クラブ試打 三者三様

テーラーメイド MG3 ウェッジを筒康博が試打「ヒールの存在感が強い」

2021/11/11 05:00

テーラーメイド「MG3 ウェッジ」の評価は!?

ダスティン・ジョンソンロリー・マキロイコリン・モリカワらが使用するテーラーメイド「ミルドグラインド(MG)」シリーズ。最新版「ミルドグラインド 3 ウェッジ(以下MG3)」は、「アジアアマ」を制した中島啓太(日体大)が「パナソニックオープン」直前に差し替え、アマチュア優勝を果たしたことで話題となった。そんな実力者がこぞって愛用するウェッジを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は?

「好き嫌いがはっきり分かれる形状」

弾道の結果はイメージ通りで それほど悪い部分はなかったが…

―率直な印象は?
「ここ最近、トウ側の高い=ヒール側の低いモデルが主流となっています。同社『ハイ・トウ ロウ ウェッジ』もそうですが、トウの高いモデルが多い中で、この『MG3』はあえて逆行している造り。“ハイヒール”と言ってよいほど、ヒール側の高さを強調した形状となっています」

ツアーモデルらしい精悍な顔立ち ややヒール側が高めに見える

―ヒールの高さを強調した造り…?
「はい。アドレスした際に上から見ると、フェースのヒール側の存在感がすごく強く感じます。懐(ふところ)と呼ばれる部分が、すごく高く見えることで、ボールをどこにセットすればいいのか迷ってしまう人が多いような気がしました。正直、好き嫌いが分かれる部分と言えます」

一本一本に精密なソールグラインドが施された「ミルドグラインドソール」

―ハイヒールにした意図は?
「同社が、並行モデル『ハイ・トウ ロウ ウェッジ』と明確にすみ分けしたかったのだと思います。私はヒール側の低い=いわゆる洋顔のシルエットに慣れているせいか、構えにくく感じてしまいましたが、フェースの開閉を抑えたり、トウ側でボールを操作したい人には向いているのかもしれません。どちらにしても、多くの他モデルとは異質で特別枠と言えます。つながりで言っても、アイアンの『P』シリーズとも異なり、ウェッジのみに特化した独特の形状に仕上がっています」

バックフェースのデザインはシンプルに 「MG3」ロゴはヒール側に移動

―前作「ミルドグラインド 2 ウェッジ(以下MG2)」と比べてどう?
「オーソドックスな形状の『MG2』のほうが、構えやすく感じます。また『MG2』と比べて、フェースプログレッション(FP値:シャフトからフェース下部の刃までの距離)が小さく、フェースの向きが把握しにくい。元々ウェッジは、リーディングエッジ(フェース下部の刃)が丸くできているためターゲットに合わせにくいのですが、それ以上に困難に感じてしまいました」

フェースに搭載されたバー状の突起「レイズドマイクロリブ」

―スピン性能は?
「スピンはよく効いていると思います。『MG2』と同じノンメッキで、イメージ以上にスピン量は多く、ソールの抜けも良い。思い通りにスピンコントロールができる感覚を味わえます。他社モデルで言うと、キャロウェイ『JAWS ウェッジ』に匹敵する性能の高さ。大手メーカーでスピンがかかる代表格といえば、この2モデルと言えるのではないでしょうか」

「構えにくさは否めないが スピン性能とソールの抜けは文句なし」と筒

―どのような人向き?
「基本的にフェースを開かないで使う人。また、ハンドファースト気味に構えて、ボールをトウ側に置く人向きと言えます。ハンドファーストに構える人は、リーディングエッジが地面に着くケースが多い分、ヒール側が低いと、どうしてもソールが邪魔になる。ヒール側が高く、しかもソールの抜けがいい『MG3』であれば、入射角が鋭くてダフリのミスの多い人こそ、恩恵を受けやすい気がします」

構えやすさ3点△ 抜け感5点◎【総合評価4.2点】

【スピン性能】4.5
【打 感】4.0
【抜け感】5.0
【バンカー対応力】4.5
【構えやすさ】3.0

・ロフト角:52度、56度(どちらもSB=スタンダードバウンス)
・シャフト:ダイナミックゴールド 120(硬さS200)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

テーラーメイド
発売日:2021/09/04 参考価格: 25,300円