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“L”を作ろう/ザンダー・シャウフェレLESSON「僕のコントロールショット教えます」後編

2023/11/22 15:25
シャウフェレのレッスンはさらにヒートアップ

ザンダー・シャウフェレ(Xander Schauffele)の強みって何だと思う?ドライバー?ショートゲーム?もちろんそれらもすごいけど、彼の一番のストロングポイントはグリーンを狙う「コントロールショット」なのだ。2022-23シーズンのストロークゲインドアプローチザグリーン(2打目のスコア貢献度)のスタッツは3位、中でも150-175ydの同スタッツは堂々1位だった。ミドルアイアンからショートアイアンにかけてのまさにスコアメークに直結するコントロールショット。その打ち方のコツを特別にレッスンしてくれた。(後編、取材・構成/服部謙二郎)

腕が地面と平行になるところに上げる

――飛距離と方向、両方のコントロールには「シャフトの傾き」がいちばん大事ということでしたね。その他に、軸を中心にその場で回ること、背骨(上体)の角度を保つことも大事だと。上体の前傾角を保つためにやっていることは何ですか?

アドレスで、前後の重心バランスを整えるということですね。たとえば、ひざをほとんど曲げないで上体を前傾させると、ハムストリング(ももの裏側の筋肉)に力が入りますよね? これだと重心が前のめりになりすぎているということなのでよくないです。逆にひざを深く曲げて椅子に座るような感じで腰を落とすと、ももの前側の筋肉に力が入りますが、重心が後ろにかかりすぎで、これもよくない。

股関節から曲げて肩がつま先の少し前に来るように前傾するのが正解(写真左)、ひざを曲げないと重心が前にきすぎてもも裏に力が入る(写真右)

――ひざの曲げ具合の目安は?

ひざと足の指の付け根が、大体同じラインになることですね。バランスを取るために、少しだけ曲げる感じ。その場で軽くジャンプして、着地したときのようなイメージです。そこから股関節を曲げて、肩がつま先のラインを少し超えるくらいまで上体を傾けたら、セットアップが完成します。正しくセットアップできると、テークバックはスムーズです。

軽くジャンプして着地したときの”ひざの曲がり具合”が目安

――そこから「左右対称」に振ることを意識しているとのことでしたが、たとえばトップを「ここまで上げる」といった基準はありますか。

あくまで自分の中のフィール(感覚)として、左腕が地面と平行になるところまで上げるようにしています。実際はクラブの遠心力がかかるので、平行より少し上まで上がりますが、感覚的にはそのくらいです。

トップで左腕が地面と平行に。シャフトと腕で「L字」を作ろう

――フォロー側で意識していることは?

大きさよりも、クラブヘッドがどこにあるかを気にしていますね。右腕が地面と平行になるくらいのところで、ヘッドが背中側にありすぎるのも良くないし、ヘッドが地面に垂れ下がっているような形になるのも良くない。特にヘッドが背中側にあるというのは、インパクトの時に手を使ってクラブをフリップ(左手首が甲側に折れる動き)させているということなので、そうならないように気をつけています。シャフトを傾けて(ハンドファーストで)インパクトして、体の回転でそのまま手元を引き上げると、ヘッドがちょうどいいところに収まります

体の回転と共に手元が引き上がるとちょうど胸の前に収まる(写真左)

――フェースを無理に返すようなことはしないと。

体が回転すれば、フェースは自然に閉じていきます。

――ここまで話してもらったことは、全てのアイアン(番手)に共通することですか?

スコアリングクラブ(ピンをデッドに狙っていくクラブ)だけですね。というのも、5番、6番アイアンくらい長い番手になってくると、強く遠心力がかかって(スイング中の)クラブが重く感じるので、ハンドファーストというより、しっかりヘッドをリリースして打つ感じになるからです。ドライバーはリリース重視ですが、それと同じですね。

フェースは無理に返さず、あくまで体の回転とフェース面は連動する

――スコアリングクラブというのは具体的に何番からですか。

うーん、ウェッジは全部そうなんですけど、あとは番手というよりショットのタイプによって、という感じなんです。いわゆる「デッドハンドショット」(手首の動きを抑えて振り抜くショット)と言って、ボールを高く上げない、低く抑えたショットを打つなら何番でもスコアリングクラブになりえますし。同じ8番アイアンでも、木の枝の下を抜くというときには手首の動きを抑えて、体の回転で振り抜きますが、逆に木の上を越して狙うというときには、早めのリリースでドライバーみたいな打ち方になりますからね。どっちの打ち方がいいということではなくて、あくまでもシチュエーションに対して正しい打ち方かどうかということが大事なんです。

◇◇◇

シャウフェレのコントロールショット、十分に堪能できただろうか。前編も含めたポイントを改めて以下に挙げておこう。

シャフトリーン(シャフトの傾き)を一定にする
・アドレスでグリップエンドが左胸のロゴを差す
スイング軸をセンターに保つ
前後重心のバランスを整える
・トップで“L”を作る(左腕と地面を平行に)
体の回転とフェース面は連動

東京の散策を楽しんで帰国の途についたシャウフェレ。また来年!