HS40m/sでも打てるツアーモデル「パラダイム TOUR ドライバー」
これまで4機種展開だったキャロウェイの「パラダイム」シリーズドライバー。新たに「パラダイム TOUR」と「パラダイム トリプルダイヤモンドS」という、2つのツアーバージョンモデルが加わった。これまでツアープロだけが手にしていたモデルで、国内外のトップ選手が使用し、マニアの中では大きな話題となっていた。今回は「パラダイム TOUR ドライバー」について、既存モデルとの違いをギア知識豊富なミタさんが解説。パワーヒッターのヨシダくん(HS50m/s)とベテランアマのシオさん(HS40m/s)が試打して性能に迫る。
クラブの特徴は?
【ミタさん】
今日はキャロウェイから数量限定で発売された「パラダイム TOUR ドライバー」です。
【ヨシダくん】
モデル名に「TOUR」と入っていますが、本当にツアーモデルなんですか?
【ミタさん】
はい、正真正銘のツアーモデルです。プロが試合で使っているクラブのネック部分には、「TC」からはじまる番号が刻まれています。「TC」はTour Certifiedの頭文字で、ツアー認定という意味です。今回発売されるモデルのネック部分にもまったく同じ刻印が入っています。
【ヨシダくん】
ホントだ! よく見るとヘッドのネック部分に小さい文字が書かれていますね。
【ミタさん】
PGAツアーでは、同社と用具使用契約を結ぶダニー・ウィレットも使っていますし、契約外のジャスティン・ローズが今作を使用し、4年ぶりの復活優勝を飾っています。
【シオさん】
「パラダイム ドライバー」と似ていますね…違いを教えてください。
【ミタさん】
ヘッドサイズは455ccで、460ccのスタンダードモデルと比べて少し小さくなっています。大きな違いはウエイトですね。「―TOUR」はソール前方に約2gのウエイトを搭載し、浅重心になっています。さらに、ヘッド後方の移動式ウエイトを13.5gから15gに変更したことで、重心位置がニュートラルに近くなっています。
【ヨシダくん】
確かに従来の「パラダイム」や「―X」をツアープロが打つと、つかまりすぎてしまいそう。重心位置を変えることで、ストレート弾道に調整しているんですね。
【ミタさん】
ツアープレーヤーのフィードバックを重視して設計しているのだと思います。
【シオさん】
私には難しそうな気がしますが、ひとまず打ってみましょう…。
試打した印象は?
【ヨシダくん】
ヘッド体積が5cc小さくなったとはいえ、構えた印象だと投影面積が大きくてスタンダードモデルとほとんど同じ顔です。
【ミタさん】
はい、「―トリプルダイヤモンド」や「―トリプルダイヤモンドS」のような、いかにもツアーモデルという形状ではありません。
【ヨシダくん】
打感は従来モデルと違い、弾き系ではなくてフェースに乗っている感覚があります。
【ミタさん】
弾道や飛距離はどうでしたか?
【ヨシダくん】
飛距離性能は申し分ないし、安定感があります。数球打ってみてもバックスピン量に大きな差がないので打球のバラツキが少ない。弾道はストレートに近い中弾道でした。ツアープロが打ちたいボールだと思いますね。
【シオさん】
僕の第一印象としては、思ったほど難しくなかったです。球もきちんと上がるし、決して超低スピンタイプのヘッドではありません。
【ミタさん】
1球目からナイスショットでしたね。
【シオさん】
今回試打した「VENTUS TR BLACK 6(S)」との相性がすごく良くて、タイミングを取りやすかったです。アスリート仕様のシャフトとマッチするヘッドだと思います。
【ミタさん】
打ち出し角17度はシオさんにしては理想的な数字ですよね。
【シオさん】
一発の飛びというよりも、綺麗な打球が打てそうな感覚がありました。
【ヨシダくん】
優等生って感じがしますよね。
【シオさん】
そうそう。想定外のミスショットが出る感じがしません。
【ミタさん】
試合を戦う選手たちが求めているのは、直進性や安定性だと言えそうですね。
まとめ
【ミタさん】
今回新たに加わったツアーバージョン2機種の中でも打球方向とスピン量の安定感が魅力的な「パラダイム TOUR」。ヘッドスピード50m/sのヨシダくんが打っても、左へのひっかけや右にプッシュするボールが一球も出ませんでした。ヘッドスピード45m/以上の中・上級者にとっては、高確率でフェアウェイにボールを運べる優秀なドライバーだと思います。
【ヨシダくん】
飛距離性能は「―トリプルダイヤモンドS」の方が上だと思いますが、OBが減るのは「―TOUR」だと思います。
■ 試打したクラブのスペック
キャロウェイ パラダイム TOUR ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:VENTUS TR BLACK 6 ●硬さ:S
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ ヨシダくん プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。