いまや“飛び系”はひと括りにできない!? 人気アイアン8本を徹底比較
注目8モデルをトラックマンでデータ分析
ロフト角21~24度のフェアウェイウッド(以下FW)、ユーティリティ(以下UT)、飛び系アイアンにおいて、それぞれ特性別・スイングタイプ別による選び方について解説してきた本企画。FW6機種、UT8機種に続き、今回は飛び系アイアン8機種を石井良介プロが試打し、各モデルの解説と比較を行った。
目次
- 選び方) 超・ちょい・バランスの3タイプ
- 1) HS遅めでも飛距離アップを狙える「UD+2」
- 2) 軽快さが武器になる「ゼクシオ クロス」
- 3) ブレずにぶっ飛ぶ異色のタイト「T400」
- 4) 顔も性能も妥協したくないなら「ZX4」
- 5) ミスには弱いが操作性は抜群「P770」
- 6) とにかくやさしい「SIM2 MAX OS」
- 7) 打ち出し角が最も高い「G710」
- 8) はじめての飛び系として最適「JPX921」
- まとめ) 最新の飛び系は3タイプから選ぶ
選び方) 超・ちょい・バランスの3タイプ
トラックマンによる試打データをもとに、8モデルのスピン量(縦軸)と飛距離性能(横軸)を分布図で示してみました。大きく分けると、最近の飛び系モデルは「超ぶっ飛び型」「ちょい飛び型」「バランス型」の3タイプに分かれます。
飛距離に特化した「超ぶっとび型」に分類されるのは、飛び系アイアンの代名詞となりつつあるヤマハの「インプレス UD+2 アイアン」。5番でロフト角21度と超ストロングロフト設計になっていて、飛距離性能は申し分ありません。5番で21度のダンロップ「ゼクシオ クロス アイアン」と20度のタイトリスト「T400 アイアン」も同じ系統。打ち出し角が高く、ボール初速も出るので、UTに近い弾道で球が上がっていくタイプです。
ここ最近で増えている「ちょい飛び型」は、シャープな形状でありながら中空構造を取り入れ、既存モデルに比べて飛距離性能を高めたタイプです。こちらはアスリートブランドで主流になっていて、ダンロップ「スリクソン ZX4 アイアン」やテーラーメイド「P770 アイアン」がその代表格。4番が21度前後と通常のアイアンよりもロフトは立ち気味ですが、超ぶっ飛び型ほど低スピンではありません。
「バランス型」は、その名の通り全体のバランスを取りながら、飛距離アップの進化を遂げているタイプ。テーラーメイド「SIM2 MAX OS アイアン」、ピン「G710 アイアン」、ミズノ「JPX921 HOT METAL アイアン」が該当します。打ち出し角は抑えめでも、バックスピンがしっかり効くので、ボールが途中からグングンと上がるアイアンの本来もつ弾道を生みます。アイアンセット全体の流れを重視して、同じ弾道でグリーンを狙いたい人に向いています。
1) HS遅めでも飛距離アップを狙える「UD+2」
ヤマハ「インプレス UD+2 アイアン」(6I・ロフト角21度)
ヘッドスピード 41.1m/s
ボール初速 61.0m/s
打ち出し角 16.4度
バックスピン 3831rpm
キャリー 214.9yd
総飛距離 227.6yd
他のモデルに比べてヘッドスピードが速い理由は、クラブが長めの設計(5Iで39インチ)になっているからです。同じように振ってもスピードが出せるので、飛距離性能はNo.1。ヘッドスピード不足に悩むシニア層ほど、飛距離アップを手助けしてくれるでしょう。
2) 軽快さが武器になる「ゼクシオ クロス」
ダンロップ「ゼクシオ クロス アイアン」(5I・ロフト角21度)
ヘッドスピード 40.0m/s
ボール初速 59.0m/s
打ち出し角 15.6度
バックスピン 3488rpm
キャリー 207.8yd
総飛距離 224.3yd
他のモデルと比べて圧倒的にソール幅が広く、高弾道で飛ばせる感覚はUTに近いと言えます。全体的に軽量タイプ(総重量:純正カーボン5Iで349g)なのでシャフトのしなりが大きく、楽に振ってもドロー系の高弾道で飛距離を稼ぐことができます。
3) ブレずにぶっ飛ぶ異色のタイト「T400」
