クラブ試打 三者三様

ツアーAD CQを筒康博が試打「誰もが打てる『ツアーAD』」

2023/04/13 07:00

「ツアーAD」では珍しい先調子系 HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

ツアーでの高いシェア率を誇るグラファイトデザイン「ツアーAD」シリーズから、最新モデル「ツアーAD CQ」をピックアップ。ウッド系シャフトでは珍しい先中調子で、近年発売のドライバーに多い低スピン設計のヘッドに、高弾道とつかまりをプラスする性能に仕上がっているという。そんなトレンドを押さえた“イマドキ先調子系”を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「大型ヘッドならメーカーを問わない! 飛距離ちょい足し効果」

いろいろな弾道を試していたようだが 全体的に適度な高さでつかまっている様子

―率直な印象は?
「これまでの『ツアーAD』の特性とは異なり、振り心地の軽快さが全面に出た印象を受けます。体積460ccの大型ヘッドに合わせ、手元も先端側も剛性を高めているのですが、全体的には滑らかにしなやかに動く印象。切り返しのタイミングによっては粘ると感じる人もいれば、インパクトゾーンで走ると感じる人もいる。プレーヤーに応じて異なる特性を出せる、幅の広がりを感じられるモデルに仕上がっています」

同社が『飛びの次世代モデル』とうたう先調子系シャフト

―同シリーズでは珍しい先調子系ですが?
「実は先調子といっても、両側から圧力をかけた計測で、一番盛り上がりを見せる部分が数cm先端側というだけであり、先端がグッと大きく暴れるわけではありません。ダウンスイングからインパクトにかけ、確かに先中部分のしなりは感じますが、安定感を欠いているわけではなく、芯はしっかりしているけれど、スピードアップ効果が得られる特性。HSの数値を自然な形で上げ、適度な弾道の高さとボールのつかまり具合を得るために、少しだけ手助けしてくれるシャフトです」

40~70g台のラインアップ。60、70g台にはTXフレックスが追加された

―同シリーズの中でどういう立ち位置?
「『ツアーAD』は、基本的に手元と先端側がしっかりしていて、中間から手元側にかけてしなるモデルが多かったのですが、この『CQ』は先端にいくにかけて徐々にスーッと剛性が落ちていく感覚。すごく滑らかな挙動で、走り感が物足りないわけではなく、振り心地としてすごくHSが上がる気にさせてくれる。もともと私が中元部がしっかりしていて、切り返し以降で先が走るタイプが好みということもあるのですが、非常にタイミングが取りやすかったです」

今回は「ステルス2」で試打。CQ5-Sは「ステルス グローレ プラス」にカスタムラインアップされている

―テーラーメイド「ステルス2 ドライバー」との組み合わせは?
「純正シャフト(TENSEI RED TM50)以上に、『ステルス2』のヘッド自体が持つスイートエリアの広さを感じることができました。どのヘッドにも感じることができる、飛距離“ちょい足し要素”が大きく影響していると思われます。比較的に軽量モデルよりは重めヘッドのほうが、ヘッド特性を引き出せる気はしますが、460ccのモデルであればメーカーを問わず、どんなヘッドにも合うでしょう。方向性よりは、やはり飛距離要素を重視した組み合わせになると思います」

同シリーズ定番の縞模様はブラック×ゴールドに差し色としてレッドが入る

―気になるデメリットは?
「ゴールドとブラックを基調としたカラーリングが、高価なカスタムシャフトのイメージを連想させてしまう点でしょうか…。アスリート志向の強いゴルファーにとっては、周囲から年配に見られる点がやや気になるところ。ディテールはかなりこだわりがあり、スポーティにさえ見えるデザインですが、全体の色味で引っかかる人が多い気はします。ただ、実際に構えたときに気になるほどではなく、性能面を重視している人には大した問題でないと思いますが…」

「従来の先調子や走り系といったイメージは持たないほうがいいかも」と筒

―どのような人向き?
「リシャフトすることで、少しでもHSをアップさせたい人向き。高い弾道で、よりエネルギーを効率的にインパクトにつなげたい、飛距離優先の方に合うシャフトだといえます。現在使用中のヘッドのまま、少しだけ曲がり幅を抑え、少しだけ前に飛ばしたいゴルファー向き。今までの『ツアーAD』とは違う軽快感があるので、同シリーズにハードルの高さを感じていた人も、一度は試してみることをお勧めします」

飛び重視ではあるのに実はミスにも強く寛容性満点◎【総合評価4.5点】

【走り感】4.5
【粘り感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】4.5
【デザイン】4.0

・使用モデル:5(硬さS)
・使用ヘッド:テーラーメイド ステルス2 ドライバー(ロフト角10.5度)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

グラファイトデザイン
先調子系でつかまる「飛び」の次世代モデル
発売日:2022/10/07 参考価格: 44,000円