ボール変更で15ydもの飛距離差…自分の最適スピン量モデルを探せ!
新作クラブには興味があるものの、ボールに関しては「ロストボールで十分」と思っているゴルファーが意外と多いようだ。様々なゴルファーの要求を満たすモデルが各メーカーから次々に登場している中で、本当にそれでいいのか? 自分に合ったボールを使用するとどれぐらいショットに変化が生まれるか、実験してみた。
今回協力を求めたのは、埼玉県秩父市にあるブリヂストンスポーツのゴルフテストセンター。同社では2013年より「ボールフィッティング」イベントを開催しており、今までに2000人を超えるアマチュアゴルファーのボール選びを手助けしてきた。
この日のテストは、次の4モデルを比較する形で行った。
・「ツアーB X」
ウレタンカバーのプロモデルXシリーズでは最大の飛距離を追求したモデル。2017-18年シーズンのPGAツアーで年間3勝と飛躍したブライソン・デシャンボーが愛用する。
・「ツアーB XS」
ウレタンカバーのプロモデルXシリーズでアプローチスピン性能を追求したモデル。2017-18年シーズンのPGAツアー最終戦でタイガー・ウッズが復活優勝した際に使用していた。
・「ツアーB JGR」
「飛距離モンスター」のキャッチフレーズで売り出したアイオノマーカバーの3ピースモデル。ヘッドスピード40m/s前後からのゴルファーを対象に高弾道低スピンを追求した。
・「PHYZ」
「飛びのアーチスト」のキャチフレーズで3月に発売されたばかりのアイオノマーカバーの4ピースモデル。ヘッドスピード38m/s以下での最大飛距離を目指し、力強い反発力と最適な弾道を追求した。
大別すると上2つが「スピン系」、下2つが「ディスタンス系」に分けられる。決して“ボールソムリエ”などではない筆者だが、実際に続けて打ってみると、ボールの外層の硬さや、中のコア部分のゴムの性質によって、それぞれ確かに打感が異なった。
4つのモデルを、ドライバー、アイアン、ウェッジ、パターでそれぞれ打ち比べ、ブリヂストンスポーツ社の担当者にその総合評価を委ねる。ドライバーとアイアンに関しては、ショット計測器の「トラックマン」で、ヘッドスピード、バックスピン量、飛距離などのデータを計測した。
筆者の場合、最も違いが現れやすかったのが「スピン量」だった。ドライバーのデータを平均して見てみると、ヘッドスピードは大体44m/s程度。打ち出し角が大体15度~17度と高く、バックスピン量も大きく出がちな傾向にあった。そのためスピン系の「ツアーB X」「ツアーB XS」だと、バックスピン量が3500~4000rpm(1分間の回転数)以上となってしまい、ボールが吹け上がってしまうことも多く、平均するとキャリーが200yd、ランも含めたトータル飛距離が215ydとなった。
一方、ディスタンス系だと、「ツアーB JGR」でバックスピン量が3200rpm、「PHYZ」で3000rpmと回転を少なく抑えられ、飛距離もキャリーで215yd、トータルで230ydを超える結果となった。特に「PHYZ」を打った際に軽くダフってしまった一打は、バックスピン量2000rpmまで落ち、結果的にトータル236ydとこの日の最長不倒を記録。「スピン量」が飛距離に与える影響の大きさを思い知る一打となり印象に残った。
ブリヂストンスポーツ社の担当者によると、ドライバーの場合は2000~2500rpmが最も飛距離が出る理想的なバックスピン量といい、プロゴルファーの多くはこの間の量で打てているという。例えば、2017年に引退した宮里藍さんだと、平均でヘッドスピードが43m/s、バックスピン量2200rpmで、トータルで約245ydを飛ばしていたそうだ。
次に7番アイアンを打ってみると、ここでも飛距離は「PHYZ」が平均165ydと一番飛んでおり、ほかのボールは150yd程度の結果となった。ただ7番アイアンの場合、ブリヂストンのボールフィッティングでは6000~6500rpmのバックスピン量を理想として示しており、それに対し「PHYZ」ボールを打った筆者の打球は平均4650rpmとかなり少なかった。これだとグリーン上でボールが止まらない可能性も出てきてしまうとか……。一方、「ツアーB X」と「ツアーB JGR」の2モデルは大体5500rpmと、こちらも最適量に比べると低い結果ではあるが、「PHYZ」よりは値が理想に近くなった。
アプローチとパターの打ち比べは、打ち出した時の打感や打音などを比べて好みを選ぶ、感性のテストになる。アプローチを打ってみると、それぞれの打感が違うのと、「スピン系」の2種は打ち出しの高さが低く、「ディスタンス系」の2種は高めに出るような特徴が把握できた。なるべく感覚を研ぎ澄ませながら打ち続けた結果、どうやら筆者は、しっかりとフェース面にボールが乗った感覚をアプローチ時に好みと感じ、距離感も出しやすくなるようだ。その感覚が手に伝わるボールという視点で見ると、外層が硬く、中央のコアが柔らかい「PHYZ」は弾き感を強く感じてしまい、この違和感を払拭することが難しかった。
これらの打ち比べによって、ブリヂストンスポーツの担当者が筆者にお勧めしてくれたボールは、ショット計測でいずれの飛距離も2位だった「ツアーB JGR」。圧倒的な距離差で1位だった「PHYZ」は、アプローチテスト時に明らかになった“筆者の好み”によって、総合的に判断してお勧めからは外されたようだ。
この日、「ボールフィッティング」を対応してくれたブリヂストンスポーツ・ボール企画部の宮川直之さんは「自分でボールを選べる球技はゴルフとボウリングぐらい。ですからボールフィッティングをして、ボールにもこだわってほしい」と話してくれた。
今回の体験ではドライバー飛距離で最大15yd以上の差が出た。飛距離を求めるなら、ドライバーを買い替えるよりも、ボールにこだわって最適なモデルを選ぶ方が、かなり安い値段でレベルアップも望めるだろう。(編集部・尾柴広紀)
<「ブリヂストンボールフィッティング 2019」概要>
■2019 年上半期の日程
・4月5日(金) 応募期限 2019年3月8日11時まで
・5月11日(土) 応募期限 2019年4月8日11時まで
「ボールフィッティング」に関するお問い合わせ先
お客様コールセンター 電話 0120-116613