クラブ試打 三者三様

i59 アイアンを筒康博が試打「スピン量がやや少なめ」

2021/09/16 05:00

ピン「i59 アイアン」の評価は!?

打感、操作性、美しさを兼ね備えた新構造ブレードとして登場したピン「i59 アイアン」。軟鉄鍛造ヘッドの内部に、アルミ材を配した構造「アルミ・コア・インサート」を採用することで、心地良い打感と打音を生み出すという。そんな同社の新技術を結集した自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?

「格好良いのに結果が出せるアイアン」

微小ながらドローとフェードの打ち分けもできていた

―率直な印象は?
「打ちやすさと思い通りの結果を出せる点では、極めてアイアンらしいアイアンと言えます。プレーヤーが打点のミスを把握でき、ロフト角を立てたり寝かせたりといった意図通りの弾道が打てる。自分のやりたいことを、ちゃんと結果として表現できるモデルだと思います」

究極の重量周辺配分設計によりミスヒットに対する強さを発揮

―ちゃんと表現できる要素とは?
「同社がこれまで作り出した過去モデルの性能を、しっかり踏襲しているからだと感じます。格好良さは『ブループリント アイアン』に近づけつつ、『i210 アイアン』に代表されるiシリーズで培った安定感をしっかり引き継いでいます。これほどコンパクトでシャープな形状にもかかわらず、しっかり打点ブレに対して、強さを発揮してくれる。さすが“ブレにくさ”を追求してきた、同社ならではのモデルだと思いました」

試打した3本はすべて同じロフト角(7I・34度)

―前作「i BLADE アイアン」と比べてどう?
「どちらかと言えば、『i BLADE』よりも『ブループリント』に近い印象を受けました。特に打感や打音は、『ブループリント』の中身の詰まったフィーリングに似ています。複合素材のヘッドでありがちな軽い打感や嫌な振動は一切なく、完全に一体型フォージドの感覚。結果だけを見れば、まるで『G425 MAX ドライバー』のような寛容性の高さを感じるものの、フィーリングはフォージドアイアンそのものなので、とても好印象を受けました」

安定感や直進性とは無縁と思えるようなシャープな顔つきだが…

―今秋発売の他社モデルとの違いは?
ことしの秋アイアンは粒ぞろいで、選ぶのに相当悩む人が多いでしょう。見た目が格好良く、直進性があり、ボールを高く上げられて飛ばせるモデルばかり。1年前にタイトリスト『T100 アイアン』を試打して、あまりにも良かったので購入しましたが、また買い替えたくなるほどの高水準(笑)。気になるメーカーから入っても良し、見た目の好みで入っても良し。とにかく腕前を気にせず、試打をして比べてみるべきだなと感じました」

他社の類似モデルと比べてややフェース開閉のしにくさを指摘

―マイクラブと比べてどう?
「そうですねー…。正直『T100』と比べると、気になる点がふたつあります。ひとつは、アイアン型ユーティリティ的な甲高い打音。この高音がコースで耳障りにならないかが心配です。もうひとつは、バックスピン量がやや少ない点。微小な数値ですが、もう200~300回転プラスで欲しいところ。番手の狭間で悩むような場面で、距離感とのイメージに合わせられるかが気になります」

「いまの時代 アスリートorアベレージと明確に分類しちゃいけないのかも」と筒

―どのような人向き?
「格好良いアイアンを使ってみたいゴルファー向き。これまでのクラブに対する固定観念“格好良い=難しい”とすり込まれている人に、とにかく試して打ってもらいたい。ビジュアルから入っても問題なく失敗しないので、ぜひ手に取ってほしい。もはや外見と中身の性能は別もので、実際に打って判断しないといけない時代になったのかもしれません」

平均点高し!4項目で4.5点【総合評価4.4点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:34度(7I)
・シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー115(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。

ピン
ブレードの顔して、新構造。
発売日:2021/09/09 参考価格: 231,000円