コスパボール検証・第3弾 ディスタンス系を試打比較!
ゴルフボールはできるだけコスパのいいモデルを使いたいというのがゴルファーの本音。そこで2回にわたり、会員制倉庫型卸売店コストコで販売する「カークランドシグネチャー パフォーマンス+」の実力を調べてきた。第3弾では、性能面と価格設定が絶妙なボールがないかを市場で調査。超お手頃な1ダース1000円台2ピースから、トップセールスを続ける大人気3ピースまで、まずはアイオノマーカバーの最新ディスタンス系15機種 を打ち比べ、コスパの観点で評価した。
今回もツアー3勝の日下部光隆 プロに協力いただき、同じ条件下で8社15モデルのディスタンス系ボールを試打してもらい、トラックマンで計測。ドライバーでのティショット、ウェッジでのアプローチ試打をそれぞれ行い、データと値段を鑑(かんが)みてコスパ評価を独自に行った。
コスパの目安は1ダース「3900円」!? そもそもコスパのいいボールとは? 日下部プロは「飛距離とスピン性能を妥協しなくていい 絶妙なラインのモデルこそ、コスパのいいボールと呼べるのではないでしょうか」と定義する。
「普段はタイトリスト『プロV1 』を使用しているのですが、スピン系のツアーモデルはいまや1ダース6000円台後半以上。1球1球の品質差の無さ=均一性という面では、安価ボールとの差は感じますが、競技志向のないアベレージゴルファーにとっては、そこを重視しないという声も多いです。値段を下げ、ある程度品質がそろったボールを選ぶことも、ひとつの選択肢。飛距離とスピン性能は妥協せず、その中で値段ができるだけ安いモデルこそがコスパのいいボールと呼べるでしょう。私の勝手な感覚値ですが、ディスタンス系でのコスパのいいモデルが集まるラインは3900円 くらいかなと感じました」
赤線が“お買い得”の目安3900円ライン(値段は1ダース)
えっ、3900円! なぜ? 「理由は、ショットではカバーではなくコア(芯)から得られる当たった感触“ヒット感”、アプローチでは程よい重さ=フェースに乗っている“乗り感”が味わえるかどうか。それが3000円台前半だと軽すぎて味わえず、4000円台は十分に味わえる。4000円に届かない3900円くらいが一番安価で、性能とのバランスが取れたラインなのかなと感じました」
ドライバー調査「2500rpm以下で抑えられるかがカギ」 良し悪しの目安が分かったところで、次は個々のモデルの性能を調査。ドライバーテストでは、日下部プロには、ヘッドスピードが同じ46m/sになるように打ってもらい、飛ばしの3要素「ボール初速(BALL SPEED)」「打ち出し角(LAUNCH ANGLE)」「スピン量(SPIN RATE)」に注目した。ドライバーは、キャロウェイ「パラダイム Ai スモーク MAX ドライバー 」のロフト角10.5度を使用。
※トラックマンのデータはHS46m/sに近くプロが納得のいった弾道のみを表示(並びは価格順)
「打感は素晴らしいのに、ちょっとスピンが入ってしまった…」(日下部)
「打感は素晴らしいのに、ちょっとスピンが入ってしまった…」(日下部) (落合隆仁)
「想像以上に強い球が出た。ただ硬めの打感が気になる…」
「想像以上に強い球が出た。ただ硬めの打感が気になる…」 (落合隆仁)
「TRI-STARより若干硬めだけど、競技者でも使えるディスタンスって感じ」
「TRI-STARより若干硬めだけど、競技者でも使えるディスタンスって感じ」
「ディスタンス系の中ではやわらかい打感で、フィーリングは良かった」
「ディスタンス系の中ではやわらかい打感で、フィーリングは良かった」
「打感はほぼ同社『プロV1x』。弾道は理想的」
「打感はほぼ同社『プロV1x』。弾道は理想的」
「JGRに比べて弾きが強く、飛んでいる気がする」
「JGRに比べて弾きが強く、飛んでいる気がする」 (落合隆仁)
「競技志向のゴルファーでも納得できる飛びと弾道」
「競技志向のゴルファーでも納得できる飛びと弾道」
「初速、高さ、スピンのバランスがいい。総合点が高い」
「初速、高さ、スピンのバランスがいい。総合点が高い」 (落合隆仁)
「軽い感じは多少残るけれど、ヒット感があって飛ばせている感じがある」
「軽い感じは多少残るけれど、ヒット感があって飛ばせている感じがある」
「もちろんスピン系よりは打感は軽いけれど、同等のやわらかさを感じる」
「もちろんスピン系よりは打感は軽いけれど、同等のやわらかさを感じる」 (落合隆仁)
「ヒット感は抑えめだけど、ゆっくりフェースに乗ってくれる」
「ヒット感は抑えめだけど、ゆっくりフェースに乗ってくれる」
「D-1より少しだけヒット感が強め。その分 飛んだのでは」
