良い子はスピースの真似をしないように…「左ヒジ引け防止」のお手軽エクササイズ
米ツアー13勝のジョーダン・スピースの左ひじの使い方と、アマチュアの方の左ひじ引けは似ていて非なるもの。アマチュアの方のように、前傾が起き上がってフォローで左ヒジを後ろに引いてしまうクセがあると、インパクトでクラブが吊り上がって打点がズレやすくなります。そしてボールに当たらないからといって無理に当てようとしたり、アドレスでボールに近づいたり…と、それだと根本的な解決にはなりません。
左ヒジを引いてしまう原因のひとつは、左肩が硬くて外側に回らないこと。本来フォロースルーで左肩が外側に回って、左ひじは畳まれていくのが自然です。1ステップでできる簡単なエクササイズで、肩からしっかり腕を回す動きを身につけましょう。
(1)アドレスの状態からヒジを90度に曲げて、小指同士をくっつけるように構え、両ヒジを腰につけます(写真中)。
(2)ヒジを体から離さないように意識しながら、両手を外側に開いていきます。このとき、ヒジをもとの位置より後ろに引いてしまったり、上に持ち上げてしまわないよう注意しましょう。
(3)一連の動作をゆっくり10回繰り返します。肩が外側に開く感覚を覚えたら、両手を外側に開いた状態でスイングの動きを行ってみると、フォローで左ヒジが引けず、手がしっかり上まで上がるようになります。
スピースは左ヒジが曲がったままのフォローで知られていますが、これはどちらかというと方向性を出すため。スピースのようにパワーもある選手は、左のミスを警戒して左ひじを曲げることでローテーションを抑えて球筋を調整しています。ダウンスイングで右サイドを側屈させて体を沈み込ませる動きと連動していて、左ひじを抜くことでうまく帳尻を合わせています。アマチュアの方のように、前傾が起き上がって仕方なく左ひじが引ける場合は、スピースのような動きはむしろ逆効果。肩が動かないままこの動きをやろうとすると、インパクト以降で腕が回らず、左ヒジを引く動きを助長します。まずは左肩とヒジの外旋を意識して、しっかり振り抜く動きを身につけましょう。
■ 工藤健正(くどう・たけまさ) プロフィール
スポーツトレーナー。サッカーやバレーボールチームを経て2009年に諸見里しのぶの帯同トレーナーとして賞金女王争いをサポートした。15年からは宮里美香のトレーナーとして米ツアーに帯同。その後は元世界ランキング1位のリディア・コーのトレーナーも務め、帰国後はテレサ・ルーらをサポート。現在はトップアスリートからスポーツ愛好家など幅広くサポートしている。