新製品レポート

何だこの余韻…今回の「7」は打感がヤバい スリクソン「ZXi7/ZXi5/ZXi4」アイアン

2024/10/21 15:00
11月9日に発売されるスリクソン「ZXi」アイアン3機種(左から『ZXi4』『ZXi5』『ZXi7』)

スリクソンのアイアンが2年ぶりにリニューアル。11月9日に新作「ZXiシリーズ」が発売される。「ZXi5」、「ZXi7」、そして「ZXi4」の3タイプ。女子プロが続々新モデルにスイッチするなど、早くもその評価は高い。新しい「ZXiアイアン」の特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。気になる打感、弾道、操作性はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打をして分析した。

「S20C」より柔らかい「S15C」を使うためのコンデンス鍛造

左から「ZXi7」「ZXi5」「ZXi4」。モデルによってブレード長、ソール幅が異なる

【ミタさん】
今回紹介するのはスリクソンの新作「ZXi」アイアンです。正式発表前から女子ツアーでは青木瀬令奈櫻井心那、男子ツアーでは稲森佑貴が使っていました。

【シオさん】
最近は特に女子ツアーでスリクソンのアイアンが人気ですね。

【ミタさん】
今季7勝の竹田麗央が「ZX7 MkII」。2年連続年間女王になった山下美夢有が「ZX5 MkII」。特に「ZX5 MkII」を使っている選手は多いです。

【コウタロウ】
たしかに「ZX5 MkII」は良かった。何か一つが秀でているというよりも打感、操作性、飛距離、そしてV字ソールの抜けのバランスが良かった。あのアイアンを打って「これはダメ」という人はいないと思います。ただ、逆を言えばあれを超えるのは相当ハードルが高いと思いますよ。

今作から軟鉄素材が「S15C」に変更となった「ZXi7」アイアン

【ミタさん】
実は、今回「ZXi7」の軟鉄素材が変わっています。前作は「S20C」から、「S15C」になりました。

【シオさん】
軟鉄鍛造アイアンだと「S20C」、「S25C」はよく聞きますけど、「S15C」って珍しいですね。

【ミタさん】
「20」とか「15」とかの数字は炭素の含有量を示しています。「S15C」は炭素が少ないので、アイアンで使用できる軟鉄素材としては一番柔らかい。正直、ギリギリの柔らかさです。

【コウタロウ】
よく、それを採用しましたね。

左が「ZXi7」右が「ZXi5」。トップブレードの厚みは同じでブレード長とグース度合いが異なる

【ミタさん】
今までは耐久面で採用するのが難しいと言われていたのですが、ネック部分を強化するコンデンス鍛造という独自の設計によって、「S15C」のフォージドアイアンが完成しました。

【シオさん】
コンデンス鍛造ってはじめて聞きましたね。

【ミタさん】
軟鉄を凝縮させて強度を高める特殊な製法です。実は「ZXi5」でもバックフェース上部をコンデンス鍛造によって強化しました。フェース中央部分は熱処理によって軟らかくしているのですが、フレームを強化したことでより打感が柔らかくなりつつ、反発性能を高めています。その上で「5シリーズ」も「7シリーズ」もV字型のソールはしっかり継承しています。

シリーズを重ねるごとにスッキリとしたシェイプに変化する「ZXi4」

【シオさん】
「ZXi4」は何が変わったんですか?

【ミタさん】
中空構造の「ZXi4」はネックとトウ側の余剰重量をソール側に配置したことで、前作よりさらに深、低重心化されました。それとアスリートゴルファーにとってありがたいのはライ角を±3度、ロフト角を±1度で調整できるようになったことです。

【コウタロウ】
話を聞くと3機種ともかなり頑張った感じがしますね。

【シオさん】
打感の違いが楽しみです。

3モデルとも打感が違う!全体的にやさしいツアーモデル

「『ZXi7』は相変わらず操作性もイイですね」(コウタロウ)

【シオさん】
まずは一番気になる「S15C」の「ZXi7」を打ちましたけど、たしかに打感はイイ。ただ柔らかいだけではなくて、しっかり芯があって手に心地良い感触が残る

【コウタロウ】
確かに気持ちイイすね。ヘッドスピードの速い人が好きな打感。言葉で表現するのは難しいのですが、超ソフトな打感というよりも、ギュッとボールが食いついてフェースに乗っている時間が長く感じるというか。ミズノやブリヂストンの軟鉄鍛造アイアンともまた違う打感の残り方。いい余韻が残ります。

【ミタさん】
前作よりバックフェース側の肉厚部を大幅に拡大したことで、打ち応えのある打感になったと思います。「ZXi7」は上級者が好むフィーリングの部分を追求していますよね。

【コウタロウ】
そして決して難しいアイアンじゃない。想像していたよりボールが上りやすいので、バリバリのアスリートじゃなくても使えます。

「ZXi7」7番の平均試打データ。アスリートのコウタロウは◎の結果

【ミタさん】
「ZXi5」はどうでしたか?

