このコースで真の80台!

パーが先か、トリが先か、それが問題だ! カレドニアン・ゴルフクラブ(後編)

2016/03/25 09:15

最後の難関ホールではギャンブル厳禁!

N村のティショットにおいて、ターゲットの置き方に意見の食い違いが。池越えのリスクは大きく、大本プロが池にかからない左サイドのルートを推奨する

N村はOUTコースをスコア46で終了。GDOスコア管理アプリで抽出したホール・バイ・ホールの難易度ランキングを見ると、難しいホールが比較的、OUTコースに偏っていた。だから、80台の可能性が消えたわけではない。最後のバックナインをN村はボギー、ダブルボギーで凌ぎながら、希望を必死につなぐのだった。

そして、風光明媚なロケーションが広がる、名物13番ホールに到着。ティグラウンドでは、池越えに挑むN村に、大本プロからターゲット変更の指示を受ける。池にかからない、左サイドのフェアウェイ方向を狙え、とのことだ。

カレドニアン・ゴルフクラブの象徴的なホール。ティショットで池越えは可能だが、リスクを冒さないのも有効な手段。グリーン回りには美しいビーチバンカーがゴルファーの目を楽しませる

この右ドッグレッグホールは、GDOスコア管理アプリで抽出したホール・バイ・ホールの難易度ランキングで3位に入る。ティショットで、右サイドの池を最短距離で越すにしても約210ヤードのキャリーが必要。「自分の平均飛距離は220ヤード。だから越えるはず」とトータルの距離で考えても、成功はしない。この判断ミスは、大叩きが許されないこの状況では致命的だったわけだ。なにはともあれ、トラブルを未然に防げたことに一安心。

だが、ティショットを大きく引っ掛けて、グリーンからどんどん遠ざかる。2打目が200ヤード近く残ったため、N村は刻みを選択。先ほどのラウンドのように、無理をした挙げ句に池に入れることだけは避けたいからだ。すると、大本プロから次のような指示が。

「あまりグリーン近くまで行こうとするのではなく、100~60ヤード程度で得意な距離を残す狙い方をしましょう。そしてこの時期、ラフは深くありません。左サイドまで広くターゲットを取って、ラクに臨んでください」

なぜ、そんなに距離を残すのか。N村は腑に落ちなかったが、セカンドショットは指示通りの距離を残し、ラフに止まった。

グリーン手前に刻む最適エリアを、大本プロが手を広げて解説。ライを考えると、グリーンに近ければよいというわけではない

(N村)残り80ヤード地点に刻みましたけど、もっと先まで打てたのになぁ。
(大本プロ)では、少し前まで来てみてください。何か、感じませんか?
(N村)あっ、少し左足下がりだ。
(大本プロ)そう、ライが難しくなるんです。フルショットできず、距離を合わせなければならない。しかも、少しでも打ち出しがブレたり距離の誤差が出ると、グリーン手前をガードする左右のバンカーに入ってしまいますから。
(N村)このホールは、徹底したリスク管理ができましたね。よしっ!

やはり、上がりホールは大事です

(写真左)14番ホールでフェアウェイバンカーにはまり、まさかの大叩き。(写真右)大本プロにラインを読んでもらい、強力なサポートを受ける

その3打目をダフってしまい、グリーンの花道に落とすN村。それでもボギーで切り抜けられたのは、なにもリスク管理のおかげではない。たまたまピンが手前に切られていたのが、幸いしただけのことだった。

難易度の高いホールが過ぎ、これからパー量産といきたいところ。そう意気込んで迎えた14番ホール、そのフェアウェイで悲劇が起きる。再びバンカー・トゥ・バンカー、しかも2つめのバンカーでは脱出に2回を要してしまった。避けなければいけないトリプルボギーが、パーよりも先に来てしまい、目算は狂わされてしまう。

ついに、N村は奥の手を出すことに。それは、大本プロにグリーンのラインを読んでもらうことだった。そのおかげなのかは別として、15番のロングホールと16番の短いミドルホールでパーを奪取。しぶとく盛り返し、先ほどのラウンドで唯一パーを取れた17番のショートホールでも1オン!

「1、2、3……」。グリーン上で大本プロから学んだ、距離感のイメージ作りに励むN村。それなのに、3パットでボギーとは……。そして、18番ホール。連載最後のティショットは、N村の気合いの入ったスイングで。その模様は、左上の動画で見られる。連載当初と、スイングは変わったか。それはみなさんの目で確かめてほしい。

N村の奮闘記録。上段が1人で回った時のスコア(98)で、下段は大本プロとの二人三脚で出した最後のスコア(92)。高速グリーンに対する目標の36パットを下回れたが、全体的なスコアとしてはノルマを達成できなかった

クラブハウスに上がっていたN村はスコア集計。そして、スコアが「92」だと分かると……。

(大本プロ)あと少しでしたね、N村さん。
(N村)OUTコースもINコースもトリプルボギーの後にパーが来ているんですよ。先にパーが来ていたら、なんて考えると心が少し痛みます。とくに13番ホールのあとが、ね。少し気の緩みがあったのかも。
(大本プロ)このコースの設計家(J・マイケル・ポーレット)が言う通り、ひとつとして類似したホールがないのが、カレドニアン・ゴルフクラブの特徴。ホール・バイ・ホールの難易度ランキングでははかれない難しさもありますからね。ここでは“事件”を起こさないよう、徹底してマネジメントをしっかり講じてプレーしなければ、うまい人でも90や100など、すぐ叩いてしまう。そんなふうに、頭を働かせ続けないと、太刀打ちできないコースです。その中で、パット数が36を下回れたことは自信を持ってください。
(N村)ありがとうございます。また、鍛えて、出直してきます。

戦い終えたN村は、コースに感謝の意を表する。ゴルフの魅力・難しさを存分に堪能

かくして、半年にわたるN村の挑戦はノルマ未達のまま、お終い。オーバースイングは、最後まで変わりませんでしたね。そして、詰めの甘さも相変わらず。とはいえ、難コースを経験するごとにN村のプレーが少しずつ変化するのを分かっていただけたのではないか。

ホール位置を考えて、“ただグリーンに乗せる”ではなく、乗せる場所を絞って考える。また、そのためにはどこからグリーンを狙うショットを打ったほうがいいのかを考えるようになった。つまり、ホールから逆算して考えて狙いを決めるようになった。

スコア90台で伸び悩むゴルファーでも、気後れせずにどんどん難コースに挑戦してほしい。そうすれば、あなたの潜在能力を呼び覚ますような、新たな“刺激”が得られるかもしれない。そして、N村の悔しさを代わりに晴らしてくれたら……。

最後になりましたが、ご愛読いただきまして、ありがとうございました。

・ブレないパットの距離感を備える。10ヤードの上りのラインを練習し、自分の“時間”を基準にする

(取材協力/カレドニアン・ゴルフクラブ

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