“淡色”を忍ばせ春仕様
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打ちっぱなしで練習しているとき、ふと一つの疑問が頭に浮かんだ。なぜ、自分は7番アイアン(以下、7I)でばかり練習しているのか? ほかの番手も打たないことはないけれど、7Iの練習頻度が飛び抜けて多いのだ。そういえば、ゴルフクラブを初めて振ったのも7Iだったかも。 なんで? きっと自分だけじゃないはず…という確信のもと、ゴルファーと7Iの濃厚な関係に迫った。
アベレージゴルファーを調査してみると、7Iで練習する球数は1回の練習量の約31%と、多くの割合を占める結果に(GDO編集部調べ)。
一般ゴルファーIさんの場合、「ゴルフを始めたときから7Iはスイングの基軸となる番手。その良し悪しで調子が判断できる」という。Uさんは、「ゴルフの番手は1W、3W、5…と“奇数”で成り立っていて、中でも長くも短くもない番手だから」と、分かったような分からないような理屈で、7Iを多用する理由を語った。
本当のところはどうなのだろう。カリスマクラブフィッターの筒 康博 氏に伺うと、「考えられる理由は、アイアンの番手でちょうど真ん中、“やさしいロングアイアン”でもあり“一番飛ぶショートアイアン”でもある番手だからでしょうね」と切り出した。
“中間”の番手は6Iも8Iもある。ではなぜ7Iかというと、「顔の変化が大きい」と筒氏は続ける。
「実は6Iと7Iは似ているものが多いのですが、8Iはウェッジからの流れに近い形状となっていて、ヒール側が広くつくられているのです。ターゲットに寄せるためのウェッジ寄りクラブ・8Iではなく、飛ばせて打てるアイアン寄りクラブ、その中で一番やさしい(長さが短い)7Iが練習に適しているといえます」とのこと。
クラブの時代背景にも、7Iが練習に適している理由が隠されていると筒氏はいう。「ひと昔前のアイアンセットは3Iから揃っていて、5Iまたは6Iで練習するのが一般的でした。それが昨今のストロングロフト化(ロフト角が立ってきた現象)により、セットも5Iからが普通に。7Iのロフト角が以前の5Iのそれに匹敵するようになってきたからです」と7Iが置かれた現状について言及した。
アイアンの中で7Iが練習に適していそうなことはなんとなく分かってきたが、そもそもなぜドライバーでもウェッジでもないのか!? 筒氏は「ドライバーの長さでは、練習する姿勢として直立しすぎ。逆にウェッジは前傾しすぎ。適度に前傾ができて、長時間練習に適しているクラブとなるとやはりアイアン。中でも7Iになるわけです」。
スイングの基礎となる姿勢を7Iで作る人が多いのには、ちょうどいい長さという必然があったというわけ。スイングの再現性を追求し、アイアンの長さを均一に揃えてプレーする米ツアー選手(ブライソン・デシャンボーは6Iの長さに揃えている)も話題となっており、姿勢を左右する「長さ」という視点はやはり重要なようだ。
筒氏は最後の理由にメンタル的な部分をあげた。「7Iのロフト角はドライバーの3倍(約30度前後)で、適度なスピン量が約5000回転。アドレスした際にフェースが適度に見えて、ボールを曲げようと思えば自在に曲げられる。その反面ミスはミスとしてはっきり結果に表れる。14本の中で一番クラブを感じながら、自身のスイングを教えてくれる先生的な存在なのです」。
適度に厳しく適度にやさしい、上達への手がかりをしっかり教えてくれる存在、それが7Iというまとめだった。
解説/筒 康博
ゴルフ工房「G-XX(ジックス)ゴルフプロデュース」を主宰。ゴルフコーチ、クラブフィッター、クラフトマンとして数々のゴルフ誌にて活躍。プロアマ問わず約7万人以上のゴルファーにアドバイス経験を持ち、フィッティングセミナーや講演も精力的に行っている
撮影協力/ロイヤルスターゴルフクラブ
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