ゴルフがもっと楽しくなる? 大手自動車メーカーの描く未来像
近年のクルマ作りにおいて、世界各国のメーカーはさまざまな種類のモデル開発を進めている。時代の流れとともに消費者ニーズは変わり、ライフスタイルや価値観の多様化によってクルマに求められることも変化してきた。それは、ゴルファーのクルマ選びも例外ではないだろう。
そのような状況下で、本田技研工業(ホンダ)が11月17日に発表した新型SUV(スポーツ用多目的車)には、“ゴルファーが自信を持って朝イチのティイングエリアに立てる”という期待が込められているという。それはどのようなモノなのか。同社開発戦略統括部の河口展之(かわぐち・のぶゆき、以下敬称略)チーフエンジニアに聞いた。
変化しつつあるクルマ作りのテーマ
かつてはクルマに所有感やステータスを求め、国内外の高級セダンが注目を集めた。1990年代からはファミリー層を中心にミニバンが人気を博し、近年は走行性と利便性を備えたSUVがトレンド化。その背景にあるのはクルマに求める性能の多様化と推測でき、メーカーにとってはクルマ作りにおいて意識を傾けている部分でもあるという。
「価値観の多様化というのは、我々のなかでも大きなテーマです。ファッションと一緒で、価値観が人それぞれで少しずつ違う時代になっている。ターゲットのユーザー像をしっかりと調査して、価値観の多様化に向けて取り組んでいくことが非常に大切であると思っています」
SUVという限られたカテゴリーにおいても、求められるコンセプトの変化を感じ取っている。「これまではユーティリティ性やタフさを重視していましたが、これからは社会に溶け込みながら自分を表現するスマートさを満たしたSUVを提供する時代だと思います」。コースへの移動にクルマ利用が多いゴルファーにとっても、魅力的に映る要素だろう。
ゴルフ熱の高い日本車メーカー
かねてホンダはゴルフとの関わりが深く、日本では他社と一線を画すほどの“ゴルフ熱”が伝わってくるメーカーだ。国内外のトーナメントでは複数大会のタイトルスポンサーを務めるほか、女子ゴルフでは宮里藍や笹生優花、岩井明愛・千怜姉妹らと契約。公式ホームページ内では、ゴルフの情報サイト「Honda GOLF」を運営している。河口によれば「社内にはゴルフ好きが多い」そうで、開発に携わる自身も例外ではなく「どうしてもゴルフ目線でクルマを見てしまう」という。
来春に発売するSUVモデル「ZR-V」のプロモーションイベントがGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスで行われたことも、ゴルファーに向ける意識の高さの表れといえるだろう。そんなゴルフへの理解が深いホンダが送り出す新モデルは、どのような性能を備えているのだろうか?