就きたいと考えるように。卒業後、東京ゴルフ専門学校に入学してルール論、ゴルフ歴史学、心理学、用具論、用具メンテンナンス、トレーニング論、スイング論を学ぶ。PGAティーチングプロ資格取得済み。現在は「ゴルフテック by GDO」六本木店にて勤務。

ダンロップ
シリーズ最高の打感と操作性
発売日:2024/11/09 参考価格: 145,200円