ヨネックス EZONE パターを西川みさとが試打「評価が分かれるパター」
ヨネックス「EZONE パター」の評価は!?
福岡大学・清永明名誉教授との共同開発にて、2013年に誕生したヨネックス「トライプリンシプル パター」。“1mのパットが90%以上の確率で入る”という、短い距離の強さに特化したモデルは、「EZONE」シリーズへと受け継がれ、進化を果たしている。今回は「EZONE TP-S600 パター」「EZONE TP-GR2 パター」、同シリーズのブレード型「EZONE P-01 パター」を有識者3人が採点。まずは女子プロゴルファーの西川みさとが試打評価を行った。
「長さが気になりイメージが湧かない」
―率直な印象は?
「んー、そうですねー…。とても個性的で評価をつけるのが難しいパターです。私の場合、ポンッと地面に置いたときの印象から、クラブの長さ(※試打クラブは36インチ)に違和感を覚え、スムーズにボールをヒットしていくイメージが湧かなかった、というのが正直な感想です」
―長さが合わなかった?
「…はい。36インチの長めの設定で、しかもやや小さめの68度のライ角(※一般的には70~72度)を考えると、ヘッドから少し離れ、棒立ち気味に構えたほうが的確に構えられるコンセプトに感じました。私は一般的なモデルに慣れてしまっているせいか、ボールが目線の真下に位置しない点で、どうしても構えにくく感じてしまいました」
―同シリーズのドライバーは高評価でしたが?
「『EZONE GT ドライバー』は、2022年上半期で一番点数が高い結果となりましたが、パターは正直、合わなかったという結果に…。ですが、これくらい他社と違う性能で、個性が明確のほうが面白いし、選びやすい。たまたま私には合わなかっただけです」
―フェースに入った“タテ溝”の効果は?
「縦研磨でミーリング加工されたフェースというと、ドライバーも同じ加工がされていましたが、パターはそれほどの直進性を感じることができませんでした。4~5mの短い距離のため、明確に感じなかっただけかもしれません。ただ、問題はボールの転がり自体ではなく、構えた際の違和感。やはりアドレス時に気になってしまった分、ボールの転がりまで把握できなかったというのが本音です」
―気に入ったモデルは?
「長さ34インチのブレード型『P-01』は、イメージ通り構えられ、タッチも合い、フィーリングも良かったです。特に純正シャフト『REXISスチールコアシャフト』の感触が秀逸で、手元側の黒い部分が硬め、先端の白カラーの部分がやわらかい印象で、その硬軟の差によってインパクトの瞬間に、程よくポーンッと弾く感触が味わえます。心地のいいフィーリングが残りつつ、ボールも思い通りに転がせるので、選ぶなら『P-01』かなと思いました」
―どのような人向き?
「『TP-S600』『TP-GR2』に関しては、ものすごく合う人もいれば、ものすごく合わない人もいる。とにかく評価が分かれるパターだと思いました。一方、『P-01』は好みを選ばない普遍的モデル。同じシリーズ内で、これほどまでに性格の違いを感じられるの?と驚かされるほど、ターゲット層の幅広さを感じます。興味のある方は、ぜひ実際に打って試してほしい。情報や他者の意見だけで判断するのはもったいないほど、個性派ぞろいのラインアップだと思います」
イメージが湧かず評価は辛め…【総合評価3.4点】
【転がり】3.0
【打 感】3.5
【寛容性】4.0
【操作性】3.5
【構えやすさ】3.0
・TP-S600 /ロフト角:3度 ライ角:68度 長さ:36インチ
・TP-GR2 /ロフト角:3度 ライ角:68度 長さ:36インチ
・P-01 /ロフト角:4度 ライ角:72度 長さ:34インチ
・使用ボール:ブリヂストン ツアーB X
取材協力/トラックマンジャパン株式会社
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。