フジクラ特集
2025/09/29

清本美波が活路を見出した『NEW MCI』の進化と実力

連載:老舗シャフトメーカーが誇る伝統と新たな血統
清本美波の今後の活躍のカギを握る「NEW MCI」

2023年の女子プロテストでトップ合格を果たし、一躍脚光を浴びた清本美波。昨年のファイナルQTでは25位となり、今季前半戦の出場権を獲得。飛躍を期待されつつも、厳しいコースセッティングに苦戦している。そんななか、巻き返しへ向けて一筋の光明を見出した。藤倉コンポジットの新シャフト「NEW MCI」との出合いである。

■硬いグリーンでは止まらないアイアンショット

苦戦の理由のひとつがアイアンショットだった

ツアー2年目を迎えた清本にとって苦しい戦いが続いていた。開幕から7試合に出場した時点で、予選通過がわずか1試合。合格率が3%といわれる難関の女子プロテストを1位で突破し、昨年のファイナルQTで25位に入った実力を持ちながら、なぜツアーでは実力を発揮できないのか。その理由はアイアンショットにあった。

「私の場合、アイアンショットの弾道が低く、硬いグリーンだとボールが止まらないんです。ピンそばにボールを落としても、転がってグリーンをオーバーすることもありました」

天候条件にもよるが、最近のJLPGAツアーではグリーンのコンプレッションが硬めに設定されているため、ボールをグリーンに止めるには、ある程度の高さとスピン量が求められる。さらに、ヤーデージも長めに設定される傾向があり、ドライビングディスタンスが225ヤード前後の清本の場合、自然と持つクラブも長くなる。

ドローボールが持ち球。課題はどこにあったのか

「特にドローボールが持ち球の私にとって、左奥にピンがあるときが嫌でした。ボールが転がってグリーンをオーバーすると、パーセーブが厳しくなるからです」

グリーン奥のラフから下り傾斜に向かってのアプローチは難度が高く、ひとつ間違えればダブルボギーさえあり得る。女子プロテストやファイナルQT、ステップアップツアーではそこまでグリーンが硬くなかったため、長いクラブでグリーンを狙ってもボールを止めることができた。JLPGAツアーで勝負するには、スピン量を増やし、弾道を高くすることが急務だった。

■スピン量が5500rpmまでアップ

ツアー担当の近藤誠親氏にはジュニア時代からサポートを受けてきた

止まらないボールに悩んでいた清本が、藤倉コンポジットのツアープロ担当、近藤誠親氏から、あるシャフトが渡されたのは、5月の「ワールドレディスサロンパスカップ」の練習日のこと。同社のヒット作「MCI」の後継となる「NEW MCI」だった。プロモーションが始まったばかりの段階だったが、清本は早速試打を勧められた。

当時、スチールシャフトを使っていたが、カーボンシャフトに替えてみようかと考えていたこともあり、まさに渡りに船だった。スペックは80グラム台のフレックスS。初代MCIを長く使っていた経験があっただけに、振りやすさなど少しも違和感がなかった。

「私の場合、フルショットすると左に曲がる傾向があったのに、このシャフトではその不安がなく、思い切ってフルショットできました」と好感触を得た。ところが、ひとつだけ想定外の問題があった。飛距離が10ヤードほど伸びてしまったのだ。これでは距離感が合わなくなると思い、すぐに変更することができなかった。

すすめてもらったシャフトが好感触

翌週の「Sky RKBレディスクラシック」の練習日に近藤氏から「NEW MCI」の70グラム台、フレックスRのシャフトを手渡された。「以前、試打クラブを打ってもらったときに70グラム台の方がスピン量が多く、Rシャフトの方がインパクトの入り方がきれいな分、スピンロフトもつきやすかったんです」という近藤氏の読みどおり、その効果はすぐ表れた。

「自分にピッタリ合ったシャフトでした。フルショットしても引っかける心配がなく、飛び過ぎることもないので距離感も合いますし、スチールシャフトよりもボールが高く上がって止まり始めたんです」

データ上も変化は明らかだった。7番アイアンでのランディングアングル(弾道落下角度)が39度から44~45度に変わり、スピン量も4000rpm台から5500rpmまで増加した。結果、ランも約5ヤードに収まり、清本は即座に実戦投入を決断。大会2日目にシーズン自己最多タイとなる4つのバーディを奪ってみせた。

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