topics

イメージ通り転がるボールはどれ? 現行モデル42種徹底検証

2017/11/10 11:45

素朴な疑問「新品ボールの選び方とは…!?」

前回上級者が新品を選ぶ決定的な理由について掘り下げ、アベレージゴルファーでも新品を選ぶべきと気づいた人は多かったのではないだろうか。次の課題は「どのように新品を選ぶと良いのか?」となるだろう。シリーズ2回目となる今回は初心者から上級者まで納得のいくボール選びについて追求し、その選び方の指標の一つとして試打検証を行った。

「おすすめは“クラブ別”の選択法です!」(筒氏)

新品ボールの選び方について、カリスマクラブフィッター筒 康博 氏は、「ボール選びをボール単体の性能だけで選ぶのは危険です。おすすめはクラブ別(パター、アイアン、ドライバー)で、自分が重視するクラブとの相性で選ぶべきだと思います」と、ボール選考時の視点の整理を真っ先に強調した。

「パター」で選ぶ = スコアメークに直結!

「まず今回試打するクラブはパターです。パターの試打結果で選ぶ理由は、あたりまえですがラウンドで一番回数を使うクラブだからです。スコアメークに直結する部分と言えます。ツアープロの多くがパットでのタッチでボールを選ぶというほど、重要視されている組み合わせといえます。たとえば松山英樹選手は、現使用のスリクソンZ-STARを開発から携わった際に『パッティングのときの音にこだわった』と明言しているほどです」

試打ロボットを使用して“スキッド”を計測!

同じ力量・同じストロークを可能にする試打ロボット「バーディくん3号」を使用(全長2m)

パターでの試打検証をするにあたり、重要なポイントを筒氏に問うと、「イメージ通りの“転がり”をしているかどうかですね」と即答した。

※横滑りスキッド説明写真:トラックマンジャパン提供

ではイメージ通りの“転がり”をどのように数値化するべきか。

「打ち出してからボールに順回転がかかるまでの“スリップ現象”をスキッド(SKID)と呼びます。このスキッドの距離が長いと地面との摩擦量を多く受けるため、距離が抑えめに出ることを意味します。一方でスキッドが短いと、順回転に早く移るため少ない力で距離が出やすいことを表します。ですので同じ力量・同じ振り幅でストロークしたときのスキッドの長さを比較検証してみましょう」と筒氏は説明した。

スキッドの長さ 1位は「レッド プレミアム」、2~3位はダンロップ製品

現在店舗にならぶモデル全42種をトラックマンで計測。3球ずつ試打を行い、その平均値でランキングを作成した。スキッドの距離が一番長いボールはプロギア「レッド プレミアム ボール」。そして2位から3位にかけてゼクシオシリーズ、スリクソンシリーズと、ダンロップ製品が並ぶ結果に。

この結果を踏まえて筒氏は、「ダンロップ製品が多く並んだ要因はラインアップの豊富さもありますが“外剛内柔(がいごうないじゅう)”と言われる構造を採用しているからです。外側に対して内側を柔らかくすることでショートゲーム時のスピン性能を向上させる狙いがありますが、パッティングにおいてはスキッドとして表れたのだと思います」と見解を述べた。

スキッドの短さ 「クロムソフト」が1位2位を独占!

スキッドの短い順ランキングでは、キャロウェイゴルフ「クロムソフト ボール」が2位と大差をつける圧倒的断トツの1位。2位は同シリーズの「クロムソフト X ボール」が続く結果となった。

「今回試打で使用したオー・ワークス パター Rライン CSを含め、オデッセイシリーズパターは早い段階で順回転に変わるスキッドの短さが特徴です。クロムソフト ボールとの相性で更に相乗効果が生まれるのは納得ですね」と筒氏は頷いた。

スキッドのランク圏外だった人気モデル結果数値

イメージ通りにパットを打つためのボール選び

検証を終えた筒氏は「試打ロボット『バーディくん3号』を使うことで、ボール初速はほぼ同数値である(2.6から2.8m/sの間)にもかかわらず、スキッドと距離の数値がここまで異なるとは思いませんでした」と驚いた表情を見せた。

その上で、上記データの生かし方で注意点を指摘した。「ボール選びの指標としては、スキッドの欄を見れば良いと思います。ただし決して長いから転がりが悪い、短いから転がりが良いというわけではありません。一般的には、いつもパットでオーバーしてしまう人はスキッド長め(順回転が少なく距離が短く出る)。ショートしてしまう人はスキッド短め(順回転が多くかかり距離が長く出る)を使うことで、イメージ通りの距離を出しやすいと言われています」という。

あとは自分がいつもコースで感じるパットでの欠点を補うために、最適なボールを選んでほしいというのが筒氏の主張だ。パッティングでの出球のイメージや距離感を重視する人には、ぜひこの選び方でマイボールを決めてみてほしい。

(次回は、「アイアンでの試打検証」をお届け!)

解説/筒 康博
ゴルフ工房「G-XX(ジックス)ゴルフプロデュース」を主宰。ゴルフコーチ、クラブフィッター、クラフトマンとして数々のゴルフ誌にて活躍。プロアマ問わず約7万人以上のゴルファーにアドバイス経験を持ち、フィッティングセミナーや講演も精力的に行っている。

協力/追分浩一(N・G・F 日本ゴルフ財団インストラクター)