腰痛や寝不足で損失200万円…従業員の健康を”お金”で考える
働く人を健康にすることで企業価値を向上させる健康経営。従業員の一人ひとりが健康で元気であれば、ワークパフォーマンスは最大限に発揮されやすくなります。逆に体の痛みやメンタル面に不安がある場合は、仕事への集中力が下がるでしょう。
私が以前に調査した企業では、軽度の健康状態の悪化(出社は可能)による損失額が従業員ひとりあたり約200万円も出ていることがわかりました。心身の健康問題によりパフォーマンスが低下するプレゼンティズムに該当するのは、腰痛や肩こり、寝不足、不安感、二日酔い、頭痛など。誰しも一度は経験したことがあるものでしょう。
そのような状態を放置しておくと、病気による欠勤や長期欠勤をもたらすことがあります。欠勤が続くと、先に挙げた損失額はさらに膨らみ、個人の労働生産性の低下が組織全体の大きな損失を招きます。優秀なビジネスパーソンでも、病気には勝てないのです。
そのような損失を防ぐためにも、従業員の健康をサポートすることは企業側にもメリットがあるわけです。従業員に健康を考えるきっかけを与えると、ヘルスリテラシーを向上させたいと思う人を増やすことができるでしょう。
従業員が健康であれば、結果としてイノベーティブな組織づくりにもポジティブな影響があります。ここ数年は日本中の企業が働き方改革に関心を持ち、各社できることから着手しています。健康状態が良くなり集中力が高まることで、短い時間に成果を出しやすくなり、労働時間も短縮できます。
まだ従業員の健康サポートをしていない企業におススメしたいのは、腰痛・肩こり対策をすること。具体策として、イスに座りながらのストレッチや、姿勢の改善を促すなどで十分です。以前に検証したところ、定期的に毎日実践した人の約8割の痛みや違和感が軽減しました。お金を使わずにできるため、まずは最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。(平井孝幸・健康経営アドバイザー)
■ 平井孝幸(ひらい・たかゆき) プロフィール
株式会社イブキ代表。東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 研究員。15歳でゴルフを始め、3カ月で「75」で回る。慶應義塾大学卒業後、ゴルフ事業で起業。2011年にIT企業に入社。15年から働く人の健康×パフォーマンスアップサポートを開始。2021年、増田哲仁プロとウェルビーイングゴルフプログラム『TenSwing』を開始。近著に「仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること」