松山英樹の「マッスルバック」は僕らも扱えるって本当? 歴代アイアンを中古で検索
PGAツアーで今季2勝(通算10勝)、8月の「パリ五輪」では銅メダルを手にした松山英樹が「ZOZOチャンピオンシップ」で凱旋帰国した。世界の第一線で戦う松山の魅力といえば、ピンの根元を突き刺すような鋭いアイアンショット。プロ転向前から使い続けているダンロップ(住友ゴム工業)、スリクソンのアイアンを中古視点で分析した。
アマチュア時代はキャビティを使っていた
プロ転向前からダンロップのクラブを使用してきた松山。ウッドは他社モデルを選ぶこともあるが、アイアンは一貫してスリクソンブランドを使い続けている。アマチュア時代は「スリクソン Z-TX」(2009年)、「スリクソンZ-TX」(2010年)などを握った。
ローアマチュアに輝いた2011年「マスターズ」や、アマ優勝を遂げた同年の国内ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」ではキャビティタイプを使用。軟鉄鍛造キャビティとしては標準的なヘッドサイズで、一般アマも使いこなせそうなモデル。現在の中古相場では2万円を切るが、状態の良いものは数少ない。
プロ入り後は一貫してマッスルバック
2013年春にプロ転向。国内ツアーでいきなりシーズン4勝を挙げ賞金王に輝いた。翌14年から米ツアーに本格参戦し「ザ・メモリアルトーナメント」で初優勝。当時は「スリクソンZ925」(2012年)を使用していた。12年から18年にかけて、スリクソンのアイアンのモデル名は“3桁の数字”に。左の数字が大きいほど難度が高く、9はマッスルバック、7はハーフキャビティ、5はフルキャビティを示した。真ん中の数字は年式(2なら2012年発売)を表した。
松山の使うマッスルバックアイアンのヘッドサイズはやや大き目で、決して難しすぎないのが特徴だ。「Z925」もマッスルバックの入門用にピッタリなモデル。6本セットで2万円台。こちらも数は少ない。
「Z925」から「Z945」へ
「日本オープン」や「WGC HSBCチャンピオンズ」など国内外で勝利を重ねた2016年秋に使っていたのが「スリクソン Z945」(2014年)。こちらも打ちやすいマッスルバックで、スリクソンのアイアンの特徴といえる「ツアー V.T. ソール」が採用されたモデルだが、松山はこの段差を削ってフラットにしている。
とはいえ、一般アマにとってはかなりお助け感があるソール。このアイアンも6本セット2万円台で手に入りそう。同じ年式の「Z745」、「Z545」は顔もバックフェースの仕上げも美しいのでチェックしよう。特に「Z745」を推したい。
勝利が遠かった2018年は「スリクソン Z965」(2016年)を使用していた。「Z945」に比べヘッドサイズも大きくなりミスヒットにも若干強い。「ツアー V.T. ソール」も進化し、扱いやすさがさらに向上。価格も6本セットで3万円台とお求めやすく、状態の良いものも多い。やはり、入門用のマッスルバックとしてオススメできる。ハーフキャビティ「Z765」、キャビティ「Z565」も6本セットで3万円台から見つかる。
「Zフォージド」で念願のマスターズ制覇を果たした
2021年のメジャー「マスターズ」、そして同年の「ZOZOチャンピオンシップ」、さらに2022年の「ソニーオープンinハワイ」では、「スリクソン Z-フォージド」(2019年)を握った。中古市場でも在庫は潤沢。装着シャフトの選択肢も多い。5万円台前半から見つけることができる。
松山が愛用するスリクソンアイアンの美しい形状や仕上げの良さからは、遠藤製作所のクオリティの高さがうかがえる。現在も人気の「ZX5」、「ZX7」(2020年)、「ZX5 MkII」「ZX7 MkII」(2022年)の大ヒットもうなずけるのだ。
今週「ZOZOチャンピオンシップ」で使用しているアイアンは?
2023年春に「スリクソン Z-フォージドII」(2023年)の使用を開始。「Zフォージド」シリーズはまさに松山のために開発されているように見え、スイッチもスムーズ。「ジェネシス招待」と「フェデックスセントジュード選手権」で優勝、「パリ五輪」銅メダルもこのアイアンでつかみ取った。前作「Z-フォージド」よりもヘッドサイズはわずかに小さくなったが、グースは増えた。こちらも打ちやすさは健在だ。6本セットで相場は8万円台となっている。
松山が使うマッスルバックアイアンは一見難しそうだが、一般アマでも使いこなせそうな雰囲気がある。素材も一貫してS20Cという柔らかい軟鉄が使用されており、心地よい打感が楽しめる。決して「気分だけヒデキ」になるのではなく、練習を重ねてアイアンの名手になろう。(文・田島基晴)