「D-1より少しだけヒット感が強め。その分 飛んだのでは」
「硬さは否めないが、楽にボールが上がる。非力なゴルファーには最適」
「硬さは否めないが、楽にボールが上がる。非力なゴルファーには最適」 (落合隆仁)
「弾きが強く打感も硬いけれど、程よい重さ=ヒット感がある」
「弾きが強く打感も硬いけれど、程よい重さ=ヒット感がある」
「弾きはかなり強め。カキン!という高音がやや気になった…」
「弾きはかなり強め。カキン!という高音がやや気になった…」
「ヘッドスピードの微差はご愛嬌で、それぞれのボールの特徴が表れた結果になったと思います。総距離(TOTAL)も重要ですが、一番注目してほしいのはスピン量 です。ディスタンス系は、スピン系よりボール初速が速く出るのはもちろんですが、どれだけ吹け上がることなく高さを抑えられるかがカギ。理想は2500rpm以下。今回の中では2240rpmに抑まった本間ゴルフ『D-1 スピードモンスター 』が好結果につながったといえます」
アプローチ調査「打ち出し30度未満&スピン5000rpm超えが目安」 アプローチテストでは、キャリーが30ydになるように調整して打ってもらい、「打ち出し角」を抑えつつ「スピン量」がどれだけ多くかかるかに注目した。使用ウェッジは、三浦技研「TW-01 ウェッジ」の58度。
※トラックマンのデータは、30ydに近くプロが納得のいった弾道のみを表示(並びは価格順)
「程よい乗り感があり、性能の高さが実感できる」
「程よい乗り感があり、性能の高さが実感できる」 (落合隆仁)
「ボールの表面がつや消しでカラーリングも鮮やか。所有感が持てそう」
「ボールの表面がつや消しでカラーリングも鮮やか。所有感が持てそう」 (落合隆仁)
「若干硬めの打感はあるものの、フェースに乗る感じはスゴい」
「若干硬めの打感はあるものの、フェースに乗る感じはスゴい」 (落合隆仁)
「打ち出しを一定にしてコロコロ…と攻めたい人には最高に適したボール」
「打ち出しを一定にしてコロコロ…と攻めたい人には最高に適したボール」
「打音はほぼプロV1。同じ生産ラインで作られるというのも納得」
「打音はほぼプロV1。同じ生産ラインで作られるというのも納得」
「弾むような感じが気になったが、やわらかさは十分味わえる」
「弾むような感じが気になったが、やわらかさは十分味わえる」 (落合隆仁)
「スピン系といわれても分からないほどコントロールできる」
「スピン系といわれても分からないほどコントロールできる」
「何かに特化しているわけではなく、全て平均的なのでより実戦向き」
「何かに特化しているわけではなく、全て平均的なのでより実戦向き」 (落合隆仁)
「ちょっと軽いので競技では使えないかも。ただ、エンジョイゴルフなら最高レベル」
「ちょっと軽いので競技では使えないかも。ただ、エンジョイゴルフなら最高レベル」
「軽いのに乗り感がある分 SUPER STRAIGHTより操作できる」
「軽いのに乗り感がある分 SUPER STRAIGHTより操作できる」 (落合隆仁)
「ブリヂストン EXTRA SOFTに似ていて、打感のやわらかで乗っけていける」
「ブリヂストン EXTRA SOFTに似ていて、打感のやわらかで乗っけていける」
「硬めの打感は気になるものの D-1よりスピンの効きはいい」
「硬めの打感は気になるものの D-1よりスピンの効きはいい」
「打感の硬さはアプローチ向きではないものの、転がして攻める人には最適」
「打感の硬さはアプローチ向きではないものの、転がして攻める人には最適」 (落合隆仁)
「打感は硬いがスピンは十分に入る。これで千円台? と信じられないほど」
「打感は硬いがスピンは十分に入る。これで千円台? と信じられないほど」
「本間D-1と同じく、コロコロ転がしながらまとめるゴルフに合う」
「本間D-1と同じく、コロコロ転がしながらまとめるゴルフに合う」
「ディスタンス系のマイナス点は、スピン系に比べて弾きが強い分、アプローチでは意図した距離より遠くへ飛んでしまうところ。今回のケースでは打ち出し角は30度未満、スピン量は5000rpmを超えてほしいと思って打ちました。ただ、ショートゲームでは数値より大事なのは“乗り感”。フェースに乗っている感触が弱いと、軽すぎてコントロールできません 。適度な重さを感じられる=スピンコントロールできるボールを評価しました」
「ヒット感+乗り感」に価格を加味したベスト5は!? ドライバーとアプローチの結果を総合的に判断し、価格とのバランスを加味したうえで日下部プロにおすすめのベスト5を選んでもらった。
「初級レベルの(自身のレッスンの)生徒さんには、だんだん上達してきて、ある程度真っすぐ飛ばせるようになった段階で、使用ボールを統一してほしい と頼んでいます。次のステップとして、距離感を出さないといけないからです。銘柄は問わず、1機種に絞ってほしいとお願いします。そうすることで感性が磨かれ、確かな距離感をつくることができる。今回のランキングは、そのような方に向けて私が勧めるであろう観点で選びました」
ヒット感95、乗り感95、飛距離90、スピン性能90、低価格80【合計450/500点】
ヒット感95、乗り感95、飛距離90、スピン性能90、低価格80【合計450/500点】
ヒット感90、乗り感90、飛距離85、スピン性能90、低価格80【合計435/500点】
ヒット感90、乗り感90、飛距離85、スピン性能90、低価格80【合計435/500点】
ヒット感80、乗り感85、飛距離90、スピン性能90、低価格70【合計415/500点】
ヒット感80、乗り感85、飛距離90、スピン性能90、低価格70【合計415/500点】
ヒット感70、乗り感70、飛距離85、スピン性能90、低価格85【合計400/500点】
ヒット感70、乗り感70、飛距離85、スピン性能90、低価格85【合計400/500点】
ヒット感65、乗り感65、飛距離80、スピン性能80、低価格100【合計390/500点】
ヒット感65、乗り感65、飛距離80、スピン性能80、低価格100【合計390/500点】
ヒット感80、乗り感80、飛距離70、スピン性能70、低価格85【合計385/500点】
ヒット感80、乗り感80、飛距離70、スピン性能70、低価格85【合計385/500点】
ヒット感80、乗り感80、飛距離65、スピン性能70、低価格90【合計385/500点】
ヒット感80、乗り感80、飛距離65、スピン性能70、低価格90【合計385/500点】
ヒット感80、乗り感80、飛距離70、スピン性能70、低価格80【合計380/500点】
ヒット感80、乗り感80、飛距離70、スピン性能70、低価格80【合計380/500点】
ヒット感90、乗り感90、飛距離65、スピン性能80、低価格50【合計375/500点】
ヒット感90、乗り感90、飛距離65、スピン性能80、低価格50【合計375/500点】
ヒット感75、乗り感70、飛距離80、スピン性能60、低価格80【合計365/500点】
ヒット感75、乗り感70、飛距離80、スピン性能60、低価格80【合計365/500点】
ヒット感65、乗り感75、飛距離75、スピン性能90、低価格55【合計360/500点】
ヒット感65、乗り感75、飛距離75、スピン性能90、低価格55【合計360/500点】
ヒット感60、乗り感50、飛距離100、スピン性能65、低価格85【合計360/500点】
ヒット感60、乗り感50、飛距離100、スピン性能65、低価格85【合計360/500点】
ヒット感55、乗り感50、飛距離80、スピン性能80、低価格85【合計350/500点】
ヒット感55、乗り感50、飛距離80、スピン性能80、低価格85【合計350/500点】
ヒット感55、乗り感50、飛距離90、スピン性能65、低価格90【合計350/500点】
ヒット感55、乗り感50、飛距離90、スピン性能65、低価格90【合計350/500点】
ヒット感50、乗り感50、飛距離85、スピン性能60、低価格50【合計295/500点】
ヒット感50、乗り感50、飛距離85、スピン性能60、低価格50【合計295/500点】
【ディスタンス系コスパおすすめランキング】
1位:スネル「GET SUM 」3630円
2位:ダンロップ「スリクソン TRI-STAR 」3960円
3位:タイトリスト「TOUR SOFT 」4400円
4位:ブリヂストン「EXTRA SOFT 」3168円
5位:キャスコ「DNA 」1980円
※値段は全て税込み、1ダースの実勢価格
「1~3位までは、冒頭に述べた3900円ライン前後のものが並びました。4位のブリヂストン『EXTRA SOFT』は若干軽めな打感は気になるものの、“乗り感”が得られる。5位のキャスコ『DNA』は打感は硬いものの、スピンがしっかり入るという点を評価。とにかく1980円という値段を聞いて驚きました」と、ランキングの理由を語ってくれた。最後に「そもそもディスタンス系のカバーは耐久性が高いので、全体的にコスパがいいジャンルです。その上でさらにコスパのいい“キング・オブ・コスパ”と呼べるモデル が出そろったのではないでしょうか」と総評を述べた。
次回第4弾はコストコボールも登場! スピン系ボールを検証。「コスパ最強ボール2024 スピン系編 」につづく。
取材協力:東名カントリークラブ