「日本ツアーで最も飛ばす男」も納得 シューズでゴルフは変わるんだ
国内男子ツアー2020-21年シーズンで賞金ランキング39位に入り、28歳で初めてシード権を手にした幡地隆寛。平均飛距離では初の1位(313.04yd)となり、持ち味とするパワーでゴルフファンに存在感を印象付けた充実のシーズンとなった。
体の捻転差を意識したスイング改造だけでなく、シーズン途中でのシューズ変更も、納得のパフォーマンスを発揮できた要因だという。シューズがツアープロにもたらす変化とはどのようなものだろう? 幡地に真意を聞いた。
希薄だったシューズへの意識
好調や復調の理由についてスイングやクラブの調整を挙げる選手は多いが、シューズの話題を持ち出すことは珍しい。かつて、鈴木愛が賞金女王だったころ、オフ期間のシューズ選びが間に合わず、シーズン開幕を迎えても複数メーカーのシューズを日替わりで履いてプレーしていた時期があった。「足に負担がかからない疲れにくいシューズ」を求めて、わずかの妥協も許さず、手当たり次第に模索を続ける姿勢が印象に残っている程度だ。
実際、昨シーズンまでの幡地は、「軽ければいい、という感じであまりこだわりなく履いていた」と自ら振り返るほどで、シューズへの関心はそれほど強くはなかったという。フィット感や疲れにくさなどシューズの機能に不満がなかったのだから、とても幸福なゴルフシューズ観ではあったわけだ。ところが、予選会をくぐり抜けたおかげで例年よりも出場試合数が増加した2021年、様相が変わった。
6月の「日本ゴルフツアー選手権」で5位、翌7月の「日本プロゴルフ選手権」で9位タイと国内メジャー戦で好調なプレーを見せたものの、連戦が続くシーズン後半戦に差し掛かると、徐々にショットの精度が落ちていった。
予選落ちが目立ち始め、11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」では4位タイで終えたものの、自身の中ではその結果に納得できるようなパフォーマンスではなかったという。「疲れがたまっていたのだと思います。ドライバーの飛距離も試合ごとに落ちていっている感覚がありました」。
そんな状況で、幡地はシーズンの終盤に、これまで抱いていたシューズへの認識を改めることになる。
「シューズでこんなに変わるんだ」
きっかけは、連戦のさなかに発表前の新作シューズを履く機会があったことだ。足を入れた瞬間から「今まで味わったことがないフィット感」が伝わってきたという。
実際にラウンドに出てみても、フルスイングをしても軸がブレる感覚がない。連戦の疲れを自覚するようになってからは、踏ん張り切れずに飛距離を落とし、自分らしい捻転を使うスイングの精彩を欠いていたというのに…。
「10yd以上は飛距離を取り戻したと思います。シューズでこんなに変わるんだ! と思いました」
幡地はさっそく担当者にツアーでの使用を申し入れ、自身のシーズン最終戦となった11月の「カシオワールドオープン」で初投入した。初日に9位の好発進を決めると、その日のドライビングディタンスでは317ydを記録。パットがかみ合わず、最終的には順位を32位タイまで落としたが、「4日間、力が落ちることなくプレーできました」と納得の表情でシーズンを締めくくることができた。
幡地がその試合で着用したのは、フットジョイの「TOUR ALPHA」(ツアーアルファ)。ツアー使用率№1ブランドが、プレーヤーの飛距離パフォーマンスを最大に生かすため、フィット性と安定性にこだわって開発したシューズだった。