その力強いやさしさは「スリクソン」と「ゼクシオ」のいいとこどり「ゼクシオ エックス ドライバー」
国内No.1ブランド「ゼクシオ」シリーズは、2019年の「ゼクシオ イレブン」から“二枚看板”体制となり、スタンダードモデルの兄弟モデルとして「ゼクシオ エックス」が発売されるようになった。今回は、12月に発売される3代目「ゼクシオ エックス ドライバー」の特徴をギア知識が豊富なクラフトマン・ミタさんが解説。そしてアスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)に、試打した評価を本音で語ってもらった。
クラブの特徴は?
【ミタさん】
今回紹介するのは「ゼクシオ 13」と同時に発表された3代目の「ゼクシオ エックス ドライバー」です。
【シオさん】
10月の国内女子ツアー(NOBUTA GROUP マスターズGCレディース)で優勝した菅沼菜々が使っていたので気になっていました。女子プロだと「ゼクシオ」を使っている選手もいますが、そもそも「ゼクシオ」と「―エックス」は何が違うんですか?
【ミタさん】
「ゼクシオ」のコンセプトは“やさしく、高弾道で大きく飛ばす”ですが、「―エックス」は“振り切れる強弾道で大きく飛ばす”ことです。クラブ総重量はフレックスSで「ゼクシオ 13」が286gなのに対して、301gと少し重めになっています。やさしさだけでなく、力強さを備えているのが「―エックス」です。
【シオさん】
調整機能もついていますよね?
【ミタさん】
はい、ネック部分でフェース角、ライ角、ロフト角を調整できます。「スリクソン ZX」シリーズとの互換性もあるので、様々なカスタムシャフトを試しやすいのもポイントです。
【ヨシダくん】
ソールのデザインもブラックを基調としたカラーリングで、スリクソンっぽい雰囲気を感じますね。
【ミタさん】
雰囲気だけでなく、ヘッド性能で共通している部分もありますよ。ヘッドには「スリクソン ZX」シリーズに搭載されている、リバウンドフレーム構造を採用。トウ側とヒール側でそれぞれフェース上部の丸みとヘッド剛性を最適化した「バイフレックスフェース」の効果と合わさることで、従来モデルに比べて初速と飛距離性能が大きく向上しています。
【シオさん】
クラウンには「翼」もありますね。
【ミタさん】
「ゼクシオ 13」と同様に2段式のニューアクティブウイングを採用しており、空力コントロールによる安定感がアップしているそうです。
【ヨシダくん】
話だけを聞いていると、「スリクソン」と「ゼクシオ」のいいとこどりをした感じですよね。そんなオイシイ話ありますかね…。
【シオさん】
実際に試打して検証してみましょう。
試打した印象は?
【シオさん】
前作の「―エックス」と比較すると、クラウンのデザインがシンプルになっていて、とてもカッコイイ! ターゲットに対してまっすぐ構えやすいです。ヘッド体積は460ccですが、「ゼクシオ 13」と比べてふた回りくらいシャープに見えます。
【ミタさん】
打った印象はどうですか?
【シオさん】
打球音は「ゼクシオ 13」と全然違いました。高音で爽快な感じではなくて、「締まった音」という印象です。しっかりとボールに食いつく感覚があって、すごく心地のいいフィーリングでした。純正シャフトは、ヘッドスピード40m/sの私が打ってちょうど良い重さと硬さです。10球くらい続けて打ちましたが、打球が左右にバラつく感じがなく、弾道が安定していました。
【ミタさん】
飛距離も240ydぐらい飛んでいましたね。
【シオさん】
飛距離性能は十分です。弾道は「ゼクシオ 13」に比べると低めで、バックスピン量は約1000回転も減りました。つかまりが抑えられており、直進性が高いです。
【ヨシダくん】
顔がすっきりしていて、フェースをスクエアにセットしやすいです。アドレスでポンと置いた時の座りが前作より良くなったと思います。シオさん同様に私もスピン量は1000回転以上、少なくなりました。サイドスピンが少ないので、ストレートボールが打ちやすい。強めの中弾道で、打球がねじれないのが特徴です。
【ミタさん】
「スリクソン」シリーズと比較すると、どうですか?
【ヨシダくん】
「スリクソン」ほど叩ける感覚はありませんが、「ゼクシオ 13」よりはしっかり感があるのでその中間だと思います。決して一発の飛距離があるドライバーではないけれど、何球打っても同じ弾道が打てる再現性の高さに驚きました。純正シャフトはしっかり感があって、海外メーカーのドライバーを使っている人でも違和感がない振り心地だと思います。クセがなくて振りやすかったです。
【シオさん】
弾道がそろっていて、気になるような変なミスは出ません。本番のラウンドでもOBの心配がなさそうな安心感が魅力ですね。
まとめ
【ミタさん】
シニア世代に人気のスタンダードモデルに比べて、「―エックス」は30代・40代のゴルファーでも十分に使えるドライバーです。「ゼクシオ 13」だと軽すぎるけれど、「スリクソン」シリーズはハードルが高い…というゴルファーにピッタリだと思います。対象のヘッドスピードは40~43m/sくらい。ヨシダくんが打ってもシオさんが打っても弾道の再現性が高かったので、安定してティショットが打てるでしょう。女子プロで実戦投入している選手がいるように、競技ゴルファーが使うのもアリだと思います。
【ヨシダくん】
打ち出し角やスピン量の試打データを見ても、教科書通りのナイスショットが打てるモデルだなと感じました。
■ 試打したクラブのスペック
ダンロップ ―エックス ドライバー(2023年)
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Miyazaki AX-3 ●硬さ:S
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ ヨシダくん プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。