すべてのゴルファーのために―― 12代目に至る進化の系譜をたどる
2000年の誕生から12代にわたりモデルチェンジを重ねてきた「ゼクシオ」。22年間にわたるロングセラーの系譜をたどると、時代の背景を問わずにゴルファーから高い支持を受け続ける理由が見えてくる。長らく国内売り上げナンバー1を誇る、人気ブランドの進化の歴史に迫った。
初代モデルから追及を続ける3つの要素
ゼクシオの最新モデル「ゼクシオ 12」、「ゼクシオ エックス」のクラウンには、ヒール側後方部に「アクティブウイング」と呼ばれる見慣れない突起がある。スイング中の空気抵抗を利用してヘッド挙動を安定させ、打点のばらつきを抑える独自のテクノロジーだ。
「ゴルフクラブの空力性能というと、通常、インパクト付近で空気抵抗を下げることが意識されます。ただ、今回は切り返し時に着目しました。ここで抵抗をかけることでトウダウンなどを抑え、より芯をとらえたインパクトで高初速を生み出します」と説明するのは、住友ゴム工業ゴルフビジネス部の佐藤弘樹課長代理。
切り返しでは抵抗として働くが、インパクト付近ではヘッドの加速を邪魔しないように突起の位置や形状が研究されたという。これが最新の12代目に採用された新技術。“飛び”と“打ちやすさ”と“爽快感”という3つの要素を実現させるため、歴代のゼクシオにもさまざまな工夫がなされてきた。
高反発フェース規制で求められた新たなアイデア
初代ゼクシオが登場した2000年は高反発フェースの全盛期。フェースの反発力が飛距離性能に直結していた。しかし、プロやトップアマなど競技レベルでは2006年から、一般のアマチュアゴルファーも2008年から、高反発フェースの規制「SLEルール」がスタートした。ちょうど移行期の2006年に発売された4代目ゼクシオは、ルール適合モデルと高反発モデルの2機種がラインアップされることとなった。
そして、2008年発売の5代目ゼクシオでは、ルール適合モデルでいかに飛ばすかが求められた。「高反発よりも飛ぶルール適合クラブを作るためには、ヘッドだけでなく、シャフトとグリップを含めてトータルで飛距離性能を上げる必要がありました」
当時「高反発に頼らないクラブトータルでの設計の開発」として導き出された答えは、ルール適合ながらオフセンターの反発エリアを拡大したヘッド。さらに、シャフトを長尺化しながらもこれまでと変わらない「振りやすさ」を得られる独自のシャフト設計などで、「高反発を越える飛び」を目指して開発された。