コブラ RADSPEED ドライバーを筒康博が試打「フェース位置に違和感」
コブラ「キング RADSPEED ドライバー」の評価は!?
2020年に発売されたコブラ「キング SPEEDZONE ドライバー」に続き、新たな初速スピード性能を搭載した「キング RADSPEED ドライバー」。ソール前後にあるウエイトの距離を戦略的に配置することで、低スピン化を実現し、強い弾きと初速を生む。そんな注目モデルをヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?
「フィーリングで選べるアメリカンなモデル」
―率直な印象は?
「見た目も性能も、日本人向けというよりは、少し大味なアメリカンなモデルというのが率直な感想です。特に気になるのは、アドレス時に上から見た時の印象。マットなクラウンの仕上げに対し、キラキラと艶のあるフェース面の加工があまりにも違いすぎて、フェースが視認しにくく感じました」
―フェースが視認しにくいとは?
「ヘッド全体としてのつながりよりも、クラウンとフェースのそれぞれが主張し過ぎていて、スイング中に感じるフェース面の位置が把握しにくいことです。パーツの境目がハッキリと目に入ることで、実際は数ミリ前のフェース面を意識するべきなのに、その境目を意識して振ってしまう。視覚と感覚のズレによって、違和感を覚えてしまいます」
―前作「SPEEDZONE」と比べてどう?
「同社はこれまでも純正シャフトが結構しっかりしていて、フレックスの表示より硬さがあり、総重量も重め。強振強打の人向けのドライバーという部分は、前作からそのまま引き継いでいます。また打点のミスに強いことも大きな特徴のひとつですが、いま出ている他社モデルと比べると、突出しているとは言い切れない部分があります。特徴的と思っていた要素が、時代とともにそれほど大きく感じられなくなったと思います」
―戦略的に配置されたウエイトの効果は感じる?
「新しく搭載されたテクノロジーの効果は、正直それほど明確に感じられませんでした。同社はそもそも、デザインを含む世界観を重視するブランド。ウエイトがどんな性能かよりも、見た目や性能の個性で興味を引くモデルに仕上げてあるのだと思います。そこがコブラの持つユニークさであり、デザインや構えた時の印象、振った時のフィーリングで選ぶべきモデルになっている理由だと思うのです」
―兄弟モデル「XB」「XD」と比べてどう?
「『XB』『XD』のクラウンは、『RADSPEED(スタンダード)』と違い、艶があるのでフェースとの違和感はありません。ヘッド全体として、ひとつのシルエットで把握できるため、圧倒的に構えやすいです。中でもボールが上がりやすく、つかまりやすいのは『XD』。『XB』は中間の寛容性。それぞれのモデルの投影面積が、そのまま寛容性の高さになっているシンプルな構成です」
―どのような人向き?
「ゴルフを始めたばかりで、以前は他のスポーツを本格的に経験してきたHSが速い人向き。(フェース位置の)違和感については、いろいろクラブを見てきた私が先入観を持ってしまっただけで、ドライバーを初めて購入する人にとっては、全く違和感はないかもしれません。そういう意味では、3機種の選び方は、特性が見た目そのものなので、クラウンの写真の印象だけで選んでも失敗せず、あえて試打を行わなくても問題なし。まさに初心者向けのドライバーと言えるかもしれません。ただし、パワーは必要と付け加えておきます」
3点が並ぶシビアな点数【総合評価3.2点】
【飛距離】4.0
【打 感】3.0
【寛容性】3.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】3.0
・ロフト角:10.5度
・シャフト:スピーダー エボリューション for RADSPEED(硬さS)
・使用ボール:リトル・グリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトル・グリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。