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日本シャフト特集
2025/01/23

世界が注目するゴルフの祭典「PGA SHOW」デモデーで見た、さすがアメリカン、さすがジャパン

連載:世界で輝く日本が誇るシャフトメーカーの記事
2025年 日本シャフト特集 世界のゴルフ関係者が注目するPGA SHOW。DEMO DAYは、あいにくの天候にもかかわらず熱気があふれていた
世界のゴルフ関係者が注目するPGA SHOW。DEMO DAYは、あいにくの天候にもかかわらず熱気があふれていた

1954年に始まり、半世紀以上の歴史を誇るゴルフ業界最大級のイベント「PGA SHOW」が21日、米フロリダ州オーランドで開幕した。毎年1月、クラブやシャフト、練習器具のメーカーなど約1000社が世界中から集まり、新しい技術や新製品を披露する見本市。それらの一部をいち早く体験できる「DEMO DAY(デモデー)」でひときわ注目を集めていたのが、メイド・イン・ジャパンだった。

会場はオレンジカウンティナショナルゴルフセンター&ロッジの敷地内にある屋外の円形ドライビングレンジ。全米最大級のゴルフ練習場だそう。直径520ヤード(約475m)で円周は約1500m、360度全方位からボールを打つことができる圧巻のスケールだ。さすが、アメリカン。

その円を囲んでゴルフメーカーのブースがずらりと並ぶ。年間を通して温暖なフロリダは例年なら20度を超えるが、この日はあいにくの雨。気温10度を下回り、肌寒い冬の一日に。それでも、まだ世に出ていない製品にホットな視線が注がれていた。まさに業界関係者にとって「未来のプレビュー」だった。

15周年を迎えたN.S.PRO MODUS3シリーズの最新モデルを発表

2025年 日本シャフト特集 悪天候にもかかわらず、日本シャフトのブースは終始多くの人々で賑わっていた。試打フィッティングを通じて、製品の優れた性能を実感したゴルファーや関係者たちは、満足そうな表情を浮かべていた
悪天候にもかかわらず、日本シャフトのブースは終始多くの人々で賑わっていた。試打フィッティングを通じて、製品の優れた性能を実感したゴルファーや関係者たちは、満足そうな表情を浮かべていた

自社製品のコンセプトに合わせて装飾されたクルマの数々、葉巻やお酒のテントもある。日本のメーカーのブースは規模も大きく、出展者の説明にも熱が入る。1周歩くだけで15分ほどかかるだろうか。寒さのせいもあって思わず足早になるが、そんななか、多くの来場者が足をとめていたのが、「日本シャフト」のブースだ。さすが、ジャパン。

2025年 日本シャフト特集 「N.S.PRO MODUS3 TOUR110/120/130」の「0(ゼロ)」シリーズが勢揃い。新作の「TOUR110」は、速さ、強さ、操作性の最適なバランスが特長だ
「N.S.PRO MODUS3 TOUR110/120/130」の「0(ゼロ)」シリーズが勢揃い。新作の「TOUR110」は、速さ、強さ、操作性の最適なバランスが特長だ

2024年にブランド誕生15周年を迎えたN.S.PRO MODUS3シリーズ。この日は最新モデル「N.S.PRO MODUS3 TOUR110」が発表された。「TOUR130」や「TOUR120」に続く「0」シリーズで、プロゴルファーや業界関係者から大きな注目を集めている新製品だ。

ブースには試打用クラブが用意され、業界関係者が新シャフトの感触を確かめるようにボールを打ち続けていた。熱心に説明を受ける人もいた。その中心で、日本シャフトの2人の担当者が、来場者一人ひとりに丁寧に製品の魅力を伝えていた。

2025年 日本シャフト特集 ヒロ福田(左)と赤根将之。日々情熱を注ぎながら日本シャフトの米国市場を支える
ヒロ福田(左)と赤根将之。日々情熱を注ぎながら日本シャフトの米国市場を支える

ヒロ福田は1997年から米国で営業・マーケティング活動に従事し、長年にわたって日本シャフトの米国市場を支え続けてきた。赤根将之は2004年に入社し、2014年から米国で“日米の架け橋”として主にツアーサポートに専念している。日本シャフトにとってPGA SHOWとはどんな意味や価値があるのか、2人に尋ねてみた。

ゴルフ業界の未来を切り拓く。アメリカ市場へのアプローチとその戦略

2025年 日本シャフト特集 長年にわたり日本シャフトの米国市場を支え続けているヒロ。この日も、訪れた関係者や試打フィッティングを終えたプロ選手の声に真摯に耳を傾けていた
長年にわたり日本シャフトの米国市場を支え続けているヒロ。この日も、訪れた関係者や試打フィッティングを終えたプロ選手の声に真摯に耳を傾けていた

