日本シャフト特集
2022/10/11

清水宏保がこだわり抜いたスケート靴と理想のゴルフクラブ

連載:“こだわりの人”に聞くライフスタイル&仕事術

情熱と好奇心が育んだ強じんな肉体

清水の現役時代はトレーニング面でも変革期にあった。「根性論と科学的トレーニングの狭間じゃないですかね。科学的なものも入り始めたけど、まだまだ自分の感覚で体の状態を感じながらトレーニング量を調整していくような状況でした」

道具とトレーニングにこだわり続けた現役当時を振り返る言葉に熱がこもる(撮影:落合隆仁)

自ら考えたメニューにより酸欠になるまで肉体を限界まで追い込む一方で、最新のトレーニング理論や情報も取り入れていく。「海外の自転車選手を参考にして、『ツール・ド・フランス』の選手たちが使っていたトレーニング用の自転車のギアを取り寄せていました。コンピュータが内蔵されていて、負荷や回転数のデータを自転車選手のデータと比較したり。男の子って、そういう道具が好きじゃないですか」。根性論にはスピードスケートへの情熱で向き合い、科学的トレーニングには純粋な好奇心で対応した。

地元・北海道で実業家に転身し、引退から十数年経った今でも、現役時代に鍛え上げた肉体はTシャツ姿でも分かるほど筋骨隆々。「昨年、腰の手術をして1年間安静と言われたので、運動もできなくて太っちゃったんですよ」と苦笑いするが、とてもそうは感じられない。アスリートとして頂点を極めた男だけに基準が全く違うのだろう。最近はウエートトレーニングなどを徐々に始めており、引退後にはまったというゴルフの再開を楽しみにしている。

ゴルフへの熱意とこだわり

ゴルフでもやはり道具にはこだわっており、キャディバッグの中にはしっかりとフィッティングを受けて選んだクラブが並ぶ。「アイアンのシャフトはいろんなものを打って、方向性が良かったものを選びました。重さや剛性が自分に合っているんだと思います。しなりを使うという意味では、スケートのブレードとゴルフのシャフトは似ているところがありますね。シャフトのしなりはスケートほど敏感には感じられないですけど(笑)」

アイアンのシャフトは日本シャフト製を使用(撮影:落合隆仁)

手術の前には、今のクラブでベストスコアを更新。全体的に飛距離よりも安定性を重視したセッティングをスコアにつなげたが、ドライバーにはやや物足りなさを感じている。

「確かに安定はするけど、周りの人よりは飛ばないんです。スキージャンプの葛西紀明さんや北海道日本ハムのプロ野球選手など、一緒にプレーする機会があるアスリート仲間はみんな飛ばし屋。300ydを1オンなんて見せられると、普段は安定性が大事と思っていても力みますよね。アスリートとして、飛距離では負けたくないみたいなところがありますから」

身体能力は抜群なだけに、思い切って振ればヘッドスピードは出せる。芯を食えば、そしてまっすぐ飛べば、飛距離が出ないはずはない。あとは、きっと清水にとっての“当たり”との出会いだけ。現役時代と同様の強いこだわりで道具を探し続ければ、その日も決して遠くはないはずだ。

ゴルフを再開できる日を心待ちにする(撮影:落合隆仁)

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