クラブ試打 三者三様

ミズノ ST-X ドライバーを筒康博が試打「シャフトとの相性△」

2021/04/15 05:00

ミズノ「ST-X ドライバー」の評価は!?

昨年登場したミズノ「ST200」シリーズに続き、新たにラインアップに加わった「ST-X ドライバー」「ST-Z ドライバー」。中でも、原英莉花西郷真央らが投入した「ST-X」はつかまりの良い構造で、アベレージゴルファーの強い味方となり得るモデルだ。そんな注目モデルをヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?

「カーボン複合構造の進化が味わえる」

方向はやや右に出ているものの低弾道の強い球が出ていた

―率直な印象は?
「これほどカーボンを取り入れたSTシリーズは初めてだと思いますが、カーボン素材のメリットである軽さを取り入れつつ、チタンボディのフィーリングがしっかり伝わります。カーボンのデメリットと考えられていた、こもる打音や鈍く感じてしまう打感を、全く感じさせないドライバーに仕上がっています」

カーボンパーツをXはトウのみ、Zはトウ・ヒール両方に配置

―ヘッドはどのような特性?
「かなり浅重心です。クラウン後方にカーボンを使い、後方の重量を減らすことで、重心深度を浅く、重心距離を短くしているように感じます。深低重心で高慣性モーメントというイマドキの流れに逆行したモデル。アイアンのようなコンパクトな切れ味を、大きいサイズ感で実現したドライバーという印象です」

カーボンクラウンにより軽量化することで低重心化を実現

―気になる部分は?
「操作性の高いヘッドと、純正シャフト『M FUSION D』との組み合わせです。『M FUSION D』はクセがなく、素直に全体が大きく動くため、どちらかと言えば高慣性モーメントヘッドに合う。実は今回比較した『ST-Z』の純正シャフト『ツアーAD GM-200 D』のほうが、動きは少量で操作性に富んでいるため、『ST-X』のヘッドに合うように思います」

たわみ量を増大させて初速アップを図った「WAVEテクノロジーソール」

―「ST200」「ST200X」と比べてどう?
「『ST-X』『ST-Z』、そして1年前に発売された『ST200』『ST200X』は、どちらも似たもの同士の2組。よく見ればウエイトの位置や見た目も違うのですが、パッと見た印象ではほとんど差が分かりません。形も特性も似ていて、打った結果も似ている。明確な差がないことがメリットでもあり、どちらを選んでいいかで迷ってしまうデメリットにもなる。だからこそ、シャフトとの組み合わせで、大きく評価が分かれてしまうわけです」

上「20 MFUSION D」下「ツアーAD GM-200 D」特性の異なる純正シャフト

―フィッティングの要素を感じますね?
「そうですね。メーカーとしてのコンセプトだと思いますが、フィッティングブランドという強みを生かした商品展開の表れだと言えます。ただ、他社は純正シャフトとの組み合わせを向上させる流れに着手しています。特にカーボンの占有率が高まる一方で、ヘッド単体ではなく、クラブとしての完成度を高める流れが一気に加速している印象。あえてカスタマイズの方向に進んでいるとは思いますが、世界から取り残されてしまう心配をしてしまうのは、私だけではない気がします」

「XもZもどちらも浅重心で重心角は小さめ」と筒

―どのような人向き?
「同社のアイアンを現在使用している、または同社のアイアンでゴルフを始めた人向き。『JPX』や『MP』といった同社製アイアンを使っている流れで、ドライバーも同じメーカーを使ってみたいと思っているゴルファー。アイアンショットの切れ味を、そのままドライバーでも体感したい同社ファンに、ぜひ使ってもらいたいモデルです」

3点台が並ぶ結果に…【総合評価3.3点】

【飛距離】4.0
【打 感】3.5
【寛容性】3.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】3.0

・ロフト角:10.5度
・シャフト:20 MFUSION D(硬さS)
・使用ボール:リトル・グリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトル・グリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。

ミズノ
発売日:2021/03/12 参考価格: 71,500円
ミズノ
発売日:2021/03/12 参考価格: 71,500円