「読み」こそ名手の第一歩/シャウフェレのパッティングコーチ デレク・ウエダを知ってるかい?(3)
デレク・ウエダ(DEREK UYEDA)と聞いてピンときた方はどれぐらいいるだろうか。地元サンディエゴでこそ知られたコーチだった彼の名前は教え子のザンダー・シャウフェレの活躍とともに一躍、米国全土に知れ渡った。日本ではまだ馴染みはないかもしれないが、彼が開発したパッティングプレートは国内ツアーでも使用する選手が多くいるほど。シャウフェレ以外にも、エミリアノ・グリジョ(アルゼンチン)、チャーリー・ホフマンらのツアー選手、サンディエゴステート大などの学生も教えている。普段の選手とのやり取りや、パッティング上達のヒントを聞いてきた。(3話目/全3話)
右の前腕とシャフトが一直線になるのがいい
―アマチュアにも役立つアドバイスをいくつかお願いできますか? パターはどんなものを選べばよいでしょうか。
目標に対してスクエアに構えやすいか、が最優先です。主にヘッドの「形」が関係していて、ピン型が構えやすい人もいれば、マレット型が構えやすい人もいると思います。いろいろな形を試してみて、自分に合ったものを選んでください。
―インサートの有無や、重さに関しては。
フェースのインサートによって、インパクトの「音」が変わります。音は打感を決めるので、ソフトな打感が好みなら低い音のものを、硬めの打感がいいなら、高い音のものを選んでください。重さは、完全に自分の好みで大丈夫です。34インチのパターの標準的な重さは400g弱ですが、たとえば、タイガー・ウッズは300g台前半の軽いパターを使っているのは有名ですよね。
―アドレスしたときの手元の位置について、手元を上げる(パターを吊るように構える)のと、手元を下げるのとでは、どちらが方向性に対して有利でしょうか。
一般的に言うと、手元を下げて、後ろから見たときに右の前腕とシャフトが一直線になるように構えたほうが、フェースのねじれが少なくなる傾向にあります。フェースが無駄にねじれなければ、当然、方向性は安定します。
―アマチュアには手首を使いすぎてしまう人が多い。修正するようなドリルはありますか。
あまりにも手首の動きが多い人の場合は、アームロックグリップ(左手でパターを短めに持ち、右手でグリップと左手首を一緒に握る)で練習したりするのがいいかもしれません。でも、私としては練習と本番で、やり方を変えたり、パター自体を変えたりするのはおすすめしません。手首を使ってしまいやすい人であれば、そうならないような握り方だったり、ストロークの仕方をまず見つけることが大事です。
―距離感(タッチ)を磨くには、どんな練習をするとよいでしょうか。
学生によくやらせるのは、少しずつタッチを強くしていって、特定のエリアに何球ボールを入れられるかという、対戦形式のゲームです。エリアに入ったボールが多いほうが勝ち、途中、1球でも前のボールより弱くなってしまったらその時点で負けです。また、目をつぶって打って、ボールが「いつ止まるか」を当てるゲームもよくやらせます。ひとりが打って、止まったと思ったら声で合図。もうひとりが実際とどのくらいずれていたかチェックするというものです。これは、ボールが転がるスピードの感覚を養うのにとても効果があります。
「グリーンリーディング」が1位でそれ以外はすべて2位タイ
―シャウフェレのように、総合的にパッティングがうまくなるには、何がいちばん大事でしょうか。
グリーンリーディング(グリーンの読み)が一番です。グリーンがどう傾斜しているか、芝がどんなふうに生えているかを見る目が大事ということですね。なぜかというと、グリーンの読みが間違っていた場合、他のすべてが完璧でも絶対にカップインしないからです。読みがダメな場合は、むしろストロークもダメなほうが、まぐれで入る可能性がありますね(笑)。なので、優先順位でいうと「グリーンリーディング」(グリーンの読み)が1位で、それ以外のすべて(スクエアなアドレス、ストロークの安定、ボールの転がりなど)が“2位タイ”だと、私は思います。
―どうすれば、優れた「グリーンリーダー」になれるでしょうか。
練習方法のひとつのアイデアとしては、カップに向かって打ったボールが止まった位置と、カップを挟んで左右対称な位置を見つけて、次はそこを狙って打つというのがあります(例えばカップ1個右にズレたら、カップ1個左にターゲットを決めて打つ)。そうすると、次のボールは必ずカップに近づくように曲がるはずです。そうやって傾斜と曲がりの関係を見極めて、その記憶を蓄積していくと、だんだんグリーンが読めるようになってくると思います。(取材・構成/服部謙二郎)