ダンロップ特集
2023/12/19

モノにも人にも歴史あり ゼクシオは“みやこんじょ”から世界へ

■繊細な手作業

学生時代のスポーツ経験はバスケ。「そろそろゴルフをやりたい」という内村さん。会社の一番良いところは「いろんな人とコミュニケーションが取れること」。好きな音楽はJ- POP。好きなタレントは山崎賢人(撮影:落合隆仁)

従業員のほとんどが地元都城在住。60歳を超えたベテラン女性から若い世代まで幅広い。内村桃香さんは「ダンロップの商品が国内、世界で流通しているのを知って関わりたいと思った」という入社4年目の22歳。ヘッド検査工程を担当する。「検査は大変ですが、楽しいです。繊細な作業は私に向いているのかなと思う」

入社後はシャフトの巻き付けを担当していた加川さん。コロナ禍のタイミングで再びゴルフを始めて3年目。ベストスコアは90。「1Wは上司のお下がり」(撮影:落合隆仁)

センサーでグリップの方向やズレが感知されたクラブのアドレス検査最終ラインを担当する加川義郎さんは入社13年目の40歳。同社の品質委員会が定めるクラブ検査認定書を持つ。「仕上げまで1本1本丁寧につくっている。ゼクシオは誇り」と話す。機械と繊細な手作業を適材適所で使い分けた工程で高い品質が保証されている。

■ゼクシオのシャフト「MP」って何?

2階のシャフト工程はカーボンシート裁断→巻き付け→塗装が行われる。最後は外観を人の目で検査(撮影:落合隆仁)

ゼクシオのMPシリーズやMiyazakiシャフトなどをつくっている2階のカーボンシャフト製造は、その工程解説はあるが公表はしていない。田中さんいわく「企業秘密」なのだ。ただ、最大の特徴について「モデルにもよるが、巻き付けは1人1本」と明かす。

7代目からシャフトの軽量化が進んだことで「1人でやった方が早い」と1時間あたり40~50本を担う。ミスや間違いが起こらないよう特別な装置を使って「1本」をつくる。「ゼクシオのモデルで新しいやり方」が生まれ、品質も向上、生産コストも下がっているという。

初代ゼクシオの「MP100」から続くシャフトの系譜。軽量化など技術革新を経て、最新ゼクシオは「MP1300」に(撮影:落合隆仁)

2階で製造したシャフトやメーカー発注シャフトをカットする部門は1階にある。自社のクラブの番手別、種類別にシャフト製造を行っているため、捨てる部分が少ない。コストや効率面で「この工場でシャフトをつくるメリット」と田中さんは言う。

ちなみに、初代ゼクシオにつけられたMP100から始まったシャフト。米山さんによると「MP」は「マルチプレーヤー」の略。「いろんな人に合いますよという意味が込められている」。古参だからこそ知る、ゼクシオにまつわる豆知識、である。

■21世紀の100年ブランドをつくる挑戦は続く

ヘッドにラッピングを施された13代目XXIO。大きな飛びと振りやすさ、爽快な打球音が好評のクラブは、宮崎でつくられて世界へ(撮影:落合隆仁)

2000年に、「21世紀」を意味する「XXI(21)」と、「GO ON」「王者」を意味する「O」を表すロゴで颯爽とデビューし、爆発的にヒットした「XXIO(ゼクシオ)」。米山さんはそれを「救世主」と言ってはばからない。

新ゼクシオのラッピングに「芯を広げるBiFLEX FACE」のステッカー。フェース外周部の剛性をトウからヒールにかけて最適化する新技術が売りのひとつだ(撮影:落合隆仁)

効率化された作業工程と徹底した品質管理によって生み出されたダンロップのクラブは、国内にとどまらず、アジアや欧米でも愛用されるグローバルモデルに成長している。なかでもゼクシオはほぼ2年ごとに新たな進化を遂げて20年以上の人気を誇り、このほど登場した新製品は13代目となる。

「ゼクシオと一緒にこの工場、ダンロップゴルフクラブは成長している。ゼクシオがあるからこそ難しいことにチャレンジさせてもらえ、大きく飛躍できたと思っている。いまもその成長過程」と米山さん。2024年に35周年を迎える宮崎工場の挑戦はまだまだ続く。なにせ21世紀の100年ブランドなのだから。

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