PGA SHOWには「記憶にある限りでは1992年以降、30年以上欠かさず参加しています」とヒロはいう。すでに軽量スチールシャフトで有名だった日本シャフトが、カーボンシャフトの製造を開始したのが1990年だから、その直後に当たる。「日本のメーカーがこれほど長期間にわたって米国の展示会に出展し続けるのは、非常に珍しいことかもしれません」

それだけゴルフビジネスにおいて「アメリカ市場」は欠かせない存在であり、「OEMのテストをはじめ、多くの関係者やプロゴルファーから寄せられるフィードバックが、私たちの商品開発にとって大きな手がかりとなっています」。

2025年 日本シャフト特集 赤根は米国でSNSを活用したマーケティングを開始し、主にインスタグラムやFacebookを通じて同社の最新情報を発信している
赤根は米国でSNSを活用したマーケティングを開始し、主にインスタグラムやFacebookを通じて同社の最新情報を発信している

赤根は現在の市場について「米国では日本製品が人気ですが、必ずしも認知度が十分とは言えません」という。「一方で、日本のゴルファーはPGAツアーを観戦し、選手が使用しているクラブやシャフトに注目しています。そのため、海外で使用するプロゴルファーを増やすことは、日米両方にとってメリットがあります」と、出展の意義を語る。

もっとも同社の米国での戦略はPGA SHOWでの展開だけにとどまっているわけではない。「たとえば、日本で活発に行っている試打フィッティング会を、米国でも積極的に実施しています。昨年7月にはシカゴで、契約プロのカリー・ウェブを招いたイベントを開催しました。特にジュニア世代を含む多くのアマチュアゴルファーに、ぜひ一度体験していただきたいと考えています」

気になる新作「N.S.PRO MODUS3 TOUR110」の特長は?

2025年 日本シャフト特集 「TOUR130」、「TOUR120」に続く「0」シリーズの系譜を受け継ぐ「N.S.PRO MODUS3 TOUR110」。今までのモデルの優れた特長を余すところなく詰め込んだ自信作だ
「TOUR130」、「TOUR120」に続く「0」シリーズの系譜を受け継ぐ「N.S.PRO MODUS3 TOUR110」。今までのモデルの優れた特長を余すところなく詰め込んだ自信作だ

肝心の新作「N.S.PRO MODUS3 TOUR110」についても話を聞いた。ヒロによれば「開発のポイントは、『0』シリーズに共通するテーマである『今までにないシャフト』」だという。

「今回の『今までにない』は、軽量でありながら低スピンで力強い弾道が打てるという点にあります。本モデルは低スピン性能が特長。『スピン量が減る』と聞くと難しいと感じる方もいるかもしれませんが、実際には『減る』というよりも『必要以上に増えない』という表現が適切です。とにかく球の安定感を求めるゴルファーに最適なシャフトです」

赤根の説明によると、日本シャフトのスチールシャフトの中でも、米国で最も売れているシャフトが「N.S.PRO MODUS3 TOUR105」だそう。「米国のゴルファーは手足が長く、それに伴いシャフトも長くする傾向があります。そのため、軽量モデルのほうがクラブバランスが出しやすいんです。この場合、『重さ×長さ』が重要なポイント。そうした背景を踏まえても新作のTOUR110は、セミ軽量モデルで扱いやすい設計となっています」と解説する。

では、どんなゴルファー向きか。「特にスピン量が多くて球が吹け上がりすぎるゴルファーや、曲がり幅の大きさに悩むゴルファーに理想的なモデルです」。シリーズ6代目への期待は大きい。

日本シャフトが描くゴルフ界の未来と挑戦

2025年 日本シャフト特集 新作「N.S.PRO MODUS3 TOUR110」。試打を行ったゴルファーや関係者の第一印象は、いずれも高い評価だった
新作「N.S.PRO MODUS3 TOUR110」。試打を行ったゴルファーや関係者の第一印象は、いずれも高い評価だった

昨年15周年を迎えたN.S.PRO MODUS3シリーズ。今年、新たな挑戦として世に送り出す「TOUR110」は日本シャフトの未来を象徴するモデルで、日本では3月に発売予定だ。

ヒロは最後にこう語った。

「“当たり前”を変えたい。日本シャフトは素晴らしい商品をつくっています。テストをしたら、必ず日本シャフトを選ぶ-それが私の夢です。アメリカでは若い頃から重たいシャフトを使う習慣が根付いており、軽量シャフトはまだ認知されていません。日本と比べると、知名度はまだまだ低い。しかし、ジュニア世代から軽量シャフトの存在を知り、選択肢の一つとして考えてもらえるよう努力していきたいと思っています」

この日の悪天候を吹き飛ばすような熱さが2人から伝わってきた。それは日本シャフトの力強さと情熱でもある。さすがジャパン。16年目を迎えたMODUSシリーズが、これからのゴルフ界を新たなステージへと導く。(敬称略)

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