じわじわ来てる 注目マッスルバック8モデルを徹底比較
ウッズモデルから三浦技研まで… 一挙に試打&解説
飛び系アイアンが主流となりつつある昨今のアイアン市場で、難しいと敬遠されがちなマッスルバックアイアンが、意外にもじわじわと再燃の兆しを見せている。今回は話題を集める最新マッスルを厳選し、今野一哉プロに実際試打をしてもらい、データ分析とそれぞれの特徴を解説してもらった。
数字では分からない進化「操作性」と「抜け感」
試打の結果を踏まえて今野プロは、「軟鉄鍛造一体成型で、ロフト角もそれほど変わらないマッスルバックは、測定値ではそれほど大きな差は出ません。現代のモデルは肉厚の変化や形状の違いなどで、より打ちやすさや操作性の良さ、ソールの抜けの良さなどを進化させています」と、最新モデルの傾向を分析してくれた。
ナイキモデルよりやや重厚感「P7TW」
「テーラーメイド『P7TWアイアン』は、ナイキ時代のタイガー・ウッズモデルに近い市販品『VR PRO ブレード アイアン』に比べて、少し打感は硬めに感じますが、より厚みのある感触を与えてくれます。スコアラインがヒールのギリギリまで入っていることで、ヒール寄りの打点でフェード弾道を打つイメージを湧かせてくれます」
見た目と打感のギャップなし「TW-MB ローズ プロト」
「本間ゴルフ『TW-MB ローズ プロト アイアン』は、トウ側の造りが肉厚にできていて、重心距離を長めに設定してあることで、打感の良さを確保しています。薄いトップラインに切れ味の鋭さを感じさせ、実際にもソールの抜けが抜群。見た目と振り心地のミスマッチのないモデルといえます」
ターゲットに合わせやすい「ブループリント」
「ピン『ブループリント アイアン』は、他社のモデルよりさらにひと回り小さく感じる形状です。打感はやや硬めに感じますが、ロフト角の割に飛距離が出ます。一番下のスコアラインに白い線が入っていることが特徴で、方向性を出しやすい。フェースの下部で打ちたくなるような細工が施されています」
高い打音&吸いつき感「ミズノプロ」
「ミズノ『ミズノプロ 120 アイアン』は、トップブレードの厚さが特徴的です。薄いモデルに比べてやさしそうに見えますが、実際には寛容性をそれほど重視していません。打音が高めで、球持ちが良いことで、手に吸いつくような打感を実現。さすが軟鉄鍛造のミズノといえる、味わい深さを感じさせる一本です」
ひと回り大きなやさしいマッスル「スリクソン Z フォージド」
「ダンロップ『スリクソン Z-フォージド アイアン』は、以前同社から発売されていた『Z945』『Z965』より、やさしくなった印象を受けます。他社モデルと比べてひと回りサイズが大きく、周辺に重量配分してあるため、マッスルバックの中ではミスへの寛容性が高いです。その上で操作性や打感の良さは損なわれていません」
高機能なイマドキマッスル「EZONE MB」
「ヨネックス『EZONE MB 501 フォージド アイアン』は、バックフェースのスリット部に『グラファイト制振材』と呼ばれる特殊素材を挿入し、他モデルとは異なる独特のやわらかい打感を生み出しているモデルです。重心深度が深く、ボールを上げやすいやさしいマッスルバックです」
ストレートネックなのにつかまる「ファストマッスル」
「マスダゴルフ『ファストマッスルアイアン』は、ヒール側が高く、ボールを包み込む懐(フトコロ)の深さを感じさせるデザインです。ストレートネックながら、つかまり感をもてる見た目。肉厚があり、ヒール寄りにミスヒットしても、打感が変わらず球筋にも影響しない寛容性の高さがあります」
シャープな動きが特徴「MC-501」
「三浦技研『MC-501 アイアン』は、トップラインが薄く、ストレートネックで、スコアラインがヒールまでしっかり入っています。全体的にはやや難しい印象を感じる小ぶりな形状ですが、その分クイックな操作性があり、インパクトがシャープに感じられるモデルといえます」
8モデル総まとめ マトリックス図はこうなった!
飛距離やミスの寛容性では、飛び系アイアンには及ばないものの、操作性や打感といった点はマッスルバックならではの魅力が満載だ。「数字には表れない感性を刺激する点が、マッスルの最大の利点です。さらなる上達を目指したい人は、一度は試してみてはいかがでしょう」と、自身もマッスルバックを使用する今野プロならではの所見で締めくくってくれた。
撮影協力/カレドニアンゴルフクラブ
■ 今野一哉(こんの・かずや) プロフィール
1982年生まれ、千葉県出身。300ydを超えるビッグドライブと自在に球筋を打ち分ける技術を併せもつプロゴルファー。レッスンだけでなくギアやルールにも精通する“ゴルフコンシェルジュ”として多方面で活躍中。エイティーン代表。