「100年続くブランド」を目指して 次の20年に向けた再構築
「次の20年」のため新たなユーザー獲得へ
そして2019年、「ゼクシオ」は令和最初の冬に「リブランディング宣言」という形で、新たなスタートを切ることとなる。
「20年経ってブランドが浸透した一方で、停滞感も出てきます。ゼクシオ(XXIO)という名前には、『21世紀の王者=100年続くブランド』という意味が込められています。それに向けた次の20年に対して、何が足りないか、何が必要かを考えた結果、『リブランディング宣言』という形になりました」
かつての“部長さん”だった世代が50代だとすると、現在は70代ということになる。これまでのユーザーを大事にしながら、新たなユーザーを取り込むために動き出すタイミングだった。
イギリスで見た『ゴルフがある一日』
「ゼクシオ」がナンバー1ブランドとして駆け抜けた20年の間に、ターゲット層となるゴルファー像はひと言で表現できるものではなくなっている。
社内コンペや接待といったゴルフよりも、気の合う友人と仕事抜きで楽しむゴルフが増加してきた。夫のゴルフに不満を持っていた妻は、一緒に楽しむ仲間になり、子供たちも交えてプレーするという姿を見ることも珍しくなくなった。
「時代とともに楽しみ方や求めるものが確実に多様化してきています。マーケティングの世界では“モノ消費”から“コト消費”へ変化したと言われますが、私としては情緒的価値の発展形が“コト消費”の意味、つまりは“体験価値”なのかと考えています」
行き帰りの車内で会話や音楽を楽しみ、ゴルフをプレー。さらにアプリを通じてラウンドを振り返り、コースにいる時間以外でもゴルフに触れられる――。「ゼクシオ」を通じて、“体験価値”を提供することが「リブランディング」の大きなテーマとなる。
原点には、「ゼクシオ」の企画書を仕上げた後に出張で訪れたイギリスで見た風景があるという。
「夕方、おじいちゃんが手引きカートで孫とハーフだけプレーしていました。環境が違うので、日本でも同じようにとはいきませんが、『ゴルフのある一日』っていいなと思いました」
これからは、人それぞれの『ゴルフのある一日』を見つける時代。「ゼクシオ」の生みの親は、そこでも爽快な打球音を響かせようとしている。