キャロウェイはなぜ「マーベリック」ではなく「ローグ」に回帰したのか
キャロウェイから発表された新製品は、初代から4年ぶりにリニューアルされた「ローグ(ROGUE)」だった。2017年から2年おきに発売されている中・上級者向けの「エピック」シリーズを除くと、「ローグ」(18年)→「マーベリック」(20年)→「ローグ ST」(22年)という流れになる。
新たなイメージ・リニューアル感をもたせるため
同社プロダクトチームによると、「ローグ」と「マーベリック」は幅広いターゲット層を想定した同じラインのモデルだという。ことしの新作は「マーベリック」の後継機種とも予想されたが、なぜ4年ぶりに「ローグ」に回帰したのだろうか?
同チームの回答によれば、「『マーベリック』はいまだに好評を得ているシリーズで、現在も使用中のゴルファーが多い状況。そのなかで、新たなイメージを打ち出していきたい意図があり、それ以前のネーミングを復活させました」とのこと。好評を博しているラインのリニューアル感を演出するとともに、そのラインアップに厚みを持たせる狙いがあるようだ。
「マーベリック」と「エピック」にはない、「ローグ ST」の新しさとは? 茂貫太郎プロダクトマネジャーは、「ヘッド後方に配した『タングステン スピード カートリッジ』、ヘッド下方の剛性を高めた『ジェイルブレーク AI スピードフレーム』、飛びの3要素を最適化させた『AIフェース』、1ピース成型にする『ユニボディコンストラクション』。この4要素により、ボール初速とミスヒット時の強さを生むことができました」と、新しくチューンアップした機能を主張した。
特に茂貫氏は、新登場の「タングステン スピード カートリッジ」が生み出す安定感の高さに自信をのぞかせる。「ヘッド後方の最外周にウエイトを置くことで、慣性モーメントを高めてヘッドのブレを抑えます。ただブレを抑えるのみではなく、後方からがっちり抑えた構造にすることで、ミスヒット時のボール初速の落差を抑えることが狙い。飛距離アップだけでなく、安定的に飛距離を確保することができます」
ボール初速だけではない “両立”こそが「ローグ」の強み
一般的に、やさしさのみを追い求めるとスピン量は増え、飛びの要素は軽減してしまう。逆に飛距離を追い求めると、ミスヒットの強さは低下しやすくなるとされている。
「ローグ」とは、「反逆者」や「荒くれ者」を意味する。思い返せば、初代では前年に初登場した「エピック」シリーズを意識したプロモーションを展開し、キャッチコピーは『エピックをやさしさで超えろ。飛距離で超えろ』だった。「エピック」で初採用された2本の柱「ジェイルブレイクテクノロジー」をスリム化し、余剰重量を生むことでより深・低重心化を図り、相反する飛びとやさしさを追い求めた。
4年を経てリニューアルされた「ローグ ST」のキャッチコピーは、『さぁ、ボールスピード・ゲームの始まりだ』。新しく導入したテクノロジーと、アップデートした既存の機能を融合。従来モデルを超えるボール初速と、二律背反とされてきた性能を両立させているという。既成概念への“反逆者”であり、正論を覆す“荒くれ者”のイメージを、ゴルファーに提供したいという思いが、改めて「ローグ」のネーミングに込められているように感じた。(編集部・内田佳)