Turf Life Balance

多忙な現代人に…Googleが社員研修で活用する“力の抜き方”

2021/06/24 13:00
こんなに忙しいの私だけ? いえ、違います(Getty Images)

IT化が進み、外出中や自宅でもスマートフォンでメールをチェックすることが日常化しています。リフレッシュや気分転換は、今や多忙なビジネスマンの重要な課題になっています。

健康経営のなかで世界的に注目されているリフレッシュ法があります。以前に本連載で入浴メリットを紹介した際に触れたマインドフルネスという瞑想です。定期的に続けることで、ストレス対処能力が上がるという成果が、研究により明らかになっています。

ルーツは禅の瞑想。自分の活動を自分で観察することで雑念を取り払います。呼吸をするときは、空気の流れと肺の広がりだけに意識を向けます。Googleをはじめとする大手IT企業や、金融王手のゴールドマン・サックスの社員研修にも導入され、一流企業のエグゼクティブ層にも広がっています。Appleの元CEOスティーブ・ジョブズ氏がプレゼンテーションの前に瞑想をしていたことは有名です。

現代人は忙しすぎる?(Getty Images)

座禅の経験がある人はわかると思いますが、座禅中はただ座るだけで、何も考えません。雑念が湧いた際は、呼吸に意識を向けて思考を手放すようにします。頭の中が空っぽになったような状態は、普段の仕事のときとは真逆。毎日忙しく働くなかで、2~3分でも雑念や思考をリリースすることで気分転換になり、リフレッシュすることができます。

座禅は読んで字のごとく座りながら行うものですが、マインドフルネスは歩きながらや食事中、入浴中でも行えます。特におすすめなのが、歯を磨きながら行うことです。多くの人が習慣としている歯磨き中に、鏡の前で歯だけを見ながら、一本一本、歯の前や後ろ、歯茎、歯の間などを丁寧に磨きます。ブラッシングだけに集中して、手首に無駄な力を入れていないか、磨き残しがないかを観察します。

その際に、舌や肩、腰が緊張していないかも観察してみてください。私が見てきた限り、8割近くの人が過剰に手首や肩に力が入ったまま歯磨きをしています。

こんな時間も必要さ(Getty Images)

これはゴルフの上達にも通じる考え方だと思います。理想的なのは、スイングの形をあれこれ考えるのではなく、自分の動きをただ観察し、無駄な力を入れずに体を動かすことです。何も考えずにスイングすることがこれほど楽で気持ち良いものかと、気づけるかもしれません。

また、呼吸を観察することが習慣化してくると、呼吸が深くなることでラウンド中に緊張しにくくなりますし、大事な場面で力を発揮しやすくなります。メンタルのスポーツと言われるゴルフにおいて、マインドフルネスはスコアアップにも有効な可能性を秘めているのです。(平井孝幸・健康経営アドバイザー)

■ 平井孝幸(ひらい・たかゆき) プロフィール

株式会社イブキ代表。東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 研究員。15歳でゴルフを始め、3カ月で「75」で回る。慶應義塾大学卒業後、ゴルフ事業で起業。2011年にIT企業に入社。15年から働く人の健康×パフォーマンスアップサポートを開始。2021年、増田哲仁プロとウェルビーイングゴルフプログラム『TenSwing』を開始。近著に「仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること」