新製品レポート

抜けよし顔よし打感よし…落下角も非常によし「T100 アイアン」(2023年)

2023/08/04 18:00

タイトリストのアイアン「Tシリーズ」が、2023年モデルとしてフルリニューアル。「T100」、「T150」、「T200」、「T350」の全部で4機種が発表された。今回は「T100 アイアン」の最新作について、ギアの知識が豊富なミタさんが特徴を解説。マッスルバック好きのヨシダプロとベテランゴルファー・シオさんが試打して、ヘッド性能を探った。

クラブの特徴は?

前作(写真下)とロゴの位置の違いで、より洗練されたシャープな印象を与えるデザインに

【ミタさん】
今回紹介するのは、世界中のゴルファーが待ちわびていた、タイトリストの新しいアイアン「T100」です。

【ヨシダくん】
ホントにカッコイイ! 打つ前から欲しくなりました(笑)。いつもタイトリストのアイアンはカッコイイけど、やはり“Titleist”のロゴがバックフェース上部に刻印されているのがいいですね。

【ミタさん】
確かに前作からロゴの位置が変わって、さらにデザインが洗練されましたね。タイトリストの良さは、モデルチェンジをしても大幅に見た目や性能を変えるのではなく、着実に一歩ずつ進化するところ。変わらない部分と進化している部分があるから、PGAツアーのトップ選手たちが信頼して長年使い続けているのだと思います。

素材はそのままに、さらに打感を向上させた軟鉄アイアンを試打

【シオさん】
たしかにタイトリストは正常進化を続けているイメージがあります。ツアーでの使用が解禁された初戦から、多くの選手が実戦投入しますよね

【シオさん】
性能としてはどのように進化しているのですか?

【ミタさん】
今回の「Tシリーズ」のテーマは「FEEL」。つまり、打感をさらに向上させています

【ヨシダくん】
素材は軟鉄のままのようですが、どのようにして打感を良くしたんですか?

スコアラインの加工方法の変更により、スピン性能と安定感が向上

【ミタさん】
まずバックフェースにある「セントラルサポートバー」という横方向を支える柱を前作よりもフェース側に近づけることで、軟鉄の感覚がダイレクトに伝わる構造になっています。また、スコアラインの加工方法も変えています。今までよりも溝を丁寧にゆっくり削ることで、最後のブラッシングの過程が不要になりました。その結果、ボールにコンタクトしたときに、より接地面がフラットになってスピン性能と安定感が向上しています。

【ヨシダくん】
ソール形状に変化はありますか?

【ミタさん】
ソール形状はツアープレーヤーにとって、抜けの良さに影響する重要な部分です。プロのショットやターフを分析すると、トウダウン現象によってトウ側のターフが多く取れていることが分かっています。そのため、新「T100」ではトウ側のバウンスを増やして、深く潜りすぎないようにしています。また、トレーリングエッジ側(バックフェース側のエッジ)のソールも少し落としていて、地面に引っかかりにくい形状になりました。

【ヨシダくん】
だいぶ実践的。これは打つのが楽しみですね!

試打した印象は?

見た目は小ぶりでシャープな印象。アスリートが好む形状に仕上げられている

【シオさん】
とてもいい顔をしていますね。迷うことなく構えることができて、フェースをスクエアにセットしやすいです。

【ミタさん】
打った感覚はどうでしたか?

【シオさん】
打感は文句なしの満点! インパクトでボールがつぶれる感覚と、フェースに食いつくフィーリングが最高です。なんだかアイアンが上手くなった気がします(笑)。

シオさんとヨシダくんの「T100 アイアン」(7番34度)試打データ

【ミタさん】
落下角度が45度以上出ていて、理想的な弾道でした。飛距離が安定していて、かつグリーンで止まりそうな球筋ですね

【シオさん】
タテ距離のバラツキが少なく、安定感抜群です。前作に比べると寛容性が高くなっているように感じました。

【ミタさん】
トウ側とヒール側には高比重のタングステンが入っているので、見た目以上に慣性モーメントは大きいと思います。ヨシダくんはどうでしたか?

ソール形状はトレーリングエッジ側を少し落とし、抜けを良くする工夫がされている

【ヨシダくん】
僕も打感は満点。構えた時のカオは前作と極端に変わっていませんが、トップラインがスッキリしてよりシンプルになったと思います。その違いはほんの数ミリかもしれませんが、ヘッドが大きくなったように感じました。

【ミタさん】
試打した印象は?

【ヨシダくん】
一定以上のスキルを持ったゴルファーなら、誰が打っても文句なしのアイアンだと思います。スピン性能が高く、ドローとフェードを打ち分ける操作性も備えています。それでいて、思ったほどハードではありません。ひと昔前のタイトリストでいうと、「CB」と「AP2」の中間のように感じました

打ち出し角とスピン性能に優れた、安定感のあるアイアン

【ミタさん】
打球の落下角度も理想的でしたね。

【ヨシダくん】
安定して47度~50度が出ていたので、グリーンにビタッと止まってくれそうでした

【ミタさん】
ツアーモデルですが、シオさんも普通に打ちこなせていましたね。

【シオさん】
7番で34度とロフトがあるので、思っていたより打球が上がってくれました。私も難しい印象は受けませんでしたね。

まとめ

2人そろって“打感”と“かっこよさ”は5点満点。操作性と安定性を両立したバランスの良い本格派アイアン

【ミタさん】
2人とも「打感」と「かっこよさ」の項目で満点をつけた「T100 アイアン」。タイトリストらしい洗練されたデザインと、前作を上回る打感の良さが魅力です。決してハードヒッター向けというわけではなく、打点が安定している中・上級者であれば十分に使いこなせるでしょう。ただし7番のロフト角は34度と、イマドキの飛び系アイアンほどの飛距離性能は期待できません。打ち出し角が高くスピン性能に優れているため、ベテランゴルファーにとっては安心感のある弾道だと思います。

【ヨシダくん】
タイトリストが生み出した新本格派アイアン。番手通りの飛距離を求める方は、ぜひ一度試してみて欲しいです。

■ 試打したクラブのスペック

タイトリスト T100 アイアン(2023年)
●番手(ロフト角):7番(34度) ●シャフト:ダイナミックゴールド ●硬さ:S200

タイトリスト T100 アイアン(2023年)

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ ヨシダくん プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

タイトリスト
発売日:2023/08/25 参考価格: 165,000円