【コウタロウ】
打ち比べると打感は違う。「ZXi7」に比べると弾き感があります。でも、決して硬いわけではなくて、こっちの打感が好きな人もいると思います。

【シオさん】
私はこっちの方が好きです。いかにも飛びそうな打感。実際にキャリーで3、4ヤードぐらい、いつもより飛んでいました。形状はほとんど変わらないのでコンボセットとしても使えそうですが、ほんの少し「ZXi5」の方がブレード長が長いので安心感がありました。

【コウタロウ】
「ZXi7」もツアーアイアンとしてはやさしめだけど、「ZXi5」はさらに簡単。これは平均スコア90前後のゴルファーでも十分に使えます。ミスヒットに対する寛容性もあります。

「ZXi5」7番の平均試打データ。シオさんは「ZXi7」よりも初速が出たことで理想値に近づいた

【ミタさん】
「ZXi4」はどうでしたか?

【コウタロウ】
これは「ZXi5」「ZXi7」とは明らかに違います。3機種のなかでいちばんやさしいし、ボールスピードが速いので5ヤード以上は前にいきます。スピン量も抑えめでアイアン型ユーティリティの弾道に近い。他の2モデルとは異なる打感ですが、これはこれで悪くない。今までの中空アイアンとは違って打感が大人しいので、嫌な感じはしません。

【シオさん】
インパクトサウンドも控えめですよね。バーンという感じじゃない。「ZXi5」「ZXi7」は打ち出しからどんどん「上」に上がる感覚でしたけど、「ZXi4」は前に前に行こうとするパワーがすごい。

【コウタロウ】
3モデルの違いが明確になった印象です。

「ZXi4」7番の平均試打データ。やはり初速性能は3機種のなかでピカイチ

【ミタさん】
ツアープロが使っている印象が強いスリクソンのアイアンですが、競技ゴルファーしか使えないハードなモデルではありません。「ZXi5」「ZXi4」は、ドライバーのHS40~42m/s前後のゴルファーなら十分に使えますし、「ZXi7」でもHS43m/s前後あれば使えこなせるでしょう。3タイプとも打感に違いはありますが、柔らかいというより打ち応えのある打感が特徴です。

【コウタロウ】
今回の「ZXi7」は売れそうですね。

【シオさん】
私は「ZXi5」も前作同様にロングセラーになると思いますよ。

「『ZXi5』は初速、スピン、操作性や外観などアイアンのバランスがきれいに整っています」(シオさん)

まとめ

「ZXi7」は両者ともに全項目の評価が高い
コウタロウは「ZXi5」のわずかな弾き感が気になってしまった
「ZXi4」は中空モデルだが両者とも打感の評価が高い

■ 試打したクラブのスペック

スリクソン ZXi7アイアン
●番手(7I):32度 ●シャフト:Dynamic Gold120/N.S.プロモーダス105 ●硬さ:共にS

スリクソン ZXi5アイアン
●番手(7I):31度 ●シャフト:N.S.プロモーダス105/N.S.プロ950GH neo ●硬さ:共にS

スリクソン ZXi4アイアン
●番手(7I):28.5度 ●シャフト:ディアマナZXi for IRON ●硬さ:S

■ マイクラブ情報

コウタロウ:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7I(34度) ●シャフト:KBS Cテーパー 125 ●硬さ:S+

シオさん:タイトリスト T300 アイアン<2021年>
●番手(ロフト角):7I(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

ダンロップ
シリーズ最高の打感と操作性
発売日:2024/11/09 参考価格: 145,200円
ダンロップ
飛距離、操作性、寛容性を両立
発売日:2024/11/09 参考価格: 151,800円
ダンロップ
シャープなフォルムにシリーズ最高の飛距離と寛容性
発売日:2024/11/09 参考価格: 143,000円