タイトリスト「T400 アイアン」(5I・ロフト角20度)
ヘッドスピード 40.8m/s
ボール初速 60.0m/s
打ち出し角 15.4度
バックスピン 3733rpm
キャリー 209.3yd
総飛距離 219.1yd
トウとヒール側に計100gものタングステンが内蔵され、本当にブレにくいです。ロフト設定を見る限り、玄人好みの「タイトリスト」の中では異彩を放つ存在。打ち出しから高く上がるので、比較的にグリーンで止める計算は立てられそうです。
4) 顔も性能も妥協したくないなら「ZX4」
ダンロップ「スリクソン ZX4 アイアン」(4I・ロフト角21度)
ヘッドスピード 40.4m/s
ボール初速 60.6m/s
打ち出し角 14.9度
バックスピン 3990rpm
キャリー 211.5yd
総飛距離 224.9yd
アスリートゴルファー好みのシャープな顔に、中空構造のやさしさと飛距離性能を融合しています。ストロングロフト設計ですが、ダウンブローに打ち込むとしっかり高さとスピン量を出せるので、自然と方向性も安定します。
5) ミスには弱いが操作性は抜群「P770」
テーラーメイド「P770 アイアン」(4I・ロフト角22.5度)
ヘッドスピード 39.9m/s
ボール初速 59.0m/s
打ち出し角 15.6度
バックスピン 3774rpm
キャリー 207.2yd
総飛距離 221.4yd
ツアーモデルの形状で、ドローとフェードの打ち分けがしやすい分、芯を外したときは飛距離をロスしやすいので平均スコア80台の上級者におすすめ。それでも昔のマッスルバックに比べると、はるかにやさしい性能をそなえています。
6) とにかくやさしい「SIM2 MAX OS」
テーラーメイド「SIM2 MAX OS アイアン」(6I・ロフト角22.5度)
ヘッドスピード 39.4m/s
ボール初速 58.9m/s
打ち出し角 16.2度
バックスピン 4061rpm
キャリー 203.8yd
総飛距離 216.4yd
初級者やアベレージゴルファーにイチ押し。振りやすくて直進性も高いので、とにかくやさしいアイアンと言えます。そのうえ打感に適度なやわらかさがあるので、シビアな印象は一切なく楽しい気分で打つことができます。
7) 打ち出し角が最も高い「G710」
ピン「G710 アイアン」(5I・ロフト角21.5度)
ヘッドスピード 40.1m/s
ボール初速 59.6m/s
打ち出し角 17.7度
バックスピン 3855rpm
キャリー 209.0yd
総飛距離 220.9yd
5番で21.5度とロフト角は立ってはいますが、今回の8モデルの中で最も打ち出し角が高い結果となりました。硬質な打音により初速感が強くても、結果的には十分に高さが出せるので、安心してグリーンに止められる性能に仕上がっています。
8) はじめての飛び系として最適「JPX921」
ミズノ「JPX921 HOT METAL アイアン」(5I・ロフト角22度)
ヘッドスピード 39.7m/s
ボール初速 59.5m/s
打ち出し角 15.8度
バックスピン 4426rpm
キャリー 203.2yd
総飛距離 214.4yd
ウッド系とは異なる、しっかりスピンが効いたアイアンらしい弾道で、飛距離アップが望めるメリットを感じます。幅広いターゲットにマッチするモデルで、これまで飛び系を使ったことのないゴルファーでも違和感なく扱えると思います。
まとめ) 最新の飛び系は3タイプから選ぶ
・「超」「ちょい」「バランス」の3タイプ。
・超ぶっ飛び型…とにかく飛距離に特化したモデル。
・ちょい飛び型…シャープな形状で飛距離性能も高めた中空モデル。
・バランス型…やさしさと飛距離性能をあわせもつモデル。
取材協力/ハンズゴルフクラブ
■ 石井良介(いしい・りょうすけ) プロフィール
1981年生まれ、神奈川県出身。PGAティーチングプロの資格を持ち、トラックマンを使った最新理論やデータに基づくレッスンが好評。YouTubeチャンネル「試打ラボしだるTV」も大人気。
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