新製品レポート

「T300」より打感が柔らかいぞ タイトの本気度を感じる「T350 アイアン」

2023/10/02 07:00
2021年発売の「T300」と比べて高反発エリアが拡大したという「T350 アイアン」を調査

PGAツアーでの愛用者が多いタイトリストの「Tシリーズ」アイアン。「T100」「T150」「T200」が一般的なツアーモデルなのに対し、「T350」はヘッドが大きめの飛び系モデルだ。過去作にはなかった「T350 アイアン」について、ヘッドの性能や構造をギアマニアのミタさんが分析。さらにマッスルバックユーザーのヨシダくん(HS50m/s)とキャビティバックユーザーのシオさん(HS40m/s)に試打してもらった。

クラブの特徴は?

【ミタさん】
本日紹介するのは、新「Tシリーズ」アイアン4機種の中で最もやさしい「T350」です。

【ヨシダくん】
そもそもタイトリストが「Tシリーズ」として飛び系アイアンを発売する必要はあるんでしょうか? 個人的には「T100」「T150」「T200」で最高のツアー向けシリーズになっていると思います。

打つ前は「T350」の存在に疑問を抱いていたヨシダくんだが、打ってみると納得の表情

【ミタさん】
競技ゴルファー目線だとそのような意見が出てくるかもしれませんが、最近は日本だけでなく米国でもアイアンに飛距離を求めるゴルファーが増えています。そのニーズに応えるため、今回の「T350」はゼロベースでリニューアルしています。

【シオさん】
前作には「T300」というモデルがありましたが、今回の「T350」とはどんな違いがあるのでしょうか?

【ミタさん】
「T300」はワンピースのキャビティ構造でしたが、今作は複数の素材を融合した中空構造です。

【ヨシダくん】
素材も構造も大幅に変えるのは、タイトリストの本気度を感じますね

「T350」と「T200」。ヘッドの大きさは違えど、バックフェースのデザインは似ている

【ミタさん】
今作では「T200」のボディ設計をベースに鍛造の中空ボディを採用し、打感の良さを追求しています。ソール幅は今回のシリーズで1番広くなっていますが、抜けの良いソール形状は「T100」や「T200」と同じです。またミスに強い構造はそのままに、ヘッドを大きく、トップラインを厚くすることで、さらに寛容性と飛距離性能を高めています

【シオさん】
私のようなシニア世代にとっては、ミスに強くて飛ぶアイアンはありがたいです。飛び系でここまでかっこいいヘッドはなかなか見かけません。ぼってり感がなく、たしかに「T200」の雰囲気に近いです。

【ヨシダくん】
この大きさで打感が良いというのはあまり想像できないな…。試打して確かめてみましょう。

試打した印象は?

ヘッドは大きめだが、トップラインは厚すぎずスッキリした印象

【シオさん】
バックフェースのデザインは「T200」に似ていましたが、アドレスしたときの印象は全く違います。ヘッドがふたまわりくらい大きく、グースネックになっているので、つかまりが良さそうな顔です。ターゲットに対してまっすぐ構えやすく、トップラインが厚めになっているので安心感があります。

【ミタさん】
飛距離や弾道はどうでしたか?

【シオさん】
HS40m/sの私が7番を打って、キャリーで150yd近く飛ぶので飛距離性能は高いと思います。「T200」と比べると、直進性に優れていて、曲がり幅は「T350」の方が少なかったです。ただし、私はもともと打ち出し角が低いタイプなので、ボールを上手く上げられませんでした。もう少しヘッドスピードのある人が打てば、飛び系アイアンの恩恵を受けられるのかもしれません。

シオさんは「T200」と「T350」を打ち比べて、弾道が安定していた「T200」を選んだ

【ミタさん】
打感はどうでしたか?

【シオさん】
打感は「T200」とは違いました。でも決して嫌な打感ではないし、嫌な弾き感は抑えられていて好印象です。「T300」と比較するとあきらかに柔らかい! このサイズのアイアンで、食いつき感のある打感は珍しいですね。

【ミタさん】
今回の「Tシリーズ」4機種の中ではどのモデルが合いそうですか?

【シオさん】
4モデルを打ち比べてみると、ミスヒットへの強さと見た目のカッコよさを兼ね備えた「T200」が一番良かったです

シオさんとヨシダくんの「T350 アイアン」(7番29度)試打データ

【ヨシダくん】
僕が打つと、7番アイアンで200ydも飛びました

【ミタさん】
試打データでは、「T200」よりも25ydくらい飛んでいます。7番で29度とストロングロフト設計になっているので、ハードヒッターのヨシダくんが実戦で使うのは難しそうですね…。

【ヨシダくん】
たしかに飛距離性能は高いのですが、タテ距離のバラツキが気になりました。10球くらい試打しましたが、ナイスショットしたときと少し芯を外したときの飛距離差が大きい。でも飛び系にしては弾き感が抑えられていて、シオさんの言う通り「T300」よりも打感が良いです。芯を外しても曲がらないし、想像以上にやさしいアイアンでした。

トウ側とヒール側に配置された高比重のタングステンにより、高弾道で飛ばせる

【ミタさん】
ヘッド内部はトウ側とヒール側の両方に高密度のタングステンを内蔵しているので、見た目以上に低重心設計になっています。そのため、ストロングロフトでも高弾道で飛ばせますし、4機種の中でも慣性モーメントは圧倒的に高いです

【ヨシダくん】
でも私は「T150」がベストでした。4機種そろっていることで、様々なレベルのゴルファーが自分に合うアイアンを選べるというのは魅力的ですね

まとめ

寛容性や打感の良さを備えた飛び系アイアン。初心者の「Tシリーズ」デビューにおすすめのモデル

【ミタさん】
前回紹介した「T200」よりも、さらにやさしくて飛距離性能が高い「T350 アイアン」。競技ゴルファーのヨシダくんとベテランゴルファー・シオさんの評価はイマイチでしたが、これから本気で上手くなりたいと思っている初心者にぜひ使って欲しいモデルです。ソール幅が広くてダフリのミスに強く、オフセンターヒットしても左右の曲がり幅が小さい。100切りを目指す人にピッタリのアイアンです。

【シオさん】
初心者のコースデビューから上達をサポートしてくれるようなアイアンだと思います

■ 試打したクラブのスペック

タイトリスト T350 アイアン
●番手(ロフト角):7番(29度) ●シャフト:N.S.プロ105T ●硬さ:S

タイトリスト T350 アイアン

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ ヨシダくん プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

タイトリスト
発売日:2023/08/25 参考価格: 165,000円