エストリックス バルマー
打ってみると?
まずはSから試打。ワッグルすると中間部分がクニャッと少し大きめにしなる。手に伝わる硬さは、SというよりはSRに近い。実際に打ってみても、硬く感じない。トップからダウンの切り返しで中間部分のしなりが大きい。典型的な中調子のシャフトで、シャフト全体が綺麗な曲線を描きながら滑らかにしなる。
シャフトの挙動は非常にオーソドックスで癖が無い。癖の無さ加減が徹底しているのが実に心地良い。「癖が無い=個性が無い」と勘違いされそうだが、このバルマーVXシリーズの場合は「癖が無いのが個性」になっている。中間部分がしなるので弾き感は乏しいが、シャフト全体が滑らかにしなるので、心地良く良く振り抜ける。
そして、挙動に適度に遊びがある。スイングが多少乱れてもクラブの軌道が乱れにくい。初中級者にとってはタイミングが取りやすく、中上級者にとってはシャフトが過剰に反応しない分だけ左右のミスを減らせるだろう。インパクトゾーンで鋭い加速感を味わえないが、安定感を求めるゴルファーには期待に大いに応えてくれるシャフトだ。
ツアーバージョンのXXに持ちかえると、挙動が少し変わる。シャフト全体がオーソドックスにしなるのは変わらないが、こちらはシャフト全体が硬い分だけシャフトのしなりが少ない。しなりが少ないからしっかり叩ける。パワーがある人が使えば、叩ける分だけ飛距離アップを狙える。それでいて、トップからダウンでは中間部分がしなるので‥‥XXの割りにはタイミングが取りやすい。ヘッドスピードが47m/s出れば十分使いこなせるだろう。
Sシャフトで弾道計測してみると、中弾道でスピンは多過ぎず、少な過ぎず。ボール初速は出るタイプではないが、方向安定性に優れている。サイドスピンが少ない球が打ちやすいシャフトだ。XXはシャフトをしっかりしなせることができると、ボール初速が上がって飛距離を稼げた。このバルマーVXシリーズはシャフト全体のしなりを使ってボールを打っていける。基本的には方向安定性が良いシャフトであるが、パワーがある人がXX使えば、自分のパワーを出し切れ、飛距離アップも狙っていけるシャフトである。
適正ヘッドスピードは
R42~46m/s
S47~51m/s