ゴルファーの夢を実現 フジクラが生み出す垣根を越えた「刺激」
ジュニアやアマチュアにプロ、年齢や性別にスキルといった垣根を取り払ったゴルフ大会がある。シャフトメーカーの藤倉コンポジットが主催する「Speeder Challenge(スピーダーチャレンジ)」だ。すべてのゴルファーが参加できる男女混合プロアマ競技として2018年にスタートし、ことしで7回目を迎えた。いったいどんな大会なのか。
■異色! プロアマ混合の真剣勝負
12月上旬、茨城・イーグルポイントゴルフクラブに幅広いカテゴリーのゴルファーが集まった。全国7カ所で実施された「アマチュアシングル」「プロ・研修生」「ジュニアシングル」「アマチュアダブルス」の4部門の予選を勝ち上がった選手たちだ。
この日の決勝には主催者招待で、ことし3勝をマークした幡地隆寛ら男子プロ8人と、昨年大会優勝で今季ツアー2勝目を挙げた山内日菜子ら女子プロ7人が加わり、中高生ジュニアと一般アマチュア、予選突破プロ&研修生、さらにダブルスの20組40人、合わせて男女133人が出場。各部門の頂点を目指し、真剣勝負が繰り広げられた。
天候は晴れ。トップスタート前の午前7時過ぎの気温は2℃。手がかじかむほどの寒さだったが、「過去6年は、ほぼ雨だった」(大会主催者)とあって最高のゴルフ日和に。ただし、遊びの雰囲気はなかった。アマチュア選手にとって、予選を突破して機会を得たプロとのラウンドとはいえ、あくまで競技。会場の空気は張り詰めていた。
■始まりは競技ゴルフに接する機会の提供
そもそも、同大会はどのように始まったのか。藤倉コンポジットACP事業部の営業部プロモーションリーダー、飯田浩治さんは「もともと、ゴルフはするけど、競技をする社員があまりいなかったので、いろんなゴルフを知ってもらおう、競技ゴルフに接する機会をつくりたいと思ったのがきっかけのひとつ」という。
第1回大会は2018年。ちょうど、フジクラのシャフト『スピーダー エボリューション』シリーズが軌道に乗ってきた頃だという。「アスリート系の『ベンタス』が出るちょっと前で、まだ競技ゴルファー部門では強くなかった。ブランドを認知してもらおうという感じだった」(同)。運営には社員7、8人も携わり、のぼり旗を立てたり、テントを張ったり。社内では年末のイベントとして定着している。
「一人ひとりのプレーヤーにベストフィットのシャフトを」というビジョンの浸透を目指す同社。とはいえ、大会参加者はフジクラユーザーに限っているわけではない。「試合の場を提供したいというのが一番。ジュニアとアマチュアがプロと真剣勝負する機会はあまりない。それを提供できたらいいと思った。しかも、予選を1回勝ち上がるだけでプロと回れる可能性があるので、そこはすごく喜んでもらっている」(飯田さん)
■「憧れ」のプロと同組ラウンドを成長の糧に
なかでもジュニアの真剣さは際立っている。今季女子ツアーでルーキーとしてプレーした清本美波は2018、2019年、来季の米ツアー出場権を獲得した馬場咲希は2020年に、ともにジュニア部門優勝。プロへの「憧れ」を持って同大会に挑み、いまや次代を担うプロゴルファーに成長した選手が模範となっているからだ。
今大会の予選では、ゴルフの強豪校とされる沖学園(福岡)や日章学園(宮崎)など、学校単位での参加も目立ったといい、「試合はアマチュアにも認知されてきている」と飯田さん。プロとのラウンドはもとより、ツアーも行われてきたコースでプレーできる機会も、アマチュア選手にとってモチベーションが高まる理由になっている。