「バンカーが苦手なあなた」へ贈る コスパのいい“中古お助けウェッジ”探訪
ベストスコア更新を目前にして、バンカーから何発も打って撃沈…。毎回、ガッカリしてゴルフ場を後にする。徹底的に避ければ、避けるほど吸い込まれてしまうのがバンカー。そんなゴルファーの助けになるウェッジの選び方、オススメモデルを紹介しよう。
あなたのウェッジ、本当に正解ですか?
ボールに直接コンタクトせず、手前の砂にヘッドを入れるのがバンカーショットのキホン。まずは練習で、バンカー内に線を引いて、そこに安定してヘッドを落とせるかやってみてほしい。実は狙ったところにヘッドを入れられない場合、ウェッジ自体に問題があることが少なくない。
アプローチショットは、「ボールにしっかりコンタクトできるかどうか」が問われるが、バンカーショットは、最初にコンタクトするのが砂であるため、成功か失敗かを把握しにくい。「脱出できた」「ピンに寄った」という“結果オーライ”込みで判断してしまいがちだ。
ヘッドの重さの思わぬ“落とし穴”
海外ブランドの重たいウェッジには注意したい。非力な人、多くの女性には重すぎてコントロールが難しい可能性がある。例えば、人気があるタイトリスト「ボーケイ SM9」(2022年)は純正シャフト「BV105」装着モデルの総重量が約456g、日本のゴルファーに向けて開発された「ボーケイ フォージド」(2021年)は同じシャフト、ほぼ同じグリップが装着されていても約450gと6g軽い(56度での比較)。SM9のほうがヘッドが重いのだ。
ヘッド重量が重すぎると遠心力が大きくなり、狙いよりも手前にヘッドが落ちやすくなる。グリップを短く持つことでもある程度解決できるが、ダフリやすい人はヘッドの重さも考慮してほしい。「ボーケイ フォージド」(2021年)は中古で1万円前後が相場。日本のコース、芝を考慮に開発されている点もオススメだ。
上級者からアベレージまでカバーするフォーティーン
狙ったところに安定してヘッドを入れられるようになれば、プロに人気のウェッジも問題なく使えるだろう。しかし、ヘッドの入り具合はアバウトでもいいから、とにかくバンカーから脱出したい、というゴルファーには以下のモデルをおススメしたい。
まずはフォーティーン。上級者が使うイメージが強いが、アマチュアのために開発されたお助けウェッジも製品化し続けている。オススメは「DJシリーズ」。中でも、最新作「DJ-6」(2023年)がイチオシだ。新キャニオンソールという溝を配したソールが秀逸で、歴代DJシリーズで最もダフりに強い。
10月に発売されたばかりだが、1万円台後半から見つかる。また、隠れた名器として筆者が推薦したいのが「C030」(2015年)だ。ヘッドサイズが大きく、超ワイドソールは溝付き。お値段も5000円前後とお手頃の逸品と言える。
キャスコの「ドルフィンウェッジ」は押さえておこう
根強い人気を誇るのがキャスコのドルフィンウェッジだろう。2013年に登場した初代「ドルフィンウェッジ DW-113」から10年で累計30万本の販売実績がある。こちらも最新作「ドルフィン DW-123」(2023年)がオススメ。独特のソール形状でフェースを開かずとも、バンカーからの脱出がカンタン。アプローチでも使いやすい点がうれしい。1万円台前半から見つかる。
コスパが良いのは「ドルフィンウェッジ DW-118」(2018年)。7000円前後が相場。どちらもフェースを開かないことが使いこなすコツだ。
外ブラのお助けウェッジは上級者にも意外とイイ
ウェッジづくりが得意なメーカーと言えばクリーブランド。こちらもフォーティーンと同じく、上級者向けと、初心者から使えるお助けウェッジを併売している。
「CFX ウェッジ」(2019年)は顔だけ見れば上級者向けだが、お助け機能が満載、上級者のテクニックも生かせる点もうれしい。1万円以下が相場。
テーラーメイドにも同じように、上級者のテクが活かせる逸品がある。「ミルドグラインド HI-TOE ビッグフット」(2021年)は、バックフェースに刻印されている足型が目印。バウンス角も大きく、ソールも幅広いが、トウとヒールが大胆に削ってあり、フェースを開いたり閉じたりと技が使えるようになっている。1万円を切る値段で見つかるが、表面を皮膜処理しているので、少々程度が悪く見えるのが玉にキズ。購入する際はフェースの溝をチェックするのをお忘れなく。
キャロウェイ「シュアアウト」(2017年)はバンカー脱出に“振り切った”モデル。ワイドソール、ハイバウンスで、2代目「シュアアウト2」(2019年)は、アプローチでも使いやすいようにしてある。オススメは初代。どちらも1万円以下で見つかる。
上達してきたらバンカーが苦手になったというゴルファーも少なくない。というのは、“脱出すればOK”だった初心者から、“寄せたい”という気持ちが強くなってしまうのも原因だろう。また、ロフト角の大きいものを選びがちだが、それでは高さは出るが距離が出ない。ホントは脱出するだけなら60度より58度、いやいや56、54度でもいい。とりあえず、まずは狙ったところにヘッドを落とせるか確かめてみてはいかがだろう。(文・田島基晴)
■ 田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。