“プロ”の挑戦をサポートし続けるテーラーメイドと石坂友宏の関係性
若手の躍進が続く国内男子ツアーにあり、初優勝が期待されるプレーヤーの一人が、テーラーメイドとクラブ契約をしている石坂友宏だ。まだプロとしては無名の存在だった2020年11月の「ダンロップフェニックス」ではプレーオフで敗れたものの2位と大健闘。ここから一気にシード選手へと飛躍を遂げた。
石坂が持つクラブに対する考え方、さらにはサポートをしてくれるツアーレップとの関係など、トーナメント観戦だけでは見えてこないツアープロの舞台裏に迫る。
“ダメ元”での紹介からクラブ提供が始まる
神奈川県横須賀市出身の石坂は、中学時代に「関東ジュニア」、「関東中学校ゴルフ選手権春季大会」で優勝するなど、同世代の中では早々に頭角を現した。ゴルフに集中できる環境を整えるため、通信制の日本ウェルネス高校へ進学。「プロを目指す」と決めた高校1年の頃から、その挑戦のサポートをテーラーメイドが行っている。
「同級生の女子選手と話している中で、テーラーメイドの担当の方を紹介してもらいました。誰にでもクラブを提供するメーカーでないことは分かっていたのですが、“ダメ元”で担当者の方に相談したら、ドライバーを含めてウッド3本を快く提供してもらえることになりました」
ジュニアやアマチュアのトップ選手にとって、同社のクラブ提供を受けられるのは一種のステータスになっていたのだろう。当時の喜びを思い出したように石坂は笑顔でこう打ち明けた。
クラブ提供を受けてから、着々と夢への歩を進める。18年に「関東アマ」を制覇し、19年には「日本アマチュア選手権」で4位入賞。続けて「日本オープン」ではローアマチュアに輝き、同年の日本ツアー予選会に挑戦し、最終QTへの進出とともにプロ転向を決めた。
こだわりは「前のモデルにこだわらない」こと
使用するテーラーメイドのクラブについて、石坂はこう語る。
「最初に使用したのは『M1』。そこから毎年、最新のフラッグシップモデルを使用してきました。現在は『ステルス2 プラス』を愛用しています」
特に気に入っていたという『SIMグローレ』(2020年)を使用していた時だけ、新しいモデルが出ても使い続けようかと考えたそうだ。しかし、最新テクノロジーのカーボンフェースを採用した「ステルス プラス」(2022年)、「ステルス2 プラス」(2023年)へと移行することを決めたのは、意外にも「実はあまりこだわりを持っていないから」だと話す。
ツアーで活躍するトッププロがクラブにこだわらないはずはない。ここで石坂のことをよく理解するテーラーメイドのツアーレップである高田智之(敬称略、以下同)に聞く。
「彼が新しいモデルに比較的早くスイッチするのは確かです。『こだわらない』というより、『気に入っていた前のクラブにこだわらない』という意味でしょう。新しいものはより良いテクノロジーが搭載されているという感覚があるのだと思います」