コスパ最強はどれ? レーザー距離計2020徹底比較
「ソレ本当に買い?」 忖度なしド直球評価
2019年のルール改正により、いまやゴルフ競技での使用が認められているレーザー距離計。近年ではレーザー自体の性能が上がり、高低差表示はもちろん、長い距離でも精度誤差が極小の範囲に。さらにGPSを内蔵したモデルが現れるなど、多様化が進んでいる。そこで性能・使いやすさ・デザイン・コスパの4項目を軸に、最新モデル6機種を徹底比較した。
今回のテスターは、2000年代に約10年間レギュラーツアーで活躍し、現在は試打企画「クラブ試打 三者三様」でもおなじみの西川みさとプロ。実際に同じ距離(150yd)からピンを計測し、各項目を10点満点で評価。合計得点でランキング化した。
第6位:ピンシーカープロXEジョルト(ブッシュネル)
・性能:9点
・使いやすさ:4点
・デザイン:3.5点
・コスパ:5点
・総合:21.5点
「ツアープロや競技ゴルファーの中で使用率の高いブッシュネル。私も長年同社製を使用してきましたが、この新モデルも6機種の中で最も正確な距離が出せていました。ピンを計る際に誤って奥の木まで測ってしまうミスもなく、性能と精度はNo.1。ただ、気になる点は2つ。ひとつは重さ(315g)で、ポケットに入れてもベルトにつけても、身につけるには少し抵抗を感じる重量感。もうひとつは、表示される液晶の文字が薄く、見にくい点もマイナス評価となりました」
第5位:ボイスキャディCL2(ボイスキャディ)
・性能:7点
・使いやすさ:7点
・デザイン:6点
・コスパ:6点
・総合:26点
「軽くて持ちやすいサイズ感で、女性に好まれるデザインだと思います。計測結果が出るときにバイブ機能が付いているのもありがたい。初めてレーザー距離計を使う人には扱いやすいと思います。気になるのは、表示される赤と緑がチカチカする感じ。できれば、黒で見やすいシンプルな掲示にしてほしいというのが希望点です。また、ピンまでの距離を測った際、奥の林や小屋までの距離にフォーカスされることが何度かあり、少し使用が難しく感じました」
第4位:レーザーアキュラシー PINPOINT Professional SLOPE-1(ライクス・ジャパン)
・性能:7点
・使いやすさ:7点
・デザイン:7点
・コスパ:7点
・総合:28点
「多機能でハイテク系に強いゴルファーに好まれる機種です。文字もはっきりしていて分かりやすく、レーザー距離計に慣れているベテランゴルファーに適したモデルと言えます。ただ、私には少し情報量が多すぎて、混乱してしまう印象を受けました。ひとつの画面にいろいろな距離が同時に表示されるため、慣れるまでに少し時間がかかる点が気になります。残り距離をもう少し明確に表示してくれれば、レーザー距離計に慣れていない人にも使いやすいと思います」
第3位:Approach Z82(ガーミン)
・性能:7点
・使いやすさ:8.5点
・デザイン:6.5点
・コスパ:7点
・総合:29点
「距離表示が見やすく、精度も問題ないですし、握りやすい形状なので使っていて全くストレスを感じません。ただ、携帯するには少し重め(232g)なのが気になります。ポケットに入れておくというより、カートに置いて使う人にはマッチすると思います。デザインも高級感があり、男性に好まれそうなシックなフォルム。あえて女性目線で言わせていただくと、もう少しカジュアルな印象をもたせたデザインだと、購買欲が湧く気がします」
第2位:COOLSHOT 40i GII(ニコン)
・性能:7.5点
・使いやすさ:8点
・デザイン:8.5点
・コスパ:9点
・総合:33点
「説明書を見なくても使いこなせるシンプルさが高評価となった要因です。距離表示も見やすく、軽量(179g)で扱いやすい。ホワイトカラーもスタイリッシュで、センスの良い印象を与えてくれます。これだけ要点を絞った機能であれば、年配ゴルファーでも使いやすいという点で好印象です。ただ、唯一気になったのは、ボディの表面がツルツルしているため、グリップ力がやや弱い点。うっかりすると、落としてしまいそうな不安を抱きました」
第1位:ショットナビ レーザースナイパー X1 Fit(テクタクト)
・性能:8点
・使いやすさ:10点
・デザイン:8点
・コスパ:10点
・総合:36点
「サイズ感が超コンパクトで、ラウンド中にポケットに入れたままでも、気にせずショットできる利点があります。また操作も簡単で、表示のアイコンも分かりやすい。この機種が2万円台で買えるという価格設定も、大満足の要素。特に気に入った点は、計測する際のボタンを押した直後、初めに残り距離のみをシンプルに表示してくれる点。一番知りたい情報を即レスで教えてくれる要素は、レーザー距離計に求める不動のメリットと考えます」
シンプル is ベスト! 価格設定と使い勝手で選ぼう
「実際のラウンドで、距離を測定する時間はほんの数秒です。数秒でピンとグリーンエッジまでの残り距離や高低差を加味して、落とし所の計算を瞬時に行わなければならず、あまりに情報量が多いと混乱のもと。少しでも迷いがあると、ミスショットの確率は高くなるので、分かりやすく知りたい情報だけを教えてくれる距離計が理想だと思います」
最新のレーザー距離計は確かに機能が進化しているが、実はプロゴルファーであっても複雑な機能は求めていなかった。西川氏が高評価をつけたモデルは、簡単な操作でシンプルな距離表示のモデルばかり。購入のポイントは、ユーザーそれぞれで異なると思うが、検討材料のひとつとして参考にしてはいかがだろうか。
次回は「最新ウオッチ型GPSナビ 2020徹底比較」をお届け。
取材協力:木更津ゴルフクラブ
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。