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人事施策にぴったり?「ゴルフワーケーション」の検証事例

2022/03/24 13:00
どこで仕事をしても良い時代(Getty Images)

旅先で仕事をするワーケーションがコロナ禍で注目されています。今後この新しい働き方は、企業の人事施策として活用されると思っています。

リモートワークでも個人のワークパフォーマンスが変わらないと認識した企業が増えており、旅先で業務をすることのハードルは下がっています。また健康経営を実践する企業は、従業員に健康的なライフスタイルを提案するため、運動と絡めた施策を求めています。さらに優秀な人材を獲得し、定着させるためには魅力的な人事施策が必須です。これらに対応できるのが、ワーケーションといえます。

私自身も沖縄県でのゴルフワーケーションや、群馬県みなかみ市でのメンタルリフレッシュワーケーション、石川県金沢市での発酵食品ワーケーションを経験しました。中でもゴルフワーケーションは、早朝にゴルフをして午前10時から業務を開始できます。仕事上の付き合いがなかった同僚と共通の趣味を持つことで、イノベーションの源泉になる偶発的な会話が生み出されるきっかけにもなります。

ゴルフは営業ツールになり得るもの(Getty Images)

未経験者には少しハードルは高いですが、ワーケーションを通してゴルフを覚えれば、その後の仕事に生かせるかもしれません。商社や金融業を筆頭に、ゴルフが営業ツールになる業者は数多くあります。若手社員が1回のワーケーションで一定のレベルに上達すれば、高い投資対効果といえるでしょう。

もちろんワーケーションの内容をすべて従業員任せにしては、ただのゴルフ合宿になってしまいます。成果を出すためには、緻密な設計が欠かせません。2年前に実施した沖縄県のゴルフワーケーションでは、参加者のメンタル面への影響を検証しました。

参加者を自由行動のグループとゴルフをするグループに分け、手首や腕などにつけるウェアラブルデバイスによりバイタルデータなどを測定。期間中と、その前後に実施したアンケートをまとめたところ、ゴルフをしたグループの方が運動量やコミュニケーション量が増加するため、自由行動のグループよりもメンタル的にポジティブな結果が出ました。

リモートワークの広がりにより、人とのつながりが減り、孤独を感じてメンタルを悪化させる人が増加傾向にあるなか、ゴルフワーケーションをひとつのソリューションとして活用してみてはいかがでしょうか。(健康経営アドバイザー・平井孝幸)

■ 平井孝幸(ひらい・たかゆき) プロフィール

株式会社イブキ代表。東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 研究員。15歳でゴルフを始め、3カ月で「75」で回る。慶應義塾大学卒業後、ゴルフ事業で起業。2011年にIT企業に入社。15年から働く人の健康×パフォーマンスアップサポートを開始。2021年、増田哲仁プロとウェルビーイングゴルフプログラム『TenSwing』を開始。近著に「仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること」