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ピン「ChipR」が入荷待ち状態! チッパーブーム到来の予感

2022/09/16 14:30
チッパー生みの親であるピンが新たなブームをけん引するか!?

7月に発売されたピン「ChipR(チッパー)」が、グリーン周りのミスを減らす“お助けクラブ”として、異例の大ヒットとなっている。各店舗で売り切れが続出し、GDOショップでも入荷待ち状態。なぜ、これほどまでに注目されるのか――。トレンドウォッチャー・コヤマカズヒロ氏に聞いた。

1年前から大ヒットの機運が高まっていた

「実はヒットする前ぶれというか、チッパーが再評価される雰囲気は、ここ1年ほど前からありました」と語るコヤマ氏。

近年再び売り上げを伸ばしているという「R35 ウェッジ」

「2005年発売のプロギア『R35 ウェッジ』は、いまだに売れ続けている超ロングセールスを記録しています。また、昨年クラブアナリストのマーク金井氏が監修したリンクス『R25 ランニングウェッジ』が発売され、ギア情報の感度が高いゴルファーの関心は、確実にチッパーへ向いていました。そこにやさしいクラブをリリースするピンゴルフから発売されたことで、アプローチに悩むゴルファーが一斉に手を挙げ、大ヒットにつながったと思われます」

アイアンライクな顔立ちが“邪道説”を一掃

約1年前から空気感があったとはいえ、以前は“チッパー邪道説”も存在していた事実がある。では、なぜその空気は払拭されたのか? コヤマ氏は同社開発の“コンセプトの妙”を挙げた。

キャッチコピーは『シャープにピンを狙えるランニングウェッジ』

「ウェッジといえば、タイトリスト『ボーケイ』、テーラーメイド『ミルドグラインド』、キャロウェイ『JAWS』といった、プロ仕様モデルがメーンで売られてきました。チッパーを含む“お助けクラブ”は、見た目が格好悪い、安っぽいという理由から敬遠され続けてきた存在。そこにきて、『ChipR』は外見のスッキリさに魅力が集約されています。構えた際、上から見た印象はアイアンの顔とほとんど変わらず、パターライクな印象はなし。ボテッとしたサイズ感ではなく、操作性に優れた顔立ちが、既存チッパーに対する邪道感を一掃させたのではないでしょうか」

第2の『ChipR』は? テーラー、キャロだけでなく国内勢からも

これまでなかなか光が当たらなかったチッパー部門に、新たなムーブメントを起こすきっかけとなり得るかもしれない「ChipR」。コヤマ氏は、「他社からも新たなチッパーが生まれる可能性は高い」と続ける。

「今回のヒットで、他メーカーも動き出していることは必至でしょう。実現するかどうかはさておき、すでに会議で議論されていると思われます。テーラーメイドやキャロウェイといった海外勢からは、パターライクなオデッセイ『X-ACT』とは違い、新しいテクノロジーを搭載した、シンプルなデザインのモデルを登場させる可能性は高いです」

「国内では、ダンロップがすでに『ゼクシオ CR ウェッジ』を出していますが、クリーブランド『スマートソール』シリーズとは別に、ゼクシオシリーズとして新たな観点で開発に踏み出す可能性も低くはないでしょう。また、プロギアも『R35』に代わる新モデルを、そろそろ検討しているでしょうし、幅広いアイディアを採用するグローブライドやヨネックス、また地クラブからも登場する可能性は高いです」

本当の意味でのブームになるかは購入者次第

最後に、ブームの予感は? という質問に「もう来ていますよ」と即答。

ロフト角:38.5度、ライ角:70度、バウンス角:8度、標準クラブ長:34インチ

「YouTubeやSNSで話題となり、すでに商品が売れている現状は、ムーブメントがすでに起こっているといえます。これが長く続くか、短命で終わるかは別項目。買ったはいいものの、それほどメリットが感じられず、ポイッとなってしまっては、一過性のブームで終わってしまう。買ってすぐ結果が出ずに諦めてしまうか、一定期間は練習し、自分のスイングやゴルフに合わせる努力をするか――。本当の意味でのブームは、購入者次第といえるのではないでしょうか」

■ コヤマカズヒロ プロフィール

1974年生まれ、広島県出身。99年に「ゴルフパートナー」の立ち上げに加わり、膨大な量のクラブデータや査定基準の構築に関わる。独立後はゴルフライターとして執筆活動を行いながら、ゴルフ誌やWEB、書籍、放送など多方面で活躍。19年からYouTubeチャンネル「しだるTV」を開設。

ピン
シャープにピンを狙えるランニングウェッジ
発売日:2022/07/14