ミズノ最新ボール 独自のディンプル構造で飛距離アップ
HS40m/s前後でもプロ仕様ボールが一番飛ぶの?
新モデルが続々登場… そこで気になる素朴な疑問
タイトリスト「プロV1」、スリクソン「Zスター」など、各社から新モデルが続々と登場するプロ仕様ボール。そこで浮かぶ素朴な疑問は、これらプロ仕様ボールがアベレージゴルファーの平均的ヘッドスピード(以下HS)40前後でも飛ぶのかどうか? そこでギアに精通しているクラフトマン兼ティーチングプロの関浩太郎氏に見解をうかがった。
スピン系 or ディスタンス系、飛ぶのはどっち?
―そもそもプロ仕様ボールとは?
「一般的にプロ仕様ボールは、軟らかい『ウレタン』カバーで内側のコアが硬めという構造のスピン系ボールです。ソフトな打感とスピンのかかりやすさが特徴で、フィーリングにこだわるプロや上級者に好まれます。一方ディスタンス系は、硬めの素材『アイオノマー』をカバーに使用して、コアを軟らかくしています」
「正直それだけでは判断できませんね…」
―HS40m/s前後で飛ぶのはどっち?
「うーん。正直それだけでは判断できないです。結論としては、HSはボール選びの基準のひとつでしかなく、スイングと使用クラブにマッチしていなければ、どのようなボールを使っていても飛ばないというのが答えだからです。同じHSでもスイングとのマッチングで、飛距離は大きく変わります」
HSも含むスイングとのマッチングが重要
―マッチング?
「はい。スピン系とディスタンス系で、スイングによって飛びにつながるスイングとつながらないスイングがあります。私がアマチュアの皆さんにアドバイスする際は、スイングを見て、試打結果を計測して、理想の弾道を聞いたうえでおすすめのボールを判断するようにしています」
『HS』だけでは判断できない
―HSが基準ではないの?
「そうですね。よくスリーブの箱に推奨する『HS』の基準が書かれていますが、大体その下には『フィーリング』や『打球の高さ』も示していることが多いです。これはHSが40m/s前後でも、またそれ以上でもそれ以下でも、それだけで最適なモデルを判断するのは難しいからです」
判断基準はもう2つ――『入射角』と『重心深度』
―では、他の基準って何?
「私が考える判断基準は『HS』のほかに2つあります。ひとつはインパクト前後の入射角(アタックアングル)。入射角はクラブ販売店などにある弾道計測器のトラックマンやGC2、スカイトラックなどの計測器で測ることができます。もうひとつはヘッドの重心深度。これはクラブの商品説明などに書かれている『深重心』『浅重心』といった文言で判断できると思います」
入射角が鋭角でスピン量が多いなら「ディスタンス系」
―「入射角」の判断基準は?
「ある程度ダウンブローに鋭角に入る人は、スピン量が増えすぎてしまうので、ディスタンス系が適していると言えます。アベレージゴルファーで多いのが、このスピン量の多いタイプです。逆に鈍角に入る人はスピン量が少ないため、スピン系のほうがドロップせずに飛距離が出せると言えます」
深重心ヘッドで打ち出し角が高すぎるなら「スピン系」
―「重心深度」の基準とは?
「ヘッドの重心深度は、一般的に深いほうが球の打ち出しが高く、浅いほうが低めに出ると言われています。またボールの特性として、ディスタンス系は打ち出しが高く低弾道、スピン系は打ち出しが低く高弾道になる性質があります。このクラブとボールの特性を、それぞれ考慮することが重要です」
スピン系、ディスタンス系、中間… 1スリーブずつ買って試してみる
―最後にアドバイスは?
「飛距離の3大要素は、『初速』『バックスピン量』『打ち出し角』です。ボール選びは、この3つを合わせてトータルで考えるべきです。HSの基準のみで箱買いするのではなく、スピン系とディスタンス系、それと中間のボールを1スリーブずつ買って試打してみて、理想の弾道が出るかどうかを試してみてはいかがでしょうか」
撮影協力/ロイヤルスターゴルフクラブ、SEKI GOLF CLUB 目黒
関 浩太郎 プロフィール
高校卒業後に渡米し、カリフォルニアプロツアーを転戦。帰国後は有名クラブ職人に弟子入りし、クラフト技術を習得。現在は「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。分かりやすく明確なティーチング&フィッティングで多くのアマチュアから支持を受ける。
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