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「ロストボール」のどこが悪い? 上級者が新品を選ぶ決定的な理由

2017/10/25 11:45

素朴な疑問「ロストと新品、何が違うの!?」

「どうせ無くなるのだから『ロストボール(以下、ロスト)』でなにが悪い?」、このように考えるアベレージゴルファーは少なくないだろう。新品は1ダース(12個入り)6000円前後、特売品でも3000円から4000円程度。一方のロストは30個1000円前後で店頭に並ぶ。消耗品であるボールにそこまでお金をかけていられないという気持ちも湧いてくるほどの価格差だ。ただ、賢い消費者なら価格だけでなく、ロストと新品の性能差にも同じだけ注目すべきだろう。

初級者の8割が使う「ロスト」、上級者はたったの2.5割!

ロストと新品の使用率を都内中古ショップで調べたところ、ロストを使用している率(「半々」「ほぼロスト」「ロストのみ」と答えた合計)は、平均スコア110以上が83%、90から100台が71%、89以下が25%と、レベルが上がるごとに減少していることが分かった(GDO編集部調べ)。この数値を見る限り初級者=ロスト、上級者=新品という消費パターンがゴルフ用品市場には確かに存在していると言えそうだ。

「距離感」を検証! 目隠しパッティング実験

テスター/谷 知樹さん(22歳、ゴルフ歴:2年、平均スコア:101、ベストスコア:95、ラウンド頻度:月2回)

では、上級者たちがロストを使わない理由は? 新品と比べて性能が低いから? いくつかの疑問を抱いた編集部は、両方のボールを集めてある実験を行った。

それは、目隠しをした状態でロストと新品をそれぞれ3球ずつパットを行い、5m先の目印にどれだけ近づけられるかという非常にシンプルなもの。テスターにはどちらのボールで打つかを教えず、まったく無心の状態で打ってもらった。

「注目は、結果よりも止まっている位置です」(筒氏)

※公平を期すために新品も全球異なるメーカーで実験

ボールが止まった位置と目印の距離をそれぞれ平均すると、ロストが54cm、新品は1.1mで、なんとロストのほうが距離感に勝るというよもやの結果となった。この実験に同席してもらったカリスマクラブフィッター筒 康博 氏に見解を伺うと、目印までの平均距離より大事なポイントがほかにあると切り出した。

「注目してほしいのは、実験結果の良し悪しよりもボールが止まっている位置の分布です。ロストの中には、かなりピッタリのものもあれば、2mほど大きくショートしたものもありました。それに対して、新品は3球ともややショートでしたが、ほぼ同じ位置に止まっていました

実はロストには、“アタリ・ハズレ”がある

ロストの結果がまちまちだった要因について、筒氏は「“個体差”にあると思われます」と即答した。「ロストの中には、新品同様のものもあれば、非常に劣化したものも含まれます。“アタリ”もあれば“ハズレ”もあるのです」と笑いながら説明を続けた。

「ロスト一つひとつの性能は、新品と比べて極端に落ちることはありません。今回の結果のように5mと決められた範囲であれば、予想に反してロストが好結果となることも十分にあり得ます。それよりも分布がまちまちなところこそ、ロストの欠点を物語っているのです」

ロストは、そもそもゴルフ場で拾ってきたものを集め、洗浄したあとに漂白され、(場合によってはコーティングされるものもある)商品として並べられている。その実情としては、回収自体を合理的に行うことができ、かつ、見た目でも新品同様(中には1度しかクラブで打たれていないモノも!)のボールを回収できる、池から回収したボールが圧倒的に多い。

ボールに用いられる素材(ゴムなど)には、水に浸けておくと性能が変化(例:加水分解)するものも含まれており、仮に外観のコーティングは修復できたとしても、反発性能に大きく影響するコア(中心部)は今のところ修復できない。新品同様で修復が不要なものも中にはあるだろうが、池から回収したロストはどうしても均一性に欠けてしまうのだ。

ボールも一つの“重要なギア”

「一般的にギアにこだわりを持っている人ほど、ロストを使わなくなる傾向があります。それはボールもスコアにとって“重要なギア”だと分かっているからです。アベレージゴルファーはロストを使っておけばいいと言う人もいますが、私は100を切っていない人こそ、ぜひ決まった新品を使うべきだと思っています」と筒氏は持論を展開した。

そして最後に「パターが入らない理由として、ストロークを疑うのと同じくらい、ボールを疑うことがスコアを良くする近道ですよ」と付け加えた。

新品ボールを使うメリット、それは“均一性”が担保されていること。パットやアプローチなどの距離感を常に同じにしたい人は、“ハズレ”を引いてしまう危険性を持ったロストではなく、すべて同じ状態の新品を選ぶ必要があるようだ。

(次回は、「2017ボール パット試打調査」をお届け!)

解説/筒 康博(つつ・やすひろ)
ゴルフ工房「G-XX(ジックス)ゴルフプロデュース」を主宰。ゴルフコーチ、クラブフィッター、クラフトマンとして数々のゴルフ誌にて活躍。プロアマ問わず約7万人以上のゴルファーにアドバイス経験を持ち、フィッティングセミナーや講演も精力的に